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che bunbunさんの「小説ランキング」

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更新日: 2020/08/12
che bunbun

映画の伝道師

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まえがき

読書感想文の季節なので、読書感想文にオススメしたい作品を10冊挙げました。

ランキング結果

人生のバイブル!路上を爆走する男たち

映画化もされた伝説的旅小説。社会のレールに争うようにアメリカを横断する。その先々でアルバイトをしたり、奇妙な一期一会を堪能しながら人生を爆走させていくが、段々と家族ができたり、将来の道ができていき、旅仲間との間に溝ができていく過程は大人になると苦く切ないものがあります。あれだけ仲良く無軌道に遊んでいた者たちも熱が冷めまともになっていく。そして気がついたら荒野を失踪しているのは自分一人だけとなる。ジャック・ケルアックは点の物語を繋いでいく過程で、こうした旅の終わり、青春の終わりの苦味を演出するのが上手い作家だなと思う。『深夜特急』が好きな人は影響受けるはずです。

今も変わらぬライターの苦悩とマウント

貧しい船乗りが恋に落ち、必死に勉強してライターになり、そして小説家を目指す本作は勉学は万人に解き放たれており、その気になることによって幾らでも道が開けることを教えてくれます。最初は、文字すら読めなかった彼が、船乗りの知識を駆使して少しずつ知識を拡張させていき、その過程で出会う人とのコミュニケーションを通じて様々な世界を行き来する術を身につけていく様はもっと早く知りたかったと思う。また、100年前の作品であるにもかかわらず、マウントの取り合いやスランプに悩む様は現在と変わっておらず普遍的な人間の苦悩を感じ取り共感することでしょう。

心理的成長と身体的成長の不釣り合いを描いた混沌

ディズニーアニメにもなっているサイケデリックでシュールな本作は、その奇抜性ばかり取り沙汰されるが、実は非常に書きごたえのある作品です。そして『千と千尋の神隠し』や『猫の恩返し』、はたまた昨今の《なろう系》ライトノベルにも通じるところがあります。それはズバリ、子どもが成長する過程で抱く違和感や閉塞感である。アリスは、飲食を通じて身体の大きさを変化させられるが、鍵を開けられないぐらい小さくなってしまったり、家から出られないくらい大きくなってしまう。精神と身体がコントロールできない息苦しさがそこにあります。また、冒頭の退屈な読書シーンに始まり、理解不能なお茶会シーン、そして不条理に満ち溢れた裁判シーンは幼少期から見た大人の世界を表象していると捉えることができます。この短い混沌を分析することはきっと充実した読書感想文へ繋がることでしょう。

怒れる若者の革命

経済が停滞し、閉塞感が包み込む中、怒れる中学生が蜂起し国を作ろうとする作品。本作は、現代の姥捨山を作ろうとしたり、非常に過激な内容となっているのだが、良き国を作りたい魂とその暴走がリアルに描かれている作品でもある。日本では「コロナはただの風邪だ」とクラスターフェスを引き起こす異端児が現れたり、アメリカでも過激なBlack Lives Matter勢力が湧き出たりするが、それはどういうことなのかを理解する上でも重要な一冊と言えます。

5モモ(ミヒャエル・エンデ)

モモ(ミヒャエル・エンデ)

引用元: Amazon

『モモ』(Momo)は、ドイツの作家ミヒャエル・エンデによる児童文学作品。1973年刊。1974年にドイツ児童文学賞を受賞した。各国で翻訳されている。特に日本では根強い人気があり、日本での発行部数は本国ドイツに次ぐ。 1986年に西ドイツ・イタリア制作により映画化された。映画にはエンデ自身が本人役で出演した。 日本では、1987年に女優・歌手の小泉今日子が朝日新聞のインタビュー記事で本作の大ファンであることを公言し、話題になった。

時間泥棒のパートは必読!

