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金谷 俊一郎さんの「歴史漫画ランキング」

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更新日: 2020/10/07
金谷 俊一郎

歴史コメンテーター

金谷 俊一郎

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まえがき

歴史を漫画で学ぶということは邪道と思われているかもしれませんが、私は全くそう考えません。歴史の一番面白い部分は物語でありドラマです。
その部分が分かりやすく感動的に面白く書かれているのこそが歴史漫画であり、そこから歴史の面白さ・奥深さ・醍醐味といったものを知る入り口になってもらえればと思います。

好きな歴史漫画というと数え上げるとキリがないので、今回は、「女性を主人公にしたマンガ」に絞ってランキングを作成しました。歴史というと男性中心のもののように思いがちですが、そこに生きている女性の姿は心打つものがあります。
 
私は子供の頃、歴史の学習漫画を読みふける子供でした。私自身漫画を読んで歴史のプロになったと言っても過言ではありません。
ただ歴史の漫画の中にはあまりにも荒唐無稽なものも多く、もちろん エンターテイメントとしては面白いのかもしれませんが、しっかりと史実に基づいた本当のドラマこそ一番面白いと考えます。

事実はドラマよりも面白い。だから歴史は面白い。

ランキング結果

1天上の虹

天上の虹

引用元: Amazon

作者里中満智子
ジャンル少女漫画
出版社講談社
連載mimi DX
mimi Excellent
巻数全23巻

持統天皇の周辺を巡る血塗られた争いと非情な恋模様は、今の若い人たちにこそ読んでもらいたい

1983年の連載開始から2015年まで32年間かけて完成された、里中満智子先生のライフワークとも言うべき作品。30年以上前の作品ではあるが、 その内容は全く色褪せることがない。

女性たちの苦しみ、憎悪、怨念、そしてそれらから昇華される真実の愛のカタチ。さらに作品で多く登場する『万葉集』の和歌そして万葉歌人たちの恋模様。「令和」 という元号が『万葉集』から取られた今だからこそ『万葉集』に描かれる人間模様を読み取ってもらいたい。

内容が非常に深いため漫画とはいえ読むのに時間がかかるが、内容も難しくなく、食い入るように読める壮大な物語。
1000年前、世界的に女性が文学作品を書く時代出ない時に『源氏物語』という世界に類を見ない作品が生まれたが、1000年の時を超えて、日本人女性は物語文学を書く事に非常に長けているのではないのかとまで思わせるような作品。

2恋とマコトと浅葱色

恋とマコトと浅葱色

引用元: Amazon

作者漫画:伊藤正臣 / 監修:山村竜也
ジャンル-
出版社LINEコミックス
連載LINEマンガ(2019~)

現代的な内容でサクサクと読め、とにかく続きが読みたくなる内容

新選組隊士である原田左之助という人物にスマホ越しに恋をしている女子中学生の物語。
こういうと、ありがちなタイムスリップものに思うかもしれないけど実はそうではないというところがとても新鮮な作品。 また、主人公の少女は十数年前に流行った「歴女」といったものではなく、純粋に彼の生き様に恋をし、スマホを通じてリアルタイムに応援しているという感じがものすごく楽しい。

主人公の切ない恋心が見え隠れし、原田左之助とともに少女も応援したくなってしまう内容。 でも、史実では原田左之助は戊辰戦争の際の上野戦争のときに負った怪我が元で29歳で亡くなってしまうんですよね。 その結末を知っているだけにすごく切なくなります。

歴史にあまり興味がなくても読み進めて行けるところがいい。この作品を通じて新撰組の良さが、もっともっと皆に伝わってもらいたいと思うし、同時に「歴女」像が変わっていくきっかけになる作品になればと思っています。

3レイリ

レイリ

引用元: Amazon

作者原作:岩明均 / 漫画:室井大資
ジャンル少年漫画
出版社秋田書店
連載別冊少年チャンピオン(2015年11月~2018年12月)
巻数全6巻

武田氏の滅亡とともに武田信勝が亡くなった後の、レイリの行動に注目!

農民の娘でありながら長篠の合戦の際に、家族全員を殺されてしまった11歳の少女の数奇な運命を描く作品。
「家族は自分のために死んでいった」という原体験から、自分も誰かのために死にたいと死を急ぐレイリが行き着いた先が、武田信勝の影武者という設定がすごく面白い。武田信勝とは武田信玄の孫で、長篠の合戦で織田信長に敗れた武田勝頼の子に当たる人物。父の武田勝頼は、江戸時代からイケメンの代表として歌舞伎などでも度々取り上げられるような人物なので、その息子の影武者という設定が非常に面白い。

ランキング番外編!この歴史漫画もおすすめ!

歴史の流れが4コマ漫画でわかる!『信長の忍び』

信長の忍び(漫画)

信長の忍び(漫画)

引用元: Amazon

この作品は何と四コマ漫画です。4コマ漫画でひとつひとつをオチをつけながら描かれているのに、きっちりと歴史の流れがわかり、信長という人物の魅力が伝わってくる良作であると言えます。

また女性の忍び(つまり忍者)を主人公にして描いているため、ともすれば男性中心になりがちな戦国時代の描写において、女性的目線が描かれている良作であると言えます。
また四コマ漫画でありながらかなりの歴史考証をしているであろうということは作品からも伺えることができ、 歴史のプロが選んでも十分に楽しめる作品といえます。

実は私自身、この本の解説本を執筆させていただいたのですが、その経緯は、この本の内容に惚れ込み自分から売り込んでいったというものです。それだけ心を奪われた作品と言えるでしょう。

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