2020/10/19
引用元: Amazon
あらすじ・ストーリー | アンディは17歳になり、大学の寮に引っ越す準備をしていた。長年のお気に入りのおもちゃであるウッディのみを残し、バズ、ジェシー、スリンキー等のほかのおもちゃは屋根裏にしまわれることになる。危うくゴミと間違って捨てられそうになるが、間一髪脱出することに成功。今後をどうするかと悩んでいる時、「サニーサイド保育園」に持っていくおもちゃ箱を見つけ、バズたちは寄付される道を選ぶ。 |
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制作年 | 2010年 |
上映時間 | 103分 |
監督 | リー・アンクリッチ |
メインキャスト | 唐沢寿明(ウッディ)、所ジョージ(バズ・ライトイヤー)、日下由美(ジェシー)、永井一郎 (スリンキー・ドッグ)、三ツ矢雄二(レックス)ほか |
主題歌 | ダイヤモンド☆ユカイ『君はともだち』 |
制作会社 | ピクサー・アニメーション・スタジオ |
公式サイト | - |
ラセター効果で品質が上がり始めた過渡期の傑作
さて、そのジョン・ラセターだが、彼がピクサーアニメのおそるべき品質の高さの源であったことは疑いない。そして、彼は2006年からディズニーも含めた創作部門の最高責任者になった。だから、この時期からは本家ディズニーのアニメ作品も品質がぐんぐん上がっていった。
そんな時期に作られたのがこの『ティンカー・ベル』で、見るとなるほど、のちの『トイ・ストーリー3』につながる、労働者賛美のテーマが見て取れる。
金融やITなどという、当時のアメリカが邁進していた実態不明な虚業でなく、地に足の着いた製造業、ものづくりに携わる人たちへの応援歌なテーマを隠し持つ本作は、だから大人の鑑賞にも堪えるのである。
脚本重視の作風はあきらかにラセターの影響が色濃く、そこにディズニーらしいファンタジックな美術の魅力が加わる。
という事で、もともと大作として作られたわけでもないし、メジャーでもないものの、なかなかの掘り出し物だったりするわけだ。
最後の手描きアニメーション
こいつをアニメ映画のカテゴリーに入れていいかはビミョーなのだが、もはやアメリカから手描きアニメの技術が失われつつあった時代に、ディズニーキャラクターを描いた経験を持つ最後のスタジオといわれたジェームズ・バクスター社が手掛けた作品なのだから、これはもう、まごうかたなきディズニーアニメーションと呼んでよいだろう。
あまり言われないが、この映画の前半のアニメーションの出来はなかなかのもので、ハンドメイドのディズニーアニメの良さを、現代的な構図割りのセンスで味わえる最後の作品ではないかと思われる。
そして何より、この映画にはディズニーアニメを好きなら好きなほど楽しめる仕掛けが満載。後半のぶっとんだ展開は、ディズニーファンほど大爆笑、そして満足できる。
ちまたではセルフパロディなどと称される本作だが、同時にディズニーファンへのアンケートでは一番好き、と答える人も少なくない。
それは、作り手に過去のディズニーアニメーションへの愛があふれているからではあるまいか。
ディズニー/ピクサーの傑作にしてCGアニメの最高到達点
『トイ・ストーリー3』は、ディズニーの映画コンテンツを持ち前の3DCGの技術力で支え続けるピクサー社製作のアニメーションで、同社の看板シリーズの完結編である。もっとも、完結編とかいって結局そのあと続編が作られた件は、とりあえずここでは見なかったことにする。
『トイ・ストーリー』のエンディングにして、ありとあらゆる続編物の中でもトップクラスのパーフェクトなラストを持つこの『3』は、やはり1位以外に置くのは難しい。
じつはこの映画の公開時はアメリカがまだリーマンショックの大不況から立ち直れていなかった。だから、「生業を大切にすることで道は開ける」との力強いメッセージを内包した本作には、子供を楽しませることのみならず、雇止めや慣れない転職で苦しむお父さんたちを暖かく励ます意味合いもあったのだ。
15年間にわたるシリーズものを完結させる大仕事というだけでも大変なことなのに、それに加えて、人々を元気づけることで落ち込んだ時代の空気をも変えようとした。『トイ・ストーリー3』は、そんな映画だったのである。
空になったはずの箱の中にウッディを見つけたアンディが、手を伸ばす少女サリーに思わず見せた反応──。このシーンは、3D-CGアニメーション表現における最高到達点として、永遠に人々の心に刻み込まれるだろう。ランディ・ニューマンによる劇伴音楽も素晴らしい。
元ディズニーのアニメーターにしてピクサー創業者のジョン・ラセターが全工程に関わり完成させた最後のトイ・ストーリーとして、必見の傑作と断言する。