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前田 有一さんの「どんでん返しがすごい映画ランキング」

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更新日: 2020/09/23
前田 有一

映画批評家

前田 有一

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まえがき

どんでん返しを好む映画ファンというのは、映画を紹介する側からすると、はっきりいって面倒な客である。並大抵の映画はもう見終わった、もっと刺激が欲しい、そう、刺激だ、オレは刺激がほしいんだぁぁぁぁぁ!

という、ラーメンにひたすら唐辛子の粉を入れ続ける辛味狂信者のごとき存在といっても過言ではない。

このページをあえて読んでいるあなたは、おそらくその世界に足を踏み入れたばかりの、これまではせいぜい3辛程度で満足してきた人たちだろう。ならば3位の「ダイアナの選択」あたりから試してみるとよい。

間違っても1位から見てはいけない。これは、ほかのものではもう刺激を受けることがなくなった、いわば生けるしかばねのような不感症の映画ファンの感受性を再びたたき起こし、映画への情熱を呼び覚ますための劇薬である。

くれぐれも素人が見てはいけない。どうかお気を付けのほど。

ランキング結果

1カノン(1998年)

カノン(1998年)

引用元: Amazon

制作年1998年
上映時間95分
監督ギャスパー・ノエ
メインキャストフィリップ・ナオン、ブランディーヌ・ルノワール、フランキー・バン、マルティーヌ・オドラン
主題歌・挿入歌-
公式サイト-

よほどの覚悟なしには絶対見てはいけない映画

これを見るときは必ず前編にあたる「カルネ」(94年、仏)とセットで見なくてはいけない。だがあまりにもこの2本は衝撃的なので、これからもほのぼの気分で映画というコンテンツを普通に楽しみたい人は、絶対に見てはいけない。

なぜここまで警告するかというと、「カルネ」の冒頭には、「注意! 感受性を傷つける危険な部分があります」など恐ろしいテロップが流れるわけだ。当然、一瞬戸惑うわけだが、その1秒後に超ド級の残酷映像が流れるのでどうにもならない。だから見る前に、何度でもあなたに警告しなくてはいけない。それが、この2本を人様に紹介するときの最低限のマナーだと私は信じている。

さて、それでも「カルネ」を経て「カノン」が終わるころには、観客はなにか心救われる体験ができるのだろうか。否、おそらくあなたはこの衝撃のオチに、再び激しく後悔することになるだろう。

それでもこの2作品は、映画というジャンルの奥深さを人々に刻み付けた点で、映画史に残る傑作である。

2ワイルドシングス

ワイルドシングス

引用元: Amazon

制作年1998年
上映時間108分
監督ジョン・マクノートン
メインキャストケヴィン・ベーコン(レイ・デュケ)、マット・ディロン(サム・ロンバート)、ネーヴ・キャンベル(スージー・トーラー)、デニス・リチャーズ(ケリー・バン・ライアン)ビル・マーレイ(ケネス(ケン)・ボウデン)ほか
主題歌・挿入歌-
公式サイト-

誰もがすすめるどんでん返し映画だが……

どんでん返し映画と聞けば、誰もが一度はすすめるのがこの映画である。まだ見ていないならば、とりあえず見ておいて損はない。

だいたい予想を超える展開、などとよく言われるが、本作のようにそれが行き過ぎてギャグの粋に達した映画というのはそうそうない。もしもあなたが「ワイルドシングス」(98年、米)の前半1時間のあらすじから後半を正確に予測できたとしたら、もはや人間ではない。今すぐ占い師か未来予測師か、何かそういうスピリチュアルな職に転職すべきだろう。

主人公の模範的教師は、教え子二人からレイプされたと訴えられる。田舎町の大スキャンダルとなるが、訴えた女子高生は大富豪のわがまま問題児とそのヤク中の親友。矛盾だらけの二人の証言を、孤軍奮闘の弁護士が崩す様子が痛快だが……。

まあ、ここまであらすじを書いてもネタバレになる心配は全くない。なぜなら、絶対にその先は読めないからだ。

ところで、この映画を見るときに絶対守らなくてはならない決まりがある。それは、視界からすべての時計を隠し、DVDドライブ等の液晶画面には黒いテープを張り、「映画の残り時間」を絶対に見ないように鑑賞するということだ。お楽しみあれ。

3ダイアナの選択

ダイアナの選択

引用元: Amazon

制作年2007年
上映時間90分
監督ヴァディム・パールマン
メインキャストユマ・サーマン(ダイアナ・マクフィー)、エヴァン・レイチェル・ウッド(ダイアナ・マクフィー高校時代)、エヴァ・アムリ(モーリーン)、オスカー・アイザック(マーカス)ほか
主題歌・挿入歌-
公式サイト-

公開時に悲運のネタバレにあった映画

世の中には、様々な利害の衝突というものがあって、映画の世界でも例外ではない。「ダイアナの選択」は堅牢な脚本としっかりした演出、そして衝撃のオチを持つ傑作映画だったのだが、悲しいかな大勢の大スターやアメコミヒーローがでてくるわけではないから知名度が弱かった。

おそらく、これではまずい、このままでは大コケして僕らのボーナスがでないぞと焦ったのだろう。宣伝会社は何と、オチに関するネタバレを公式サイトに書くという暴挙にでたのである。まったくもって、悲運の作品といえるだろう。本当に悲運なのは見る前に読んでしまった人たちだが。

そんなわけで、公開時には紹介が難しい映画だったのだが、さすがに今ならもう大丈夫であろう。よほどの映画マニアでない限り、この映画の公開当時の公式サイトの説明文なんぞを覚えているやつはいまい。

もしあなたが、それを正確に思い出せる、なにがしかの特殊能力者であるというなら別だが、そうでないなら騙されたと思ってみてみてほしい。間違いなくあなたはスコーンと気持ちよく騙されるはずだ。

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