木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのかの詳細情報
著者 | 増田俊也 |
---|---|
ジャンル | ノンフィクション |
出版社 | 新潮社 |
発売日 | 2011年9月30日 |
メディアミックス | - |
公式サイト | - |
参考価格 | 2,059円(税込) |
『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』(きむらまさひこはなぜりきどうざんをころさなかったのか)は、増田俊也による長編ノンフィクション。 『ゴング格闘技』誌上で2008年1月号から2011年7月号にかけて連載、2011年9月30日に新潮社から単行本として発売され、発売半年で18刷のベストセラーとなった[1]。第43回大宅壮一ノンフィクション賞、第11回新潮ドキュメント賞受賞作。 (引用元: Wikipedia)
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感想・レビュー
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とてつもない情熱で綴られた伝説の柔道家の生涯
「木村の前に木村なく、木村のあとに木村なし」。15年不敗や13年連続日本一などの記録を打ち立てて、最強とうたわれた伝説の柔道王・木村正彦。柔道からプロ柔道、そしてプロレスへと身を転じた木村正彦の国民的な名声は、ある一戦をきっかけに地に落ち、その後彼は表舞台から消えていきました。木村の運命を変えたのは、1954年に行われた力道山とのプロレス選手権試合。以来木村正彦は、「力道山に負けた男」として生き続けたのです。
著者は戦後スポーツ史最大の謎とされるこの試合に着目し、真剣勝負であれば木村正彦は力道山に勝っていたと証明すべく、18年もの歳月をかけて資料収集と取材に取り組みます。木村正彦の強さを信じ、その再評価を進めようとする著者のとてつもない情熱と、木村の生涯を通じて浮かび上がる昭和史、そして柔道とプロレスをめぐる歴史はただただ圧巻の一言です。
最終的に著者の前提は覆され、彼は柔道側に立つ者として、力道山との試合で「木村正彦はあの日負けたのだ」と結論づけます。綺麗事を書いて木村正彦の名誉を回復するのではなく、苦しみながらも不本意な事実を正直に書き記す筆者の真摯さが、より一層本書のドラマティックさを際立たせます。格闘技が全くわからない私も、あまりに面白さに一気に読んでしまいました。格闘技ファン以外の方にもぜひ手に取ってほしいノンフィクション本です。
ライター・書評家
嵯峨 景子さん (女性・40代)
2位(85点)の評価