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ツクイ ヨシヒサさんの「野球漫画ランキング」

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更新日: 2020/11/23
ツクイ ヨシヒサ

野球マンガ評論家

ツクイ ヨシヒサ

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まえがき

内容の素晴らしさはもちろんですが、個人的に思い入れの強い作品を挙げてみました。野球漫画の奥深さと多様性を楽しんでもらえればと思います。

ランキング結果

1やったろうじゃん!!

やったろうじゃん!!

引用元: Amazon

作者原秀則
ジャンル青年漫画
出版社小学館
連載ビッグコミックスピリッツ(1991年~1996年)
巻数全19巻

情熱と葛藤……「等身大の高校野球」

監督が主人公の作品ですが、物語の中心に据えられているのは等身大の野球部員たち。エリートでも、落ちこぼれでもない、彼らの野球に対するひたむきな姿勢と、若者らしい葛藤は、現代にも通じる普遍性を持っていると思います。

特に、天才エース・江崎が活躍し始めