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ロン@三浦綾子大好きさんの「三浦綾子の書籍ランキング」

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更新日: 2020/10/02
ロン@三浦綾子大好き

三浦綾子マイスター

ロン@三浦綾子大好き

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ランキング結果

1氷点(小説)

氷点(小説)

引用元: Amazon

『氷点』(ひょうてん)は、クリスチャン作家三浦綾子の小説。『朝日新聞』朝刊に1964年12月9日から1965年11月14日まで連載され、1965年に朝日新聞社より刊行された。また、続編となる『続氷点』が1970年5月12日から1971年5月10日まで連載され、1971年に朝日新聞社より刊行された。 連載終了直後の1966年にテレビドラマ化および映画化され、以降繰り返し映像化されている。

三浦綾子のデビュー作です。つまり三浦綾子の全てがぎっしり詰まった作品です。人間の中に棲む「闇」について処女作とは思えない筆運びで語って行きます。

「氷点」「続氷点」は旭川の医師の家を舞台に、人間の心の闇が描かれている作品です。不倫小説、青春小説、としても読めますし家庭内の継子いじめの小説としても読めます。
筆運びは上手でとてもこれがデビュー作とは思えません。ストーリーテラーとして、読者を飽きさせることはなく、思いもかけない展開に一気に読む人続出です。



古い数字ですが「氷点」と「続氷点」併せて622万部の発行部数です(1998年1月 三浦綾子記念文学館調べ)

2 塩狩峠

 塩狩峠

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『塩狩峠』(しおかりとうげ)は、三浦綾子による小説および、それを原作とする映画である。1966年(昭和41年)4月から約2年半にかけて日本基督教団出版局の月刊雑誌『信徒の友』に連載、1968年(昭和43年)9月27日に新潮社より刊行された。塩狩峠で1909年(明治42年)2月28日に発生した鉄道事故で殉職した実在の人物・長野政雄を元に、愛と信仰を貫き多数の乗客の命を救うため自らを犠牲にした若き鉄道職員の生涯を描く。

1909年に北海道の塩狩峠で実際に起きた事故を基にした作品です。愛、信仰、犠牲について書かれています

日本の鉄道黎明期といって良い時期1909年2月28日に北海道の塩狩峠で連結が外れて客車が暴走する事故がありました。鉄道職員永野信夫はその日札幌に向かい結納をすることになっていた。たまたま乗り合わせた彼がとった行動は?

もう、泣けます!

青春時代の成長小説でもあり、純愛の小説でもあり、明治時代の日本を垣間見ることができる作品でもあり、犠牲について考えさせられる作品でもあります。

新潮文庫の100冊に1976年から2020年まで45回(45年)選ばれ続けています。
また新潮文庫「高校生に読んでほしい50冊」2020年度版に『塩狩峠』がリスト入りしました。

1998年1月までの発行部数296万部です(三浦綾子記念文学館調べ)

樺太の大地を舞台にした特大スケールの小説です。恋、愛、金への執着、戦争末期の樺太の状況が描かれます

日本の文学作品としては珍しく樺太を主な舞台とした作品です。三浦綾子は作品を著すに当たり、樺太からの引揚者から聞き取り、更に数多くの文献に目を通しました。その甲斐あって樺太に住んだことがある方からも、景色が目に浮かぶようだとまで言われる出来上がりです。
雪との闘い、熊との争い、材木を川で流す流送の様子、樺太ならではのスケールの大きさです。
その舞台に負けないほど大きなのが人間の欲です。恋、愛、金銭欲、大自然の中でむき出しな人々の営みが胸に迫ります。

第二次世界大戦末期の樺太からの引き上げの描写も胸をうちます。

日本の近代史の一面を学べる作品でもあります。

1998年1月までの発行部数157万部です(三浦綾子記念文学館調べ)

裕福な妻妾同居の家庭に育った主人公佐々林一郎の葛藤を通して、人間如何に生きるべきかを問う作品

崩壊寸前の家庭で葛藤する中学三年生の佐々林一郎とその担任である杉浦悠二や雑貨店を経営する久代との交流を軸にして、人間の生きるべき姿が描かれる問題作。登場人物が引き寄せられるようにしてクライマックスになだれ込むあたりはストーリーテラー三浦綾子の面目躍如と言えると思います。                        

1998年1月までの発行部数151万部です(三浦綾子記念文学館調べ)                       
単行本1968年5月25日発行 新潮社 B6判 厚紙装 カバー オビ 394頁 さし絵/装幀 小磯良平
「朝日新聞夕刊」 1967年4月24日~1968年5月18日 連載                                  
オビに「ベストセラー「氷点」の三浦綾子が 再び朝日全日本読者の心をつかんだ長編第2弾!北海道の四季を背景に「学校教育」という自信のある題材と取り組んで人間の愛と悩みを描く 朝日新聞連載中深く静かな感動を呼んだ名作 NET放送決定」とある。

5道ありき

道ありき

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『道ありき』(みちありき)は三浦綾子の自伝小説。同作は三部作であり、共に主婦の友社の雑誌『主婦の友』に連載し、同社より刊行。現在は新潮文庫のロングセラーとなっている。

