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シールド乳酸菌さんの「小川洋子おすすめ作品ランキング」

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更新日: 2021/01/03

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ランキング結果

最後まで心が温まる

2004年に発行され、第55回読売文学賞と第1回本屋大賞を受賞した作品。交通事故の後遺症によって記憶が80分しか持たない「博士」と、博士のもとにやってきた家政婦で主人公の「私」、主人公の10歳の息子「ルート」との交流を描いたお話です。登場人物のあたたかさに心が動かされ、数学なんて二度とやるかと毛嫌いしていた私が数学をちょっと勉強してみようかなと感じた作品でした。この小説は、主人公が博士の家に派遣されるところから始まります。数学以外のことにほとんど興味を示さないうえに、いきなり靴のサイズを聞いてくる、ひとことで言うと変人な博士に主人公は困惑します。しかし、10歳の息子が家で留守番していると知った際は家に連れてくるように言い、息子の平らな頭を撫でながら「ルート」とあだ名をつけてくれる優しい人でした。そして、もとは赤の他人だった博士、主人公、ルートは過ごしていくうちに親しくなっていきます。たとえ記憶が何度も博士の記憶がリセットされても、また仲良くなります。ストーリーの中では、博士の数字に対するこだわりや、登場人物たちの優しさにあふれるシーンがいくつか登場しますが、私が好きなのはバースデーケーキと野球カードのくだり、完全数の部分です。(ネタバレになるから詳しくは省略します)とくに完全数の場面では私もつい調べてしまいました。最後まで登場人物たちのあたたかみが感じられ、文体もやさしいので、あまり小説になじみない人にもおすすめです。

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