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これぞ児童文学の醍醐味
冒険・出会い・成長という児童文学の王道要素を全てを押さえた一冊。
戦時中にひとりで放浪生活を送る14歳の少年を主人公に、
道中で出会う様々な人々との交流が描かれる。
犬を相棒に自力で生き抜く少年の生活ぶりにはハラハラワクワクさせられ、
その自由さには憧れてしまう。
まさに一期一会というような人々との出会いの描写が素晴らしく、
束の間の出会いがお互いの人生に影響を与え合う様子は心の深いところに響く。
思いがけない結末は子ども時代の終わりを感じさせ、切ない余韻が残る。
史実を基にした骨太の物語
六世紀のイギリスを舞台に、歴史の荒波の中でたくましく生きる少年を描く。
故国と自由を奪われ侵略国の奴隷となる主人公。
理解有る親切な一家に所有されるものの、
それはある意味で彼の運命を一層厳しいものにする。
自由を追い求めながらも、何度も他人のために
その機会を逃してしまう主人公の姿に、
一人の人間の尊い生き様を感じることができる。
主人公の成長を長いスパンで見つめた骨太の物語を読みたい人におすすめ。
4位空色勾玉
引用元: Amazon
『空色勾玉』(そらいろまがたま)は、荻原規子のデビュー作となった小説。第22回日本児童文学者協会新人賞受賞作(1989年)。日本神話をモチーフにしたファンタジー小説で、『白鳥異伝』・『薄紅天女』と合わせて勾玉三部作、勾玉シリーズと称される。
和製ファンタジーの傑作
古事記を下敷きにした日本のファンタジー小説。
世界の危機、運命を背負う主人公、命をかけた恋愛‥‥と、
王道路線ながら、古代日本という設定が新しい。
光と闇、生と死の対立を描いた濃厚な世界観だが、
登場人物には良い意味で漫画キャラのような親しみやすさが有り、
バランスの取れた読みやすさ。
いっときもたるまない劇的なストーリーと色彩豊かな場面描写は、
読み出したら止まらない面白さ。
西洋に聖書や神話があるように、日本にも日本古来の神話がある。
そんなことを誇らしく思える一冊。
軽快に紡がれるお話の中のお話
恋を信じない男嫌いの女の子たちに、
吟遊詩人が六つの素敵な愛の話を語り聞かせる、という昔話風の物語。
子ども向けの甘いおとぎ話かと思いきや、
ビタースウィートな深みのある愛の物語が味わい深い。
同じパターンの繰り返しが楽しく、
昔話のような落ち着きと安定感がありつつも、
終盤の意外な展開には驚きがある。
メインの話も六つの短編も楽しめる、一粒で何度もおいしい一冊。
ファンタジーが苦手な人にも
謎めいた水車小屋で魔法の修行を積み、
悪と対決する少年を描いたドイツのファンタジー小説。
民話を基にした本書には、大味のファンタジーとは
また違った不思議な味わいが有る。
死の影が漂う静かな空気感と、冷んやりとした質感が魅力。
民話がそうであるように、主人公を含めた登場人物たちの人物描写はあっさりしているが(そして魔法もあっさり使う)、
それだけに愛と自由という本書のテーマが力強く迫ってくる。
世界観をそのまま体現したような挿絵も良い。