『すばらしい新世界』(すばらしいしんせかい、Brave New World )は、オルダス・ハクスリーが1932年に発表したディストピア小説である。機械文明の発達による繁栄を享受する人間が、自らの尊厳を見失うその恐るべきディストピアの姿を、諧謔と皮肉の文体でリアルに描いた文明論的SF小説であり、描写の極端さが(多くのSF小説にあるように)きわめて諧謔的であるため、悲観的なトーンにもかかわらず、皮肉めいたおかしみが漂っている。ジョージ・オーウェルの『1984年』とともにアンチ・ユートピア小説の傑作として挙げられることが多い。
英国人が「読んだことがある」とウソをつくほどの名作SF
ジョージ・オーウェルが1949年に刊行した『1984』。令和を迎えた現代からすると、1984年はすでに過去となっていますが、この作品に描かれている世界観は色あせることのない新鮮さがあります。
国家の安定的な存続を最優先とする全体主義国家の公務員、ウィルソン・スミスが主人公として登場します。彼は、国家の在り方に疑問を抱き、隠れながら日記をしたためます。というのも、作品世界では、国家の考え方に否定的なことを考えるだけで、「思考警察」に捕まってしまうからです。
自分の疑念をだれにも話せず、悶々とした日々を送るスミスですが、間もなく信頼できる恋人や友人を得て……。
作品自体の急転直下の展開も楽しめますが、なによりも作品自体がもつメッセージ性が高く評価されています。
2009年のロイター通信の調査では、英国人が「読んだことがある」とウソをついてしまう作品第1位となっています。