作家三浦綾子の昭和21年4月13日から昭和34年5月25日までの心の歴史を描く自伝的文学作品。真摯な魂の軌跡。

敗戦に伴い、軍国教師としての自信も誇りも生き甲斐も全てが崩れ去り、癒しようもない虚無感に蝕まれ、二重婚約をしてしまう。更に肺結核の発症により、絶望の底へ突き落された。恋人前川正の懸命な祈りと献身のおかげで虚無と絶望の底なし沼から生還できた綾子は、前川正の信じるキリスト教を信じてみようかと生きる方向を向き始める。その綾子を前川正の死が襲う。真実な生き方を求める魂の軌跡を描く青春小説の金字塔。この内容は令和の今でも古びることなく、若い魂に語りかけてきます。                                     
道ありき(第一部青春篇) この土の器をも(道ありき第二部青春篇)光あるうちに(道ありき第三部青春篇)の三部作の第一部となっています。                                         
1998年1月までの発行部数147万部です(三浦綾子記念文学館調べ)                             
1969年1月31日 単行本発行 主婦の友社 B6判 厚紙装 カバー オビ 306頁 装幀 堀文子          
オビに「三浦綾子初めての自伝小説!/退廃と絶望の底から、愛と信仰によみがえるまで。人気随一の女流作家が告白した"心の歴史"。」とある。                                         
オビ裏に「わたしはこの中で、自分の心の歴史を書いてみたいと思う。/ある人は、「女には精神的な生活がない」と言った。果たしてそうであろうか。この言葉を聞いたのは、わたしが、女学生の低学年の頃であったが、(女にだって魂はある。思想はある。いや、あるべきはずである)と、そのときのわたしは、自分自身にそう言いきかせた。/この作品は、わたしの心の歴史であって必ずしも、事実そのままではない。/しかし、心の歴史である以上、わたしの精神的な生活を豊かにし、生長させ、もしくは傷つけた事柄は、なるべく事実に即して書いていきたい。(“はじめに”より)/三浦綾子」とある。  

実の親子も殺し合う戦国の世にあって、愛と信仰に殉じた細川がラシャ夫人を描く、三浦綾子初の歴史小説

明智光秀の娘として何不自由なく育てられた玉子は、当代随一の美貌と才知に恵まれていた。十六歳になった時、細川忠興のもとに嫁ぐことになった。夫忠興は玉子の美貌の故に、ほとんど外出を許さず縛りつけるような愛の持主であった。ある日玉子の父明智光秀が、主君信長のむごい仕打ちに耐えかねて織田家に反旗を翻した。一転して逆臣の娘となった玉子は苦難の日々を過ごすことなる。父母一族は滅夫や子とも引き裂かれた玉子は、秀吉のキリシタン弾圧の下で、洗礼を受けることを決意する。信仰の人細川がラシャ夫人に焦点を当て、生きることとは、信仰とはを追求した歴史小説の傑作。綾子の歴史長編小説期の最初を飾る名作。この時期に書かれた長編小説は『千利休とその妻たち』『海嶺』などがあります。                         
1998年1月までの発行部数124万部です(三浦綾子記念文学館調べ)                         
「主婦の友」 1973年1月~1975年5月 連載                                    
オビに「戦乱の世を熾烈に生きた女性。その生涯に投影される著者の愛と信仰の世界。代表作の呼び声も高い名作!」とある。                                                 
オビ裏に「感動的な三浦さんの「がラシャ」/評論家佐古純一郎/読んでいくうちに、描かれるガラシャ夫人と書く三浦綾子さんとが、いつしか私の心の中で、ぴったりと重なり合うのを感じたが、それは三浦さんとガラシャが時を超えて、人格と人格との、信仰におけるひびきあいを経験していることを意味しているのであろう。/がラシャの眼を通して観た世界/国学院大学教授博士樋口清之/三浦さんの作品は、ガラシャ(玉子)を軸にしてガラシャの心の動きを巧妙に描き出したものとして注目に値する。点景にとりあげられている事象も、背景になっている社会情勢も、すべてはガラシャの眼を通して組み立てられている。」とある。  

氷点に次ぐ三浦綾子の第二作。北国の春リラ高女を巣立った娘たちの哀歓の日々さまざまな愛が芽生えと破局が訪れる。

いずれも美しい奈緒美、輝子、京子はリラ高女のクラスで出会った。京子の兄良一は奈緒美を好きになり、京子は担任の竹山に好意を寄せていた。牧師である父親から「愛するとはゆるすことだよ、相手を生かすことだよ・・・・」と言われた時に「わたしだって、人一人くらい愛することはできるわ」と答えた奈緒美だった。しかし共に生活する時に見た良一の姿は・・・・錯綜する愛憎に翻弄されながら奈緒美、輝子、京子、良一、竹山の5人の人生はどこに辿り着くのだろうか?氷点に続いて三浦綾子が読者を魅了する。                           
1998年1月までの発行部数110万部です(三浦綾子記念文学館調べ)                                  
単行本 1966年12月10日発行 主婦の友社 B6判 厚紙装 カバー オビ 326頁 装丁 丹阿弥丹波子     
「主婦の友」1965年8月~1966年12月連載                                   
オビに「『氷点』の三浦綾子第二作!/愛と憎しみに傷つくのが生きるということなのか?/雄大な北海道を舞台にくりひろげる愛のロマン/テレビで人気爆発!/「愛の自画像」としてTBS系放映中」とある。              
オビ裏に「私は描きたかった/三浦綾子/神の目から見れば、人間はいつも愛に傷つき、とまどう“迷える子羊”なのです。/その愛とは何なのか。それは相手を許すことにあるのではないだろうか。/愛に傷つきながらも、その悲しみを力に変えられる女性を私は描きたかったのです。」とある

8 泥流地帯

 泥流地帯

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『泥流地帯』(でいりゅうちたい)は三浦綾子の小説。1926年5月24日の十勝岳噴火とそれに伴う火山泥流(ラハール)にまつわる物語を描く。