社会人になる前に読んでほしい一冊。

社会人になると目の前の仕事に忙殺され、生きる気力を失いがちだが、本作を読むとそれはある種の《時間泥棒》のせいなんだと気付かされます。人はお金だけではなく時間を消費して生きている。お金とは違って、時間は誰しも等しく与えられており、それをどう使うかで自分の人生が決まってくるのだが、現代人は知らず知らずのうちに時間が奪われてしまっている。そういうことをミヒャエルエンデは教えてくれるのです。

実は超絶面白い哲学小説

異常に長く難解で避けたくなりそうな本作。確かに、目覚めてからベッドを降りるまでに30ページ近く費やし、一文も樋口一葉並みに長く読みずらいのだが、本作は推しメンを作ったり、数ページに一度登場する哲学を味わうことで誰でも楽しく読むことができます。

階級によって3本指で握手し始めるシャルリュス男爵が、男色に目覚めて変態を極めていく姿は読み応えがあります。また、もしあなたが映画好きであるのならば窓の使い方に着目して読むと、窓に映る景色から別の人生を覗き込む表現が映画的であることに驚かされるでしょう。

実は何度か映画化されており、個人的にはラウル・ルイスの『見出された時』とシャンタル・アケルマンの『囚われの女』がオススメです。

7本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜

本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜

引用元: Amazon

幼い頃から本が大好きな、ある女子大生が事故に巻き込まれ、見知らぬ世界で生まれ変わった。貧しい兵士の家に、病気がちな5歳の女の子、マインとして……。おまけに、その世界では人々の識字率も低く、書物はほとんど存在しない。いくら読みたくても高価で手に入らない。マインは決意する。ないなら、作ってしまえばいいじゃない!目指すは図書館司書。本に囲まれて生きるため、本を作ることから始めよう!

文学史の豊穣な考察を異世界にぶつけ

最近の読書感想文は、ライトノベルも許容されるとのこと。ライトノベルから私が選ぶとすれば『本好きの下剋上 第一部「兵士の娘I」』だろう。図書館に就職することが決まったヒロインは、不慮の事故で亡くなり、異世界へ転生する。本が高価で、市民が触れることのできない世界で、大好きな本を作るために奮闘するこの作品は、文学や紙がどのような過程で生み出されてきたのかを一人の女性の奮闘を通じて語り尽くしたもので、文学史への好奇心が掻き立てられます。また、転生前の世界にしかない言葉は、転生先の世界では判読不能な言葉として聞こえてしまうという本の特徴を活かした表現で異文化コミュニケーションを描いており、興味深い内容となっています。

暑過ぎる蟻地獄

旅先で蟻地獄のような空間に閉じ込められた男が謎の女を横に足掻く様子を描いた安部公房の代表作。掘っても、掘っても砂が崩れ落ち、劣悪な環境ながらも女はその環境を受け入れ、訪問者の男にその生活を強要する。

絶望的な状態の最深部で男が気づくある決断は、コロナ禍である今読むと心に染みるものがあります。

9はつ恋(小説)

はつ恋(小説)

引用元: Amazon

『初恋』(はつこい、ロシア語原題:Первая Любовь ピェールヴァヤ・リュボーフィ )は、1860年に雑誌『読書文庫』に発表されたイワン・ツルゲーネフによる中編小説。半自伝的性格を持ち、作者が生涯で最も愛した小説と言われている。

その女心、気づいてくれ!

ジナイーダに想いを寄せるウラジーミル。彼は、彼女を取り巻く多くの男を前に「俺なんか」と引っ込んでしまっているが、そんな彼の想いをジナイーダは知っている。ウラジミールの気づかない恋の真相にもどかしさを感じる本作は、青春の甘酸っぱい恋の駆け引きを描いた傑作である。本作を読むと、大事な瞬間を恥ずかしさから逃してしまうことがいかに愚かなことかが分かります。『若きウェルテルの悩み』同様、淡い恋の蜜を味わいたい時にオススメな一冊です。

101984年

1984年

引用元: Amazon

『1984年』(1984ねん、Nineteen Eighty-Four)は、イギリスの作家ジョージ・オーウェルの小説。1949年刊行。単に『1984』とも。 トマス・モア『ユートピア』、スウィフト『ガリヴァー旅行記』、ザミャーチン『われら』、ハクスリー『すばらしい新世界』などのディストピア(反ユートピア)小説の系譜を引く作品で、全体主義国家によって分割統治された近未来世界の恐怖を描いている。

監視国家の恐怖

『華氏451度』と並ぶ監視国家の恐怖を描いた作品。市民を統治するために、架空の戦争をでっち上げ、証拠を隠滅しながら歴史を湾曲させる背景描写に始まり、ネズミを使った拷問など、ギョッとする描写のオンパレードで高校時代に読んでトラウマとなりました。ジョージ・オーウェルの『動物農場』と併せて読んでほしい一冊。

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