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ランキング結果
ユートピア思想と煩悩
悲劇ではワーグナーとしましたので、喜劇ではシュトラウスの「ばらの騎士」あるいは「アラベラ」とすべきでしょうか。しかし、私の好みから言えば断然「ニュルンベルクのマイスタージンガー」となります。「トリスタン」と並ぶワーグナー壮年期の大傑作です。めくるめく音に浸る喜びをこれほど堪能できるドイツ語オペラが他にあるでしょうか。
休憩時間を除いても4時間半かかるような長大な作品ですが、時間が経つことを忘れてしまうような魅力に溢れた作品です。
3位ドン・カルロ / ジュゼッペ・ヴェルディ
引用元: Amazon
公的な対峙と私的な軋轢
ドイツのワーグナーは1813年生まれ、同じ年にイタリアでこれまたオペラの巨匠が生まれています。ジュゼッペ・ヴェルディ。人気作となれば「ラ・トラヴィアータ(椿姫)」や「リゴレット」といった中期作品となるかもしれません。また、最高傑作となれば「オテロ」でしょう。しかし、今回は私の"好きな"作品ということで「ドン・カルロ」を選びます。(この作品にはいろいろな版がありますが、イタリア語5幕版、所謂「モデナ版」です。)
壮大な歴史絵巻を観るような趣であり、名旋律が惜しみなく畳み掛けてきます。そして、何事も解決されずに幕が閉じられる悲劇、鑑賞後は放心状態になることがあります。
4位ランスへの旅 / ジョアキーノ・ロッシーニ
引用元: Amazon
これほど贅沢なオペラがあるでしょうか?
イタリア語の喜劇は同じくヴェルディの「ファルスタッフ」がありますが、ロッシーニにします。ロッシーニ喜劇の代表作ならば「セビリアの理髪師」ですが、どうもこの作品、私と相性がよくありません(汗)。初期の喜劇ならば「ラ・チェネレントラ」は大好きです。
しかし、ここでは「ランスへの旅」を挙げます。この埋もれていた名作が前世紀に蘇演されたことは、ロッシーニ・ルネサンスに拍車をかけたことに間違いないでしょう。
シャルル10世の戴冠祝賀行事の一環として作曲され、主役級の歌手が10人以上も必要という贅を凝らしています。中盤の「14声による大コンチェルタート」は圧巻です。
(ロッシーニの喜劇ならば「オリー伯爵」を筆頭にしたいところですが、フランス語ですので、ここは「ランスへの旅」に譲りました。)
5位タイス / ジュール・マスネ
引用元: Amazon
妖しい美しさと浄化
フランス語オペラで人気作品となればビゼーの「カルメン」あるいはグノーの「ファウスト」でしょう。しかし、ここではフランスの香気が漂うような作品としてマスネの「タイス」をランキングしました。ヴァイオリン独奏による「タイスの瞑想曲」が非常に名高い作品となっていますが、その原曲こそが、オペラ「タイス」にあります。ヴァイオリン独奏曲ですと、とても美しい作品という印象ですが、オペラでは退廃美さえ感じられるほどの妖しい美しさが醸し出されています。
6位ホフマン物語 / ジャック・オッフェンバック
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芸術は愛よりも勝る?
フランス語の喜劇からはオッフェンバックの「ホフマン物語」がランキングインしました。「ホフマンの舟歌」をはじめとして名旋律が散りばめられた珠玉の逸品です。ただし、このオペラ、他の数多のオペラ作品とは一線を画していることがあります。オペラでは悲劇にせよ喜劇にせよ恋、愛の謳歌が常道です。(恋、愛の要素が薄い歴史絵巻のようなオペラもあります。)
ところが、この「ホフマン物語」、4つの恋が描かれていながら、それらを昇華した上で「芸術」が勝るというオチとなっています。このような芸術賛歌は他のオペラには見ることができない特徴と言えるでしょう。
あとがき
こうして、私の好きなオペラを整理してみると、あらためて、オペラの魅力の広大さ深遠さに気づかされた次第です。
よろしければ、皆さんのオペラおすすめランキングをお聞かせください。
ここまでご覧いただきまして有り難うございました!
令和2年(2020年)7月7日火曜日 鏻㥥
「あらゆる夢の中で最も麗しい夢への記念碑」
ドイツ語オペラの巨匠となればワーグナーでしょう。そのワーグナー作品から何を選ぶかが更に問題です。畢生の大作「ニーベルングの指環」あるいは晩年の総決算「パルジファル」もありますが、音楽の歴史を変える扉を開いた「トリスタンとイゾルデ」を挙げます。
この作品の魅惑については、フリードリヒ・ニーチェ、トーマス・マンといった錚々たる言葉の達人が名言を遺しています。私の出る幕などなさそうですが一言。"Nihil difficile amanti." (「愛する者には何事も困難ではない。」)