大正15年5月の十勝岳噴火による噴火は一瞬にして、家族の命を奪い、田畠を石河原に変えた。この試練に立ち向かう人々の姿を描く感動長編です

父たちが三十余年かけて開拓し、これから豊かな生活が期待できると喜んでいた矢先、大正15年5月に十勝岳は大爆発し、開拓部落とその田畠を泥流が嘗め尽くした。祖父・父の思いがしみ込んだ農地の回復を願う拓一とそれを支える耕作兄弟。貧困のために苦界に沈めれられた福子に思いを寄せる拓一。街のボスである深城の娘節子は一途に耕作のことを思う。開拓農家、上井富良野市街の生活を背景にして描かれるこの4人の青春群像劇です。三浦綾子が渾身の表現で描く泥流被害のすさまじさは特筆もの。その復興に向けて取り組む者たちと妨害者たちの闘いの様子も詳らかに描かれる。巨大な自然災害の前に無力に見える人間が力を合わせて復興に向かうところは感動ものです。大正15年の出来事を背景にした長編小説ですが、現代的な作品と言えるでしょう。                          
泥流地帯 単行本 1977年3月25日発行 新潮社 B6判 厚紙装 カバー オビ 239頁 装画 松本タカオ     

「北海道新聞」1976年1月4日~1976年9月12日 連載                                

オビに「天は何故、貧しくも懸命に生きてきた彼らに、このような試練を与えるのか?/突然の火山爆発、家も学校も恋も夢も、泥流が一気に押し流してゆく・・・。/人生の試練を描き、生きかたを問いかける、感動の長編!」とある。                                                    
続泥流地帯 単行本 1979年4月15日発行 新潮社 B6判 布製 カバー オビ 241頁  装画 松本タカオ            
「北海道新聞」 1978年2月26日~1978年11月12日連載                             
オビに「家族の命を奪った泥流の地に、再び稲の実りを見たい/だが苦難は重ねて兄弟に襲いかかる-果たしてこの人生の、報いとは?/苦闘の青春を描き、人生の意味を問う、感動Jの完結編!」とある。  

9銃口

銃口

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『銃口』(じゅうこう)は三浦綾子の小説である。小学館の月刊誌本の窓(1990年1月号から1993年8月号)に連載、1994年に小学館(単行本)に刊行した。文庫版は1998年に小学館を、2009年には角川書店にて刊行した。1940年に起こった思想弾圧事件の「北海道綴方教育連盟事件」をモデルとしている。

昭和の基底にひそむ戦争の意味について明らかにしようと改めて問い直す仕事をした作品。北海道生活綴り方連盟事件を取り上げた。

物語は大正天皇の大喪の礼の作文から始まり、昭和天皇の大喪の礼の日に終わる。まさに昭和の歴史を主人公北森竜太の歩む体験の軌跡を通して、私たちに追体験させてくれます。情熱をもって炭鉱町の小学校で生徒たちを育てる北森竜太に、突然治安維持法違反の容疑がかけられ、7か月の独房生活の後釈放された。そのショックからようやく立ち直った矢先に、召集の赤紙が届く。軍隊生活、そして敗戦。満州から日本への敗走中、思いもかけぬ再会に助けられ祖国の土を踏む。帰国後竜太は・・・ 人生如何に生きるべきかを問う三浦綾子最後の長編小説です。                                       
単行本 1994年 3月10日発行 小学館 B6判 厚紙装 カバー オビ 上342頁 下318頁 装丁 菊池信義 カバー装画 小磯良平                                                     
オビ(上)「昭和を生きた全ての人へ!/北海道の雄大な自然に育まれた竜太と芳子の青春と愛。だが、希望に燃える若き教師たちの上に千世王の暗雲がのしかかる・・・・。/人間の本質に迫る三浦文学の最高傑作」とある。                オビ(下)「昭和を生きた全ての人へ!/NHKのTVドラマでも放送/突然の拘留、応召から満州へ、そして敗戦。過酷な運命に翻弄されながらも人間らしく生きぬく竜太をめぐる人間ドラマ。/激動の時代を描く三浦綾子の最新長編」とある。

10

母

引用元: Amazon

『母』(はは)は、三浦綾子の小説である。 1992年に角川書店にて刊行し、1995年に角川文庫に収録された。 舞台では1993年から前進座を、2005年から劇団アドックで上演している。

『蟹工船』の著者小林多喜二の母セキの波乱に富んだ生涯を描いた書き下し小説

明治の初めに東北の寒村で生まれた多喜二の母、セキ。若くして小林家の次男末松と結婚。その後末松の兄の慶義に誘われる形で北海道小樽に一家で移住し、パン屋を営み病弱な夫を支えつつ多喜二など6人の子供を育てた。その後多喜二が小説家として著名になり、最後は築地警察署で拷問死を遂げた。「あの多喜二が小説書いて殺されるなんて・・・」大らかな心で、多喜二の「理想」を見守り、人を信じ、愛し、懸命に生きたセキの波乱に富んだ生涯を描く小説。                                                     
単行本 1992年3月10日発行 角川書店 B6判 布製 カバー オビ 213頁 装丁 熊谷博人 写真 児島昭雄                                                     
オビに「構想10年。三浦文学の集大成。/結婚、家族、愛、信仰、そして死/明治の初め、東北の寒村に生まれた多喜二の母、セキの波乱に富んだ一生を描く、書き下し長編小説。」とある。

幕末に嵐に揉まれ難破した三人の船乗りが世界で見たものは?  5年の年月を経て帰国しようとする三人を待ち受けるものは果たして何か。歴史に翻弄される三人の数奇な運命を壮大なスケールで描く。

