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ふさんの「ヨルシカの曲ランキング」

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更新日: 2020/08/07

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ランキング結果

1だから僕は音楽を辞めた / ヨルシカ

だから僕は音楽を辞めた / ヨルシカ

公式動画: Youtube

アーティストヨルシカ
作詞・作曲n-buna
リリース2019年4月10日『だから僕は音楽を辞めた』
収録アルバム『だから僕は音楽を辞めた』
タイアップ-

テンポ、歌詞、徐々に強くなっていく声

エイミーが投げやりになっているような歌ですが、つらい時に歌詞がとても共感できる曲です。
曲名の通り、音楽を魂として何より大切にしていたエイミーが悩みに悩んだ末音楽をやめる(諦める)のですが、アルバムのタイトルになっているだけあってエイミーとエルマの物語に重要な意味を持っています。

“幸せな顔した人が憎いのは
どう割り切ったらいいんだ
満たされない頭の奥の
化け物見たいな劣等感”

などのドロドロした感情をsuisが感情を込めて吐き出してくれるため、エイミーの気持ちと共感してしまいます。
suisさんは感情の込め方が上手いなあと思わされる名曲です。
suisさん本人もインタビューでそのようなことを言っていますが、サビの歌詞である

“考えたんだ、あんたのせいだ”

など普段の自分では言えない気持ちを代弁してくれるため、歌うとストレス発散になります。私もよくカラオケで歌う十八番です。
n-bunaが一番自分を詰め込んだ曲でもあり、「内向的な人は共感しやすいんじゃないか」というようなことをインタビューで言っていたので、私は内向的なインキャかもしれません笑

テンポ、スウェーデンと日本の地名の対比、感情

この曲で私が一番好きな箇所は、二番Aメロの

“ストックホルムの露天商 キルナ
ガムラスタンは石畳”

です。これは一番の同じ箇所の

“東伏見の高架橋 小平
富士見通りと商店街”

と対応しています。
エイミーが旅したスウェーデンの地名と、目の前に立ちはだかる現実である日本の地名が理想と現実のような心情を表しているのではないでしょうか。
この箇所が好きすぎてガムラスタンに行ってみたくなりました。

最低だ、最低だ、と吐き捨てるサビも自己嫌悪とエルマへの想いが込められていて迫力があります。

他にこの歌ですごい!と思うところは、

“初めてバイトを逃げ出した”

“狭心もプライドももうどうでもよかった
気に食わない奴にも頭を下げた”

というようなどこまで現実が描かれているところです。
サビではロックンロールとか賛美歌とかよく分からないことを言い始めるけれど、(リアルで非情な)現実から始まるため飛躍しすぎずに感情移入できます。

さらに、サビの

“気持ちよくて仕方がないわ”

などと急に女性口調になるところも好きです。「どうせ死ぬんだから」などの男性調のような強い口調とこの女性口調の融合がじわじわとハマります。

“知っていた 知っていた
君の人生君のもんだ
最低だって、いくら叫ぼうが”

もつい口ずさんでしまいます。
最低だ、最低だ、とサビで何度も繰り返し叫んだ後なので、どんなに叫ぼうと君の人生に僕は介入できないという虚しさが伝わってきますね。

サビ、メロディー、歌詞

私がヨルシカを好きになるきっかけになった思い出の曲です。
サビのメロディーを聴いた瞬間に惚れました(笑)

ただ、ただ雲を見上げても
視界は今日も流れるまま
遠く仰いだ空に花泳ぐ
春と見紛うほどに
君をただ見失うように

がサビなのですが、「ただ、ただ」の部分の切なさと、「見上げても」「花泳ぐ」のちょっと和風なテイストが上手くマッチしています。
また、Cメロでは

エルマ、君なんだよ
君だけが僕の音楽なんだ
この歌はあと80字

と、世間に揉まれて何のための音楽か分からなくなっていたエイミーがようやく自分にとって本当に大切なものに気がついた場面になります。
そして「この歌はあと80字」の後の歌詞は本当に80字ピッタリで書かれており、n-bunaの作詞の緻密さと曲への愛を感じます。

サビ、メロディ、歌詞

もう亡くなってしまった相手を必死に思い出して忘れないようにしようとする歌です。基本的にエイミー視点の「だから僕は音楽を辞めた」のアルバムの中にありながらエルマ目線で歌われているような気もします(ノーチラスでわかるように亡くなるのはエルマなので)。最後は思い出せなくても、この心の痛みが(死んだあなたが生きていた)証明だ、と続いて切ないです。

