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ももち@昭和歌謡大好き若人さんの「絶望歌謡曲ランキング」

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更新日: 2020/09/24
ももち@昭和歌謡大好き若人

昭和歌謡マイスター

ももち@昭和歌謡大好き若人

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まえがき

絶望している歌を集めてみました。歌謡曲マニアの方は是非!

ランキング結果

これを見た父ちゃん!娘が訴えてるぞ!早く帰ってきなさい!

1972年発売の隠れた名曲。娘は東北出身なので、歌詞はオール東北弁。
都会に出稼ぎに行った家族が消息不明になり、帰ってこないというのが当時社会問題になっていた。これを「蒸発」と言います。この歌を歌った奈良寮子さんの父親も蒸発したらしい…。

どこに行ったか全く分からない。生きているのかも分からない。そんな父親に対して、「父ちゃんどこさ行った~~~」という娘の悲痛な叫び。

さらに家庭の状況もズタズタボロボロ。サビで畳みかけるかのように悲しい状況が次々と歌われるよ。「母ちゃん毎日泣いている」し、「ばっちゃん年いて動けねえ」し、おまけに「近所の人達 口うるせ」。
つーか、世間の声ほど怖いものはないよね。だって2020年のコロナウイルス、感染することよりも世間・ネットでヤイヤイ言われる方が怖いもんね。奈良寮子さんも、「あ、父親が蒸発した可哀想な家の娘だ!」ってからかわれてたのかなぁ。

奈良寮子さんの歌い方、歌詞、メロディー、アレンジ、全てが悲愴的。これほど絶望的な歌、他にないんじゃないかなぁ。


しかしこの歌のメロディーはとても綺麗。高音域を流れるような旋律は、つい口ずさみたくなる。カラオケで歌いたいんだけど、入ってないんだよねー。いつの日か、「DAM CHANNELをご覧の皆さん、こんにちは!奈良寮子です!」ってならないかな。

絶望的なのにミリオンを記録した奇跡の曲。

1974年、さくらと一郎によるデュエットソング。作詞は座布団運びをしていない方の山田孝雄(やまだたかお)さん、作曲は『グッド・ナイト・ベイビー』も手掛けた、むつひろしさん。
人気ドラマ「時間ですよ」で使用され、なんとミリオンセラーを記録したんだ!

でも歌詞、めっちゃ暗いよ。
なんせ歌い出しが、「貧しさに負けた。いえ、世間に負けた」「この街も追われた。いっそきれいに死のうか」ですよ!?完全に絶望しちゃってるじゃん。原因は世間の風当たりの冷たさ。いわれのない差別を受けた男女カップルは、二人で死ぬ寸前にまで来ている。そんな二人を植物に喩えるなら、まさに枯れすゝき。

ここからは補足。もし「令和枯れすゝき」があるとするなら、それはSNSの誹謗中傷だろうな。まさに令和における「世間の風の冷たさ」だよね。いわれのない差別、言葉の暴力を受けて傷つき、自殺しちゃう人だっている。ネットユーザーたちからの圧力に負け、ネットの世界を追われるなんて、今では珍しくないよね。


ちなみに私は高校時代、この歌が好きすぎてLINEのアイコンを『昭和枯れすゝき』にしてたんだけど、そのせいで好きな人からの年賀状に「花さえも咲かぬ 二人は枯れすすき」と直筆で書かれてたよ。なので、みんなもアイコン設定は気をつけてくれよな!

藤本卓也と矢吹健。どんな光も遮断する「逆ライト兄弟」。

1968年。鬼気迫るしゃがれた歌声が特徴の、矢吹健さんの歌。作詞・作曲・編曲は藤本卓也さん。後に五木ひろしさんの『待っている女』を作曲・編曲した人だよ。
矢吹健×藤本卓也と言えば『あなたのブルース』がいちばん有名だけど、『蒸発のブルース』もかなり暗く仕上がっているよ。

矢吹健さん独特の歌い方は、すでに歌い出しから表れている。「あなたなしじゃ♪だぁぁぁぁぁぁめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」という鬼気迫る歌い方。しかもエコー付き。クセがすごいんじゃあ~!!
そのあとは「生きて行くのがいやになった」、「このまますぐに消えてしまいたい、望みない夢もないこの世から」と、人生に絶望している歌詞が続く。

ちなみにあまりにも暗すぎるということで、放送が自粛されたこともあったんだとか。でも人間としての怨念やエネルギーが凝縮されていて、ある意味いちばん人間らしい曲とも言えるけどね。この曲を簡単に蒸発させるのは正直もったいない!

『昭和枯れすゝき』のスタッフが手がける、この夏、いちばん悲しい歌手の物語。

1975年のカルト歌謡曲。歌っているのは、関西の芸人・西条ロックさん。

主人公の男性は、小唄・端唄・長唄・都々逸・歌謡曲・アルゼンチンタンゴ・コンチネンタルタンゴなどを歌う「流し」の歌手。けっこうレパートリーあるね~。五百円払えば、三曲歌ってくれるよ!だから曲名が『三つで五百円』なのだ!なんか、算数の問題みたいな曲名だよね←

でもこの男性、かなり窮地に立たされている。子どもの頃に親に捨てられ、現在は妻に逃げられ、男手1人で娘を育てている。生計を立てるため、そして娘を養うために「流し」でお金を稼ごうとするが、なかなか儲からない。うーん、辛い人生だ。。。

作詞は山田孝雄さん、作曲はむつひろしさん。なんと、あの、『昭和枯れすゝき』のコンビなのだ!!そりゃあ暗い歌に仕上がるのも納得いくよね。
ちなみに間奏のセリフで、盲人を意味する「あんま」というワードが出てくるので放送自粛になっちゃったりもした。盲人を馬鹿にする意味合いで使われているわけじゃなくて、マッサージの「按摩」なんだけどね。

あと、西条ロックさんの声を聞くと野性爆弾くっきー!さんが頭に浮かぶのはマジで何とかしたい(笑)いや、一回聞いてみてよ!!ホントにくっきー!感ある喋り方だから!!

新宿のネオン街には、藤圭子の歌が光る。

1969年の藤圭子さんのデビューシングル。当時18歳。レコードジャケットには「演歌の星を背負った宿命の少女!!」と書かれている。…おいおい、18歳にそんな重荷を背負わせるなよ(笑)

主人公は水商売の女性。男性のことを信じていた。泣かされても信じていた。それでも最後には裏切られてしまう。「ビールの栓」のようにポイっと捨てられてしまう。サビでは「ばかだな、ばかだな、だまされちゃって。」と自虐する。当時の歌謡曲は自虐がトレンドだったもんねぇ。
それにしても藤圭子さんの、怨念たっぷりの歌い方は鳥肌もの。まるで藤圭子さん本人が歌詞のような経験をしたのかってくらい、主人公の女性に憑依している。まさに天才歌手…!!

あとがき

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あ、中の人は明るく生きてますので!

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