天保三年(1832年)知多半島にある小野浦から出航した千石船宝順丸。嵐にあい難破してしまう。1年2か月後奇跡的に生き残った3名(岩松、久吉、音吉)が北アメリカからロンドン、マカオなどを経由して日本を目指す。モリソン号事件を題材に、幕末の日本と世界を舞台に、人間の真実の姿は何かを問う時代巨編。                        

単行本 1981年4月20日発行 足新聞社 B6判 厚紙装 カバー オビ 上336頁 下334頁 装画 松田譲 装丁 山岡茂 地図 熊谷博人                                             
「週刊朝日」1978年10月6日~1980年10月17日 連載                              
オビ(下)に「あゝ緑んます祖国が見える!/五年ぶりの故郷を眼前にしながら、歴史の非情な歯車に翻弄される三人の切なる願い-綿密な史実考証と鋭い人間観察によって、近世日本を象徴する悲劇を活写した大河小説。/週刊朝日大反響連載」とある。

クリーニングの白洋舎の創業者五十嵐憲治の生涯を描く伝記小説の傑作

大望を抱いて十五歳で家出したi五十嵐憲治は旅館の下働きから日露戦争軍夫へ、北海道のタコ部屋から三越百貨店の宮中係へと波乱の道を歩む。憲治は最後に人の垢を洗うクリーニング業に辿り着いた・・・。日本の近代から現代まで駆け抜けた五十嵐憲治の生涯を描く伝記小説の傑作。ダイナミックで面白い! 
                  
単行本 1987年9月20日発行 新潮社 B6判 厚紙装 カバー オビ 306頁 装画 笠井正博 本文カット 小松久子

オビに「天が与えた職業とは何か!?/クリーニングの〔白洋舎〕を興した五十嵐憲治の生涯に事業と信仰の根源を7描く!」とある。 

生とは?/死とは?/愛とは?/何を信じ、何を耐え、何を望むか/牧師・榎本保郎の生涯をとおして人間の永遠の問いかけにこたえる伝記小説の名作

心の飢え乾く現代人におくる-牧師・榎本保郎の熱き生涯/敗戦-虚無感にうちひしがれた一人の軍国青年が、いらだち、傷つき、悩み苦しみながら、愛と信仰と希望の道を求めて生きるまで(オビ裏から)                                   
読んでいて、とにかく主人公が熱い!熱すぎる! 最後にアメリカで客死するまで自らに与えられた使命を全うすることを選んだ人生です。                                                   
単行本1987年5月28日 朝日新聞社 B6判 厚紙装 カバー オビ 410頁 装幀 朝倉摂                        
「週刊朝日」1986年1月3/10日~1987年3月17日 連載  

創立まもない札幌商業学校で教鞭をとり、洋菓子店ニシムラを創業、その人生を教育と伝道に捧げた西村久蔵の生涯を描く伝記小説の傑作

ここに、真の教育者あり!/人を憎まず、怨まず、人を信じ、許した稀有の男-キリストの深い愛に支えられ、人のために尽くした情熱と誠実の生涯(オビから)                                  
単行本 1983年10月20日発行 新潮社 B6判 厚紙装 カバー オビ 348頁 装画 澁澤卿                 
「小説新潮」1982年6月~1983年9月 連載                                           
オビ背に「自らを捨て、人のために尽くした男の情熱と誠実の生涯」とある。                   

オビ裏に「親に死なれ、久蔵に引き取られて学校に通った者がいた。教師の久蔵を「兄貴」と呼んで慕った多くの教え子たちがいた。/創立まもない札幌商業学校で教鞭をとり、洋菓子店ニシムラを創業した。偉大な教育者・伝道者。その勇気と信念ある行動は、触れ合うすべての人の心に底知れぬ愛の楔を打ち込んだ。」とある。                

とにかく人を愛しぬいた方でした。

作家三浦綾子の昭和34年5月25日から昭和39年7月10日までを描く自伝小説第二弾(道ありき第二部結婚篇)

三浦光世との結婚式の翌日昭和34年5月25日から、朝日新聞1000万円懸賞小説受賞伝達の昭和39年7月10日までの愛と信仰の日々を綴る自伝です。                                
道ありき(第一部青春篇) この土の器をも(道ありき第二部青春篇)光あるうちに(道ありき第三部青春篇)の三部作の第二部となっています。                              
単行本 1970年12月5日発行 朝日新聞 B6判 厚紙装 カバー オビ 243頁 装丁 堀文子   「主婦の友」1969年9月~1970年12月 に「わが結婚の記」という題名で連載                                                
オビに「三浦綾子の自伝小説第2弾!/結婚生活とは何か、家庭を築くとはどういうことか、夫婦のあり方についてきびしく自己に問いつづけながら、その愛と信仰の生活を告白した問題作-/主婦の友社刊」とある。

自らの祖父母をモデルに、明治・大正を生きた家族の肖像を描く長編ロマン

天売・焼尻を眼前に望む苫幌村の商店かね中を営む順平・ふじ乃の一人娘として生まれた志津代。幼馴染みの文治に思いを寄せる志津代の幸せな生活も、天性の美貌を持つふじ乃が行商人と一夜の過ちを冒し、息子新太郎を身籠ったことから狂い始めてしまった・・・・                                       
単行本 1986年8月30日 主婦の友社 B6判 厚紙装 カバー オビ 381頁 装丁 上村淳之 口絵 小松久子  「主婦の友」1984年1月~1986年6月 連載                                  
オビ裏に「人間は罪を犯さずには生きていけない・・・/三浦綾子/それらの人間たちの、お互いに及ぼす微妙な影響を、私たちはときい立ち止まって深く考えなければならないような気がする。いつも小説を書くたびに思うことだが、人間は何と罪を犯さずには生きていけない存在であろう。誰もが罪を犯す存在であってみれば、誰もが許してもらわねば生きていけぬ存在であると言える-。(「あとがき」より)」とある。

