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2位アッシュベイビー
引用元: Amazon
アッシュベイビーとは金原ひとみの小説である。集英社から2004年に刊行した。芥川賞を受賞した蛇にピアスに続く第二作目となる作品。 表紙の写真はハンス・ベルメールの球体関節人形である。 生々しい描写でペドフィリアや同性愛者を描ききった作品。芥川賞の選考委員を務めた村上龍は『歪んでいるが、とても美しい』と評している。
過激で歪んだ性愛の世界が描かれる
デビュー作の「蛇にピアス」にもマゾヒズム的要素が散りばめられていましたが、今作「アッシュベイビー」では、サディズムやペドフィリアなど、さまざまな歪んだ性の世界を描いています。一見過激でグロテスクですが、その根底には切実な渇望と愛への執着が描かれているのです。
狂気の理由、必然がわかるような気がする
拒食症と錯乱癖がある女性が主人公。彼女は自分の狂気を錯乱時に書いた文章を読む事で認識しています。他者から見れば、彼女の平常時の食べ物に関する嫌悪感や、錯乱時の文章などはまったく理解も共感もできないものでしょうが、この作品を読むと彼女なりの、哲学や美学がそこにあるのだということを分からせられてしまいます。
愛と本当の自分を渇望する女性の切なさ
カメラマンの彼氏を持つモデルの女性が主人公。誰もが羨むような二人の関係だが、主人公の心の中は葛藤だらけです。モデルとして、商品としての価値を保つため、食事は噛むだけで飲み込む事はしない「噛み吐き」と言われる行為を日常的に行っています。本当の自分では彼に愛されないのではないか、彼は本当に自分を愛しているのか、自分はどうなのか。そんな痛々しい心が読み進めるごとに切実に胸に迫ってきます。
まるで作者の自伝ではないかと思えるような仕掛けが散りばめられている
オートフィクションとは、作者の自伝と思わせるような内容の創作物のことを言うようです。そのような作品を書くことを依頼される作家のリンが今作の主人公。読み進めるうちに、リンは金原ひとみなのではないかと思えて仕方がなくなってしまいます。
金原ひとみのデビュー作はやはり外せない
映画化もされた金原ひとみの衝撃のデビュー作がこちら。マゾヒズムを持つ少女が主人公の青春ストーリーで、歪んだ愛情の中に見え隠れする純粋で切実な想いや、それを表現する独特の文体に惹きつけられます。金原ひとみ作品を読み始めるならまずは外せない1作です。