さようなら青々と息を呑んだ
例う涙は花緑青だ
黙ったらもう 消えんだよ
馬鹿みたいだよな 
思い出せ!
思い出せないと頭が叫んだ

のサビの部分が一番好きです。花緑青とは、昔ヨーロッパで使われていた青緑色の毒性の顔料のことだそうです。始まりの曲とされているノーチラスに、エイミーがこの花緑青を飲んで海に沈んでいく描写があります。このことからも、死を暗示していると言えるでしょう。

「思い出せ!思い出せないと頭が叫んだ」の部分の思い出せ、思い出せと二回同じ言葉が続く掛け合いがテンポが良くて個人的に大好きです。

歌詞、歌詞の背景、あっさりした歌い方

これはエイミーとエルマの物語ができる前のアルバムである「負け犬にアンコールはいらない」に収録されている曲です。
大切な人を亡くした女の子(MVで制服を着ているので中高生と思われます)が先生に深い質問を問いかける形式の歌詞になっています。
しかし、先生(「大人」の象徴と考えられます)は答えを教えてくれないし、偉大な哲学者や心理学者であるニーチェやフロイトの本を読んでも心にぽっかり空いた穴の埋め方が分からない。生きているだけで苦しいのに、大切な人がいない世界でこれから生きていく意味は何か、と問いかける深い歌詞です。
他の歌詞のように深い解釈は必要とせずに聴くだけである程度理解と共感ができる点、いつも感情を込めて歌うsuisが他の曲に比べてあっさりと歌っている点が特徴かと思います。あっさりとした歌い方がメロディと合っており、それが一層絶望の中で感情を失いかけているこの歌の主人公の喪失感を引き立てています。

先生人生相談です
この先どうなら楽ですか
涙が人を強くするなんて全部詭弁でした
あぁ、この先どうでもいいわけなくて
現実だけがチラついて
夏が遠くて

が私の一番好きな部分です。
大切な人を亡くしたショックに浸っている主人公ですが、同時にいつまでも過去に浸っていられないことも頭ではわかっており、自分の目の前にある淡々と続く苦しい現実を前に焦る気持ちがなんとも苦しいですね。
ここで言う「夏」は大切な人と過ごした楽しかった時間のことでしょう。

MV、物語性、歌詞

4位の五月は花緑青の窓辺からでも少し話しましたが、エイミーとエルマの物語の始まりの曲とされている歌です。
エルマはエイミーが遺した手紙に沿ってエイミーが旅したスウェーデンを巡りますが、この歌は最後に行き着いた場所で見つけたエイミーからエルマへの手紙がそのまま歌詞になっています。

さよならの速さで顔上げて
いつかやっと夜が明けたら もう
目を覚まして 見て
寝ぼけ眼の君を
何度だって描いているから

と、エルマに愛を語りかけます。
特に好きなのがCメロの

丘の前には君がいて
ずいぶん久しいねって
ラップランドの納屋の下
ガムラスタンの古通り
夏草が邪魔をする

これはエイミーがエルマとの再会を夢見て思い出の地を回想する部分です。夏草が邪魔をするのは毒薬である花緑青を煽って死ぬことでしょうか。エルマとの思い出が死ぬことに対する僅かな葛藤になっているのかもしれませんね。

歌詞、スカッとする、テンポ

全体的に皮肉が効いた曲だと思います。

“死ぬほどあなたを愛してますとかそういう奴ほど死ねません”

“「逃げるは恥だが役に立つ」とか言うけど正直立てません”

など、最初から皮肉が入ってきます。以前流行ったドラマの逃げ恥をちょっぴり意識しているのか?とか思ったり笑
でもn-bunaさんならもっと元の諺などから意味を引いていそうな気もします。

特に好きな場所は最後の方の

“吠え面かけよ偽善者!

もう一回もう一歩だって歩いたら負けだ
世界平和でも歌うか
早く全部を救えよ愛とやらで”

という歌詞です。
「負け犬」が「勝者」である「偽善者」に、お前が偉そうに口舌垂れる素晴らしい「愛」とやらで世界を救って見せろよ、できないだろう。という皮肉っぷりがすごく好きで共感してしまいます。
「だから僕は音楽を辞めた」や「藍二乗」、「エイミー」などで出てくるような、夢や理想だけじゃ食っていけないという、n-bunaの実体験に基づく心の叫びを反映しているのではないかと深読みしてしまいます。

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