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2位賢明な女性たち
どんでん返し
ある時いきなり宇宙人が現れて地球の女たちを拐っていこうとする。地球の男よりわれわれの方が科学も知能もすぐれている。美しい女性の皆さん、地球人の男なんて捨てて、われわれと一緒に行きましょう……。
ここまでだと男性をコケにした話のようだが、そこは星新一。最後はどんでん返しな逆転のオチがつく。
けれども、ではこれは単純に裏返しに女性をコケにしただけの話なのかといえばそれもやはり違うだろう。
とりあえずこのオチの後、地球の男性の皆さんと彼らより“賢明”な“われわれ”の皆さんとのマッチングがなんやかんやで結構上手くいくことを願っておこう。
3位鍵(星新一)
星新一版、青い鳥
ある若者が不思議な鍵を拾うが、それに合う扉の方は見つからない。見つけられたら幸運が待っている気がして、彼は生涯かけてありとあらゆる場所へ旅に出る。
これはメーテルリンクの青い鳥、星新一バージョンの話だ。
目的そのものではなく過程の中、身近な日常にこそ大事なものがあるというのは既に使い古された陳腐なネタかもしれないが、星作品らしくシンプルに短く完結しているのが気持ちいい。
「なにもいらない。いまの私に必要なのは思い出だけだ。それは持っている」……。
矛盾
文明の発展にともない自然が減少し、地球上にゾウは最後の一頭になった。そのゾウもついに死に、種そのものがこの世から消える。
それでもそのニュースに世界中の子供たちは今夜ゾウの夢を見る。人は生き物を殺しながら生き物を愛す。
そうした矛盾は皮肉だけれど、少なくとも確かにそこには無ではない何かはある。最初から何も持っていなければ「失う」という概念さえ分からないのだから。