19歳の乙女が、憎しみあい、傷つけあいながらも、なお信じ続けることのできる道を求める青春ロマン小説

"誰だって人には言えない思いというものがある"早苗の孤独に凍てつくこころには、重く冷たい家庭と、秘密を抱いた父母の姿が焼きついている・・・・。                                         
単行本 1976年4月25日発行 集英社 B6判 厚紙装 カバー オビ 259頁 装丁 谷俊彦 題字 三浦光世      

「セブンティーン」 1975年2月~1976年2月 連載                                   
オビ裏に「早苗の両親と詩人の沢謙三、そして彼の姪で妖精のような女性奈津子の四人は、何か秘密の関係で結ばれている-早苗の家庭には、いつも、重く冷たい空気が流れていた。家族の存在も、次第に遠いものに思え、彼女の心は痛んだ。その秘密を知りたくて、早苗は沢に会った。そして、彼から思いがけない愛の告白を受けたとき、胸が熱くなるのを覚えた。が、奈津子のなかに、沢への断ち難い愛の炎を見い出し、彼女の心はふたたび凍てつくのだった・・・」とある。

堀田綾子と前川正の病に冒されながらも、真剣に誠実に生きた若い魂の軌跡を示す文学

堀田綾子と前川正、十数年ぶりに再会した幼馴染みのふたりが、病に妨げられながら交わした往復書簡約二千通の中から厳選したもの、また前川正が残した創作、短歌、死の前に書き綴ったメモ、遺言など”愛の形見”が収録されている。 原石としての堀田綾子の姿が記録されており、三浦文学の水源ともいえる。                                                 
単行本 1973年5月2日発行 講談社 B6判 厚紙装 カバー オビ 254頁 装丁 難波淳郎  
                     
オビに「『道ありき』で感銘を与えた前川正と三浦綾子の二千通の往復書簡から・・・/愛とまことを求めた若い魂/笛の如く鳴り居る胸に汝を抱けば吾が淋しさの窮まりにけり 正/相病めば何時迄続く幸ならむ唇合わせつつ泪こぼれき 綾子」とある。

道ありき第三部/信仰入門編

「氷点」で目覚ましいデビューを果たした三浦綾子はその後も『ひつじが丘』『愛すること信ずること』『塩狩峠』を書きつづけているが・・中略・・貧しく、健康にもめぐまれない無名の主婦が、長い病床生活のあと、このわずか数年のうちに、光まばゆいばかりのめざましい仕事を次々となしとげて行く。それは才能とか資質だとか、作品の形象力とかいう陳腐な文芸論のなかに、過不足なくおさまりきるしろものではない。それは余りに力強く、ひっこみ思案の近代知識人にとっては時にへきえきする程の生命力にあふれた出来事であった。言ってみれば。『道ありき』にはじまる自伝的三部作は、このように、奔流のようにあふれ出る著者三浦綾子氏の生命の謎をときあかす、貴重な作品となったものである(水谷昭夫氏「解説」から)                                                
単行本 1971年12月15日発行 主婦の友社 B6判 厚紙装 カバー オビ 226頁 装丁 堀文子                    
「主婦の友」1971年1月~同年12月 連載  

父を知らずに育った清美。屈折した暗い生活だったが、信仰深い叔母と一人の少年との出会いで、心の中にいつしか明るい未来への希望がともってゆく・・・・

人間は根強い憎しみ悲しみを抱きつつも神を求める。そんな時、神はどのようにして人間を神の子としてくださるか。それを一つの課題として書いてみたのである。神の救いというものは、万人に与えられていると私は思う。立派な人間になってからでなければ救われないものならば、誰一人救われる者はいない。神の愛はもっと深く、もっと広いのである(あとがき)                                                          
単行本 1986年12月20日 小学館 B6判 厚紙装 カバー オビ 205頁 カバー/イラスト 喜多圭介 
                
「エキスパートナース」1985年5月~1986年12月 照林社 連載                                      
オビに「愛と人間を問う感動ドラマ」とある。 

人はなぜ、自分の家庭を裁きの家としてしまうのか、二つの家庭を舞台に描く問題作!

「家庭は裁判所ではない」ということを、わたしは度々口にする。しかし、現代は家庭もまた裁き合う場であって、憩いの場でもなければ、許しあう場でもなくなっていると言える。わたしは、現代の持つこの一つの問題を、親子、兄弟、夫婦、嫁姑の家族関係の中で追及して見たかった(単行本あとがき)

単行本 1970年5月25日 集英社 B6判 紙装 カバー オビ 317頁  装幀 小松久子             
「週刊ホーム」集英社に1969年10月20日から連載されたが、休刊のため、2巻7号で連載中止となり、後半部分が書き下された。                                                
オビに「TVで放映、全家庭の感動を呼ぶ!/裁きの家/三浦綾子/人間が人間を裁けるだろうか/姦通、嫉妬、憎悪渦巻く二つの家庭を描く問題作!」とある。   

茶聖千利休とその妻たちとの愛と葛藤を、綿密な調査と大胆な仮説で描く傑作長編歴史小説

著者の言葉「日本の史上に、秀でた男性は多々現れているが、千利休はその男性たちの中でも、大いに傑出した存在ではなかろうか。/わたしが利休について書こうとするのは、このような男性に、一目置かせ熱愛させた女性宗恩に興味を抱いたからである。宗恩に関する資料は少いが、その少い資料からでも、宗恩という女性の美しさと才と心の深さは偲ばれる。/連れ子をして利休の後妻となった家庭には長男道安がいた。わたしはこの利休と宗恩を軸に、利休の非業の死までの家庭を描いてみた。」                                       
単行本1980年3月26日発行 主婦の友社 B6判 厚紙装 カバー オビ 360頁 装幀 上村松篁             
単行本(新装版)1990年1月31日発行 主婦の友社 B6判 厚紙装 カバー オビ 360頁 装幀 戸田ヒロ子 装画 「本草図譜」より    

人は、果たして人を真に愛し得るか-北海道・旭川を舞台に永遠の課題に取り組む著者初の書き下し傑作長編小説

天人峡で高校の美術教師が激流に呑まれた。他殺か?自殺か?居合わせた慎一郎に疑いがかかる。果たして真相は? 愛と憎しみと誤解の渦巻く中でうごめく主人公と美しい人妻を中心に据えて人間の愛のあり方を問う長編小説。                          
著者の言葉「人は、果たして人を真に愛し得るか。これは永遠に、私たち人間にとっての課題であろう。/いかに真剣に愛を傾けたつもりでも、結局は自我の現れでしかなかったという事実に、私たちはしばしば突きあたる。それほど、人は人を愛し得ない存在なのであろう。/と気づいたとき、私たちの愛のあり方は求め方は、もっと違ったものになるに違いない。」                                               
単行本 1972年7月10日発行 光文社 B6判 厚紙装 カバー オビ 266頁 装幀 堀文子                
「小説宝石」1970年2月掲載の『愛の誤算』と同じく「小説宝石」1970年5月掲載の『愛の傷痕』の二つの短編を、書き下しのための下地としている。 

真実の愛とは何なのか?本当に生きるとはどういうことなのか?-ひたむきに生きる千香子の日記に綴られたゆれる魂の記録

「求めるものは愛でも、その求め方の違っているのが男と女の愛の姿なのか!/22才のワカイナース(看護師)、千香子は、同じ病院の内科医師・杉井田を愛し、そして、夏の夜に、彼に体をゆるした。だが、その後、杉井田は・・・・愛と信仰の作家・三浦綾子がつづる問題の野心作(オビ)」                           

広川さんからの言葉「今の君にぼくが贈るのは<われわれ人間はすべて、弱さと過ちからつくられている。われわれの愚かさを許し合おう。これが自然の第一の掟である>という言葉です。この言葉を、真剣に考えてください」を繰り返し読む千香子であった。                                            
日記体の小説であるので、主人公がほんとうの自分を求めていながら、その問いにつまづき、悩んでいる姿がはっきりと示されている。                                             
単行本 1972年8月1日発行 主婦の友社 B6判 厚紙装 カバー オビ 252頁                     
「アイ」主婦の友社 1971年7月~1972年6月 連載

愛の絆を失った現代人の孤独と真実/北の都札幌の病院長一家をひそかにむしばんでいたものは何か?/家族の葛藤と愛。/青春の反抗と夢。/切実なテーマに生きることの意味をさぐる力作長編

「どの家にも、人に知られては困る恥部がある。暗部がある。が、一見さりげなく無事をよそおって人々は生きる。「うちには宗教がない」などと、突きつめては生きて行かない。たまたまこの谷野井家の恥部は麻薬であった。覚醒剤であった。だが本当の恥部は法に関わるクスリの問題であったかどうか。小説の中に明確な答えは出していない。なぜなら、読者が作中人物と共に、何が自分の問題かを探し当てて欲しいからである。」(あとがき)  
          
単行本 1989年9月22日発行 講談社 B6判 厚紙装 カバー オビ 309頁 挿画 楓久雄 装幀 大泉拓     
「イン・ポケット」講談社 1988年1月~1989年8月 連載 

一本気で、無法者にも膝を屈しない。信念と信仰にささえられた腕で建てる家は、誰もが褒める。人間らしく生きる一人の棟梁、その逞しい半生を、感動をこめてつづる三浦綾子初の書き下し長編

三浦綾子の伝記小説期の冒頭を飾る作品。貧困と逆境の中に育ちながら、天職の大工の仕事に出会い、曲らず、妬まず、怠けず人間として大きく成長していく姿が素晴らしい!痛快な成長ドラマでもある。
               
主人公鈴本新吉のモデルとなった鈴木新吉棟梁は三浦光世・綾子の二軒の家を建てた。『氷点』が書かれた旧宅は現在塩狩峠に移設され塩狩峠記念館として使われている。1969年に建てられた二軒目の建物は現在も旭川市豊岡にある。但し書斎だけは文学館の分館に移設されてファンを迎えている。いずれも鈴木棟梁の丁寧な仕事ぶりを見ることができる。                                                                         
単行本 1979年5月24日発行 講談社 B6判 厚紙装 251頁 装幀 荻太郎 本文扉裏 著者自筆                 
本文扉裏に「からだを殺しても、魂を殺すことのできないものを 恐れるな/キリスト」とある。                

オビに「人間らしい生き方とは?/真の人生の意味を問う感動の長編/愛と信仰の世界に生きる作家三浦綾子が七年の歳月をかけ祈りをこめて描く初の書き下し長編」 

世界中で自分だけが幸福でありたいと願う香也子。その冷酷なエゴイズムが、純真な姉恵理子の愛までも引き裂こうとする-旭川を舞台に、三浦綾子が人間同士の真の結びつきを追及した話題の長編小説

