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高橋 真生さんの「全ジャンル総合・絵本ランキング」

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更新日: 2020/10/02
高橋 真生

学びと読書のアドバイザー、絵本専門士

高橋 真生

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まえがき

絵本は子どものもの? いえいえ、そんなことはありません。

同じ絵本でも、経験を重ねた大人がまっすぐに絵本と向かい合うからこそ、受け取れるメッセージや新たな発見があるのです。

今回は、私の好きな絵本の中から、「子どもも大人も楽しめる」「何度も読みたくなる」「気持ちがふわっと明るくなる」絵本を選びました。

絵本の表紙は、違う世界への扉です。あせらずゆっくりと、ページをめくってくださいね!

ランキング結果

この旅は、絵本を開いたその瞬間の自分次第

中部ヨーロッパから、イギリス・アメリカ・日本など、世界のあちこちをめぐる「旅の絵本」シリーズ。ページのどこかにたたずむ旅人を探す、文字のない絵本です。

自然や街並み、人々の暮らしが描かれた美しい風景の中には、実は、名所や歴史上の人物、物語の一場面、有名絵画などが盛り込まれています。たとえば、シリーズ第一作目の本書には、赤ずきんちゃんにベートーベン、ゴッホの絵画などが隠れています。

絵本の中で何と出会うかは、それまでの経験次第。旅人を探しながら自分がその土地を旅する主人公になるかのような、まさしく「旅」の絵本です。

一人で読んでも誰かと読んでも、それぞれの楽しさがあるのも魅力の一つ。読み返すたびに新しい発見があるので、5歳くらいから大人の方まで、幅広い年齢の方におすすめです。

2ガンピーさんのふなあそび

ガンピーさんのふなあそび

引用元: Amazon

著者ジョン・バーニンガム
出版社ほるぷ出版

あたたかで、ちょっととぼけた味わいのあるロングセラー

小舟で出かけたガンピーさん、子どもや動物たちから次々に「つれてって」と言われます。そのたび、「いいとも」「けんかさえ しなけりゃね」などと約束しながら乗せてあげるのですが、そのうちみんなが「してはいけない」と言われたことを、ことごとくしてしまい……。

どんどん増える動物たちとのやりとりは楽しく、小舟がひっくり返るところでは思わず声や笑いが出ます。さらに最後は、みんなで幸せなティータイム。小さな子どもたちが大喜びする絵本です。

そして、私が大人としてハッと胸をつかれたのは、ガンピーさんの懐の深さ。約束を守れなかったのに、叱りもせず、おいしいものを食べさせてあげる― そんなことができるかな。穏やかな心のお守りとして、傍らに置きたい絵本です。

生命力が渦のように湧いてくる絵本

猫の「オレ」のところへ、やってきた「きいろ」。つかまえようとするけれど、きいろはオレを翻弄するかのように、さまざまに姿を変えていき……。

まぶしいほど明るいきいろの渦と、絵本の中を勢いよく動き回るどこかおちゃめなオレを見ているうちに、おなかの底のほうから力が湧いてくるような絵本です。

どのページも絵になるせいか、大人向けのアートの絵本かと聞かれることもありますが、子どもだって、この絵本が大好き。エネルギーをしっかりと受け取って、オレと一緒に走り回ったり、大きな声を出したりします。眠る前に読むにはおすすめできませんが、ぜひ手に取ってみてくださいね。

ちなみにこの絵本は、絵本の国際的なコンクールであるブラティスラヴァ世界絵本原画ビエンナーレで、2015年に、第2 位にあたる金のりんご賞を受賞しています。

あとがき

文章のある絵本は、一人でも、ぜひ声を出して読んでみてください。ゆっくり読むことで、絵やことばが体にしみこんできます。

もちろん、誰かに読んでもらえるならそれが1番! 文字が読めるようになった子は、意外と喜んで読み聞かせをしてくれます。ページの端から端までじっくり見ることができますし、一人で読むのとはまた違った味わいがありますよ。

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