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瀧津 孝さんの「歴代大河ドラマランキング」

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更新日: 2020/10/17
瀧津 孝

作家・日本史激動期研究家

瀧津 孝

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まえがき

NHKの大河ドラマを観て、日本の歴史や偉人に興味を持ったり、好きになったりした人は多いと思います。私もそんな中の一人。日本史を題材にした本を書き、講演で全国を飛び回る現在の私が形作られていく過程で、大きな影響を受けた三本を選びました。

ランキング結果

1独眼竜政宗(ドラマ)

独眼竜政宗(ドラマ)

引用元: Amazon

放送年1987年
放送局NHK
脚本ジェームス三木
メインキャスト渡辺謙(伊達政宗)、北大路欣也(伊達輝宗)、岩下志麻(義姫)、岡本健一(伊達小次郎政道)、桜田淳子(愛姫)ほか
主題歌・挿入歌-
公式サイト-

この作品のシナリオ全集は、私の〝バイブル〟

当時の記録的ヒットだけに留まらず、今も多くのファンから支持され続けている最大の要因は、脚本家・ジェームス三木氏が渾身の力を込めて書き上げたシナリオにあると思っています。

かつて〝日本映画の父〟と呼ばれた映画監督・牧野省三は、優れた作品に求められる条件として「1・スジ(脚本)、2・ヌケ(映像)、3・ドウサ(演出)」と、脚本の面白さを一番に挙げました。そんな意味で、三木氏の脚本は長期間の連続ドラマが陥りがちな〝中だるみ〟や〝物語の起伏欠如〟など一切見られず、各話がドラマティック、そしてスリリングに展開し、まだ無名だった渡辺謙氏の主役抜擢など当を得たキャスティングとも相まって素晴らしい仕上がりとなっています。

また、私が感心したのはセリフです。当時の言葉づかいを核にしながら、現代人にも理解できる絶妙な話し言葉にアレンジすることで、戦国時代がリアルに、そして身近なものに表現されてもいました。戦国時代を舞台にした娯楽小説を書いている私にとって、このシナリオは教科書のような存在で、単行本化された全三巻のシナリオ集は大切な宝物です。

2翔ぶが如く(ドラマ)

翔ぶが如く(ドラマ)

引用元: Amazon

放送年1990年
放送局NHK
脚本小山内美江子
メインキャスト西田敏行(西郷隆盛)、鹿賀丈史(大久保利通)、田中裕子(西郷いと)、石田えり(愛加那)、緒形直人(西郷従道)ほか
主題歌・挿入歌-
公式サイトhttps://www2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009010372_00000

明治維新後の歴史も面白いのです!

原作は明治維新直後から始まるのですが、坂本龍馬や新撰組や白虎隊など維新直前までを描くドラマ・映画ばかりに慣れてきた視聴者には馴染みが薄く、もし原作のまま映像化されれば戸惑う人がたくさん出たでしょう。

オリジナルストーリーの第一部・幕末編が挿入され、原作に沿った第二部・明治編が続く構成は、結果的に大成功だったと思います。脚本の小山内美江子氏は、第一部で下級武士の身分から立身していく西郷隆盛と大久保利通の友情、倒幕への道のりをきめ細かに描き、二人の主人公への視聴者の感情移入度を高めただけでなく、第二部への予習効果の役割も持たせました。

幕末こそが激動期で、明治時代はつまらないと言う方もおられますが、とんでもない!維新後に勃発する勝者同士の内紛、危機的状況に陥る新政府、征韓論、佐賀の乱などを経て西南戦争という一大内戦へと至る歴史の歩みはまるでフィクションのように劇的で、息つく暇も与えない緊迫した展開が続きます。全編通じて鹿児島弁が飛び交うドラマというのも過去の歴史ドラマでは例がなく、当時はとても斬新な印象を受けました。

3風と雲と虹と

風と雲と虹と

引用元: Amazon

放送年1976年
放送局NHK
脚本福田善之
メインキャスト加藤剛(平小次郎将門)、緒形拳(藤原純友)、真野響子(良子)、吉永小百合(貴子)ほか
主題歌・挿入歌-
公式サイト-

日本史全般が好きになるきっかけ、そして不思議なご縁

戦国時代が大好きになっていた子供の頃、戦国武将の話だと勘違いして観るようになったのがこのドラマ。
ところが主人公である平将門は平安時代末期の人物で、想像していたような物語ではなかったのですが、将門が関東で大反乱を起こすに至る経緯や、ライバル的存在である平貞盛、後に将門を討伐する藤原秀郷、同時期に西国で反乱を起こした藤原純友ら個性的な周辺人物の描写が段々気になり、最終回の時点では夢中になってテレビにかじり付いていました。
戦国期以外の時代もこんなに面白いんだということに気付き、広く日本の歴史を学ぶきっかけをくれた大切な作品です。

以来、将門ファンとなり、東京に住むようになってから、将門を祀る神田明神にも度々参拝に訪れたのですが、ある時私の実家の遠い祖先が藤原秀郷と推測されることを知ります。

ご先祖様を差し置き、宿敵のお社ばかりお詣りしていてはマズイ!となり、それからは秀郷ゆかりの秀郷稲荷(東京都府中市)や、唐沢山神社(栃木県佐野市)にも足を運ぶように。
だから今の私は秀郷ファン!何とも不思議な縁や導きを感じてしまいます。

ランキング番外編!NHK「新大型時代劇」の名作

未だにこれを上回る真田幸村関連のドラマ作品はない『真田太平記』

真田太平記(ドラマ)

真田太平記(ドラマ)

引用元: Amazon

毎週水曜に放送された「新大型時代劇」でしたが、NHKドラマで最も多くの制作費を使い、有名キャストを揃える大河ドラマに全く引けを取らず、限られた予算の中でよくここまで優れた内容にできたものだと感心します。

池波正太郎氏の長編小説を、脚本家の金子成人氏がドラマ向けに見事な脚色を施し、私が子どもの頃から好きだった真田幸村と彼の父・昌幸、兄・信之を描いた映像作品としては、未だにこれを面白さで上回る映画もドラマもありません。

心に残る名シーンは数多く、昌幸・幸村親子が決死の覚悟で以前の敵・上杉景勝に支援を求める対面の場、昌幸が徳川の大軍を寡兵で破った上田合戦、信之が後に妻となる稲姫との見合いで見せる気骨、忍びの頭領・又五郎の死を悼む昌幸、関ヶ原で負けた昌幸・幸村親子の助命を嘆願する信之と舅の本多忠勝、真田家の武名を天下に轟かすべく幸村に知恵を授けて世を去る昌幸、幸村が名声を獲得した大坂冬の陣での真田丸の戦い、冬の陣後に対面した幸村と信之の今生の別れ、そして大坂夏の陣での幸村討ち死に……何度でも見返したくなります!

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