人間は一皮剥けば人を傷つけあって喜んでいる存在なのだろうか。                       
香也子は父親容一とその再婚相手扶代とその連れ子章子と共に高級住宅街に住んでいる。一方恵理子はお茶の支障をしている母親保子とその母と共に豊岡に住んでいる。この二つの家庭を舞台に香也子の熾烈な嫉妬心がみんなの人生の歯車を大きく狂わせていく・・・・かなりな大部ですが展開が目まぐるしく変わり飽きることは全くない。          
単行本 1977年6月25日発行 集英社 B6判 厚紙装 カバー オビ 368頁 装画 原叶人 装丁 浅利佳典    
「女性セブン」1976ね1月14日~1977年3月17日 小学館 に連載                          
オビ裏に「人間とはみな一皮剥けば人を傷つけあって喜んでいる存在なのだろうか。他人の愛をうち壊すことが、楽しいゲームである香也子。これまでに、彼女の中傷によって亀裂が生じ、脆くも崩れ去った愛を何度見たことだろうか・・・・。高校時代、短大時代の友人、義理の姉らの顔を、彼女は冷ややかに思い浮かべた。そしていま、その冷酷なエゴイズムが実の姉恵理子の愛に襲いかかる-!」とある。

愛のテーマを探る推理ロマンの傑作/華やかな都会の迷路にさまよう女

旭川出身で銀座のデパートに勤める早川冬美には、高級官僚を父に持つ大企業のエリート社員・町沢加奈彦という素敵な恋人がいた。だが・・・。  平凡な幸福を願う冬美を襲った恐るべき罠。都会の迷路に潜む人間の孤独と欲望を、行き詰まるサスペンスで浮き彫りにした異色長編。                              
単行本 1977年-3月1日発行 主婦の友社 B6判 厚紙装 カバー オビ 254頁 装幀 丹阿弥丹波子              
「アイ」 主婦の友社 1975年7月~1977年1月 連載                               

ストーリーテラーの三浦綾子はサスペンス物も大変上手いと思います。

この作品もどこに連れていかれちゃうんだろっと途中で思いますよ。 

三浦綾子が作家になった後の自伝。起伏にとんだデビューからの道のりを振りかえりながら、生きることの意味を問う。

三浦綾子の自伝はこの当時すでに4冊出版されていました。幼年時代を書いた「草のうた」少女時代を回想した「石ころのうた」自我に目ざめた青春時代を描いた「道ありき」結婚生活五年を記録しt「この土の器をも」。それに文筆生活に入ってから現在までを書けば、自伝が揃うと角川書店の編集者からのたっての奨めがあり着手したもののどこから切り込んだものか大変苦労したそうです。                                    
単行本 1996年4月30日発行 角川書店 B6判 厚紙装 カバー オビ 288頁 装幀 熊谷博人          
「野生時代」角川書店 1995年1月~1995年12月 連載                            

オビに「書くこと。それが私の使命だろうか。/愛を育み、病と闘い、信仰に生きた著者の精神の軌跡。生きることの意味を問う感動の自伝長編。/角川書店創立50周年特別作品」とある。                      

オビ裏に「自伝というものはむずかしいものである。書くことによって必要以上に自己を顕示する結果になることもあれば、書かないことによって、ある意味で自己顕示をしてしまうこともある。オーガスチンは、「信仰の極意は、一に謙遜、二にも謙遜」と言ったと聞いている。その言葉に痛みを覚えつつ、あえてペンを進めた。何れにしても人間は賞賛を得たい者、そして移ろいやすい者、弱い者、誰も前に顔を上げ得ない者、孤独で寂しい者である。こんな思いに共感して読んでくださる方がいるなら、それは何とありがたいことであろう(本文より)

三浦綾子の新米教師時代を描く青春自伝小説。三浦綾子がどれほど熱く生きたかが描かれる!

幼年時代を書いた「草のうた」に続いて少女時代を回想した「石ころのうた」は三浦綾子が女学校を卒業し炭鉱町歌志内市に新米の小学校教師として着任するところから始まり敗戦の頃の記述で終わる。戦時中の小学校教育と庶民の生活の記録としても貴重な内容を含む。
                                     
『道ありき』冒頭部の虚無感はこの『石ころのうた』を読んで初めて理解できます。                                     
単行本 1974年4月30日 角川書店 B6判 厚紙装 カバー オビ 315頁 装幀 松田穣             
「短歌」角川書店 1972年4月~1973年8月 連載                                    
オビ裏に「私は題名どおり、普通の石ころのように、どこにでもある平凡な少女であった。美しもなければ、特に賢くもない。すぐれた感受性もなく、思想らしいものも持たなかった・・・。が切にいっておきたいことが思ったことは、終始踏まえて書いたつもりである。それは私が恐ろしい時代の流れに巻き込まれ、その時代色に染められていったことである・・・(あとがきより)」とある。

時代の常識を超えて新しい女性の創造に生命を燃やす楫子。日本キリスト教婦人矯風会結成、女子学院初代院長 矢嶋楫子の心の軌跡を三浦綾子が情熱をこめて迫る伝記文学の傑作

この作品は天保四年(1833年)楫子の誕生から大正十四年(1925年)、幕末から明治大正を一人の女性としてまた唯一無二の教育者として駆け抜けた矢嶋楫子の伝記小説です。女子教育の歴史を描くとともに、日本の近現代の特に女性を取り巻く社会状況を記した貴重な記録でもあります。                              

