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ぶちまけられる言葉の奔流に酔いしれる
心を病みながらも何とか社会生活を送っている女性作家の日常と、彼女が綴る乱文とも散文ともつかぬ文章が織りなす得体の知れない空気を孕んだ物語です。
ストーリーはあるような、ないような。揺れ動く主人公の精神状態が紙面から伝わるかのように読んでいる間中ずっと胸がざわつきます。不快感すれすれの感覚が気持ちいいです。
作者がたどり着いたのは『どこ』なのか?
ひとりの女性の人生のそれぞれの転機を連作短編の形で綴った小説です。
それまでの著作より文章がこなれている印象を受けます。それなりに波乱含みの人生でありながらその局面、局面を淡々と生きている様に見える主人公、今までの著者の本よりも文章から刺々しさが消えてマイルドになりラストに作者の成長を見ました。
日常は尊い。変わり続けながら歩き続ける人生もまた、尊い。
一気読み必至の金原ひとみの原点
言わずと知れた金原ひとみのデビュー作、芥川賞受賞も納得の鮮烈なインパクトを与える冒頭が印象的です。
痛みと流血を伴う身体改造を進めながら虚無的に生きる少女、ルイが最後に掴んだものとは何だったのでしょうか。
主人公が自らのからだに施す身体改造や度々出てくるセックス描写がセンセーショナルな印象を与えるものの、あまりにも切実な「生への実感」への渇望が読者にまで伝わってきます。