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家族を見守る父の大きな愛
時は江戸時代。加賀藩の台所を預かる御用役・舟木伝内(西田敏行)。跡取りの息子(高良健吾)は自分が「包丁侍」であることを忌み嫌い、料理を真剣に覚えようとしないため、料理上手な春(上戸彩)に息子への嫁入りを懇願。物語は上戸彩と高良健伍の夫婦関係を中心に進んでいく。しかし西田敏行が父親役として嫁を我が娘のように可愛がり息子の行く末を案じる様は暖かく大きい。また、「包丁侍」として当時は揶揄されていたその仕事に対する誇りを、時に厳しく威厳を持って息子に教えようとする姿勢は、今の世が忘れかけた古き良き父親像を思わせる。舟木家という家族のみならず、この映画そのものも、西田敏行という大きな父に包まれているような気がしてならない。
キモ可愛くて泣けて愛おしい!!
落武者の幽霊としてその無念を晴らそうとこの世に居座り続ける更科六兵衛。その落武者ぶりがとても気持ち悪く、恐ろしいのであるが、さすが西田敏行。そのコミカルな演技で笑いを誘い、素直で可愛らしいオバケとして一生懸命思いを遂げようと姿がとても愛おしい。何とか彼の無念を晴らそうと協力する弁護士・エミ役の深津絵里との掛け合いも息がぴったりで、ひとつの見どころといえる。一見、ただエミに寄りかかって頼っているように見える六兵衛だが、これ以上ないほどの人生の先輩として、彼女を見守り、支え、「姫」と呼ぶ場面では、ああ、私もこんな人に「姫」と呼ばれてみたいと、うらやましくなったほどだ。コメディにおいて、この存在感は西田敏行にしか出せないであろうと思う。彼ならではの、温かい愛情にあふれた作品。