大柴さんの「陸上漫画ランキング」

小説の良さがそのまんま

ちょうど陸上部だった頃、顧問の先生と先輩に小説版をおすすめされて読み、そして大人になってから漫画版があったのを知り読みました。
主人公・神谷新二はエースストライカーの兄に憧れて中学までサッカーに打ち込んできた。しかし自分の才能の無さを痛感し、高校入学と同時にサッカーをやめてしまう。そんなある日、新二は幼なじみの天才スプリンター・一ノ瀬連に出会う。その速さに魅了された新二は、連に誘われるまま陸上部に入部し、走る楽しさに目覚めていく。というストーリーです。
サッカーのセンスと技術に優れた兄とは違うことに打ちのめされたり、さらに本番ではプレッシャーに負けてしまう新二の等身大な感じが好きでした。同時に、あと、何年も続けてきた競技を変えるってかなり勇気のいることだと思いますが、それでも挑戦しひたむきに練習に励む様子も、ああ青春だなって感じます。新二が陸上始める前に連の言った「ボールなんてなけりゃ、お前もっと速いのに」って言葉も含めて好きです。というより、登場人物全員にそれぞれ魅力があって好きです。疲れているときに見ると色々とこみ上げて、目頭が熱くなってしまいます。
だいたいコミカライズ系って失敗するイメージがありますが、これは原作をリスペクトしつつも上手く漫画に落とし込んでいます。キャラクターは原作イメージをそのままビジュアル化してあり、原作でも文体はサクサクしていましたが、漫画版だとよりストレスなく進んでいくのも評価ポイントです。