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チェスの話
自分の殻に閉じこもりがちだった少年が、ある男性からチェスを教わって、チェスの名プレイヤーとして成長していく物語です。コンプレックスを抱えていた少年がたくさんの人たちと出会い多くのものを学び、感受するさまは見ている人になんだか勇気をくれます。ときには別れも経験し切ない思いをすることも。
チェスに興味がない、チェスのルールもわからないといった人にもオススメできる作品。事実まるでチェスのことを知らない私ですら、最初から最後まで中だるみすることなく読むことができました。
主人公の少年を含めてチェスに関わる人たちの情熱や思いの強さが素敵。小川さんの紡ぎ出す言葉の美しく優しい世界観に浸っているだけでも楽しめます。
人気作
映画化もされた人気作です。メインとなるのは、80分限定の記憶しかない数学博士、彼の世話をする家政婦、そんな家政婦の息子で阪神タイガースファンの少年の3人。学生時代数学が苦手だった私も、丁寧に解説してくれる博士のおかげで苦もなく読み進めることができました。数式の美しさ、その一端を知った思いです。そんな私と同じように、家政婦の「私」もどんどん数字に対して理解が進んでいきます。なので自分自身と投影させながら物語を見ていました。そして博士から少年に注がれる愛。博士との意思疎通に困っていた「私」を助けたのも、少年への愛でした。少年への愛が分かるシーンが出てくるたびに心がぽわっと暖かくなります。
終始暖かさが横たわった静かで優しいお話。
ブラフマン
主人公がブラフマンと名付けた小動物。どんな動物なのかは作中ではっきりと名言していないので、読者の想像力次第でどんな動物にでもなると思います。それでも共通しているところはブラフマンの愛らしさでしょう。そんな不思議で愛らしい小動物、ブラフマンとのひと夏の思いではいとしさに満ち満ちています。何気ない毎日が楽しそう。小川さんの美しい情景描写も必見。簡単に小川ワールドへと想像を飛ばすことができます。
タイトル通り、ブラフマンが死んでしまうシーンはとても悲しく涙ができました。本当に唐突な死ですが、どこか淡々としていて、死というものについての向き合い方を探っているようにも思えました。