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本当に生きるということはどういうことかが分かる
所謂サバイバルモノといわれるジャンルに該当する漫画ですが、よくありがちな荒唐無稽な展開はなく、人類がこれまで行ってきた、そして社会が崩壊すれば、同じような状況に投げ出される可能性がいつでもある、自然と直接対峙して生き抜く生活を再び行うというだけであり、生きる気力を失った現代人が意図せず野生に置かれた場合に強いられる変化が丁寧に描かれているところに馴染みやすさがあります。
それまで何もかも与えられてきたために生きる喜びを感じられなかった自殺志願者が、人と協力し主体的に行動しなければ生き残れない状況におかれて初めて、辛い人生を厭うどころか、考えずとも生きるために生き始める過程は、今の私たちが失ってしまい欲しても得られない生き方と境地であるため、魅力的に映るし羨ましいです。
生物種を超えた絆
古くからの永遠のテーマである不老不死をめぐる組織ぐるみの人間たちの欲望と、我が儘で欲深い人間を駆逐しようとする犬神との鬩ぎ合いのなかで、23と主人公の間に芽生えた、理屈では片づけられない種を超えた絆の強さが試され続ける作品です。
動物が言葉を覚え、人間と意思疎通をし、会話が成立するという設定は、フィクションの世界では決して珍しいものではありませんが、どうしても人間が勝手に擬人化している作り物感が出てしまいます。その点、この漫画にはそんな無理矢理な付け刃感が全くありません。23が初めて史樹の読んだ詩を口にするところは特に背筋がぞっとします。
容赦ない殺戮シーンが続き、滅入りがちな読者の心を和ませるかのように、合間に挟まれているギャグマンガも、センス抜群で笑えます。それぞれの話に深みがあり、これだけでも1冊作れそうなクオリティの高さです。
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我々現代人が目を背けている事実が訴えられている
感染症に蝕まれた、グロテスクで不快だからといって、映像メディアが映したがらず、目を背けがちな人間のリアルな姿が真正面から忌憚なく描かれているのと、ウイルス感染爆発への対策が十分に成されておらず、成す術も持たない現状は、現実でも未解決かつ深刻な社会の弱点であり、今後人類が生き残るための最重要課題であるため、興味をもって読み進められます。
高度にグローバル化した社会、死のリスクを最小化するため過度の清潔に捉われ、免疫を育む機会を失った弱い生物である我々自らが、ウイルスにとっての楽園を築き上げてきたのだ――という、我々が目を反らし見過ごしているこの事実、作者の真を穿った鋭いメッセージが胸に響きます。