単行本 1989年12月20日発行 小学館 B6判 厚紙装 カバー オビ 255頁 挿画/装丁 川田幹 本文挿画 松田穣                                                         
「幼児と保育」小学館 1988年4月~1989年7月 連載                              

オビ裏に「なぜ校則を取り払ったか/誰の目にも楫子は道を踏み外すような無思慮な女ではなく、常に自己を制して生き得る人間のはずだった。その楫子が妻子ある人の子を生んだ。教師であること、世間の口が恐ろしいことなどは、なんのブレーキにもならなかった。/(人間は弱い!)/楫子は身にしみてそう思ったにちがいない。そしてまた、人間はどれほどの規則があろうと、いざという時なんの役にも立たぬものであることを、楫子自ら身にしみて思ったにちがいない(本文より)」とある。

愛なくばすべてはむなしきものを-人間はなぜ欲望に自らを失っていくのだろうか。冷たい家庭、憎み合う父と子。悲しみの家庭に渦巻く愛憎の葛藤を描く現代小説

父子の中が悪く冷たい家庭の中で一人心を痛める清純な弘子。冷たい隙間風の吹く家族を描き分けて、人間の愛憎と家庭の崩壊をあらわす問題作。等身大の登場人物たちに慄然としました。                      
単行本1973年3月30日発行 集英社 B6判 厚紙装 カバー オビ 318頁 装幀 中西清治      

「女性セブン」小学館 1972年1月1日~1972年12月27日 連載                            

オビ裏に「無軌道な兄が巻きおこす破廉恥な事件に、悲しみを深める娘の愛のゆらめき・・・兄の栄介に妊娠させられた女性が自殺した!そればかりか、暴力団員を使って平凡な教育者の父親洋介までも脅迫する栄介。札幌にあるテレビ局に勤める妹の真木弘子は、そうした兄の耐えがたい行動に心を傷つけていく。弘子の慰めは、将来を誓いあった青年今野の存在だけ。冷たい家庭、憎みあう父と子-弘子の心はこみあげる不吉な予感に震える・・・。」とある。 

名作『道ありき』『石ころのうた』に先立つ長編自伝小説

三浦(旧姓堀田)綾子誕生から小学校卒業までの時期を描く自伝小説。生来虚弱な体質であったためか、人一倍臆病で、綾子の幼年期は不気味さと淋しさ、不安、恐怖の入り混じった中にあった。人間とは何か、生きていくということはどういうことかをおぼろげながらに感じ始める綾子であった。                        
単行本 1986年12月20日発行 角川書店 B6判 厚紙装 カバー オビ 319頁 挿画/本文挿絵 小松久子 本文詩 尾崎道子  
「月刊カドカワ」1985年5月~1986年4月 連載 *                                 
*もう一つ全く同名の「草のうた」を三浦綾子は小学館の「女学生の友」に1967年4月から1968年3月までの1年間連載していたことが分かっている。                                          
オビに「五十年の歳月を経て鮮烈に甦る思い出の数々・・・。幼年時代の不安と恐怖。小学校時代の多感な日々。幼き日の作家三浦綾子を描く好著。」とある。 

亡き先妻への愛を胸に秘める大学教授。先妻そっくりな息子の嫁。舅と嫁の胸の内を描きながら、夫婦愛・家族愛を考える問題作!

「いやだわ、私・・・夫よりお父さんのほうを信じてる。夕起子は心の片隅で大学教授の舅に理想の男を描いていた。そして舅は夕起子の中に、戦中の青春をかけ愛した、亡き先妻の面影を重ねていた。危機を孕む人間同士、夫婦、嫁舅それぞれの心の奥にひそむ棘を鋭く衝く問題作。愛とは、結婚とは、戦争とは、を問う。」(文庫本背表紙)     
単行本1982年4月1日発行 学習研究社 B6判 厚紙装 カバー オビ 382頁 装丁 川田幹 扉題書 本間敬三 扉/本文イラスト 楓久雄
「ベルママン」学習研究社 1980年4月~1982年4月 連載                               
オビ裏に「愛し合ったから結婚したというより結婚したから愛し合うほうが大事なのではないか・・・結婚している女性、これから結婚する女性の胸に迫る問題作!」とある。

現代人にとっての幸せとは・・・札幌を打ちに繰り広げられる二つの家族の確執を通して、現代人の失った最も大切なものは何かをさぐる力作長編

家族とは、家庭とは? 「教育ママ」の姿をえがいた人間のエゴと魂のあり方を問う問題小説。
札幌に住む二人の才色兼備の姉妹、遠野木佐貴子と桜田亜由子。亜由子の息子、純一の目を通しながら、父母のさめた関係、母から弟・真二への冷たい仕打ち、叔母・佐貴子とその息子・俊麿の異常な関係などを描いていく・・・。
大人たち、特に母親のエゴを通し、家族の崩壊をえぐるように描く問題長編。家庭小説、社会小説としても必見の一作。                                                    
単行本1983年5月25日発行 中央公論社 B6判 厚紙装 カバー オビ 411頁 装幀 堀文子                                     
「婦人公論」 中央公論社 1981年5月~1983年3月 連載                                
オビ裏に「三浦綾子/この世の誰もが幸せを求めて生きている。幸福を求めない人間は一人もいない。にもかかわらず、なぜ人々に幸せは遠いものになっているのか。それは人間にとって最も大切なものを見失っているからではないだろうか。私はこの頃しきりにそう思う。/受験期の少年を持つ二つの家庭の夫婦、親子、きょうだいを描きつつ、私はその失われたものを探ってみたいと思う。/題名は新約聖書ユダ書の、「彼らはいわば、風に吹きまわされる水なき雲」から取った。」とある。

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