いおりさんの「ドイツ映画ランキング」

ヘルムートバーガーの狂気と、戦争に向かっていく不穏な空気が怪しげでかっこいい

お金持ち一族の権力争いと、戦争に向かっていくストーリーが混ざり合い、どろどろとした展開が魅力の映画です。さすがビスコンティ監督の手がける映画なだけあって、全てのショットで構図や俳優たちの顔の美しさが強調されており、例え字幕なし・声なしだったとしても映像美に酔いしれてしまいます。なんといっても主演のヘルムートバーガーの怪しげな魅力が最高です。特に女装をしてダンスを披露する場面など、時折見せる美男子の狂気が痺れます。全体を通じて戦争がどんどん身近に差し迫る恐怖を感じつつ、お金持ちの人々は他人事で見ないようにするものの、徐々に閉塞感で狂った方向に行ってしまうといった、そんな人間ドラマが見える、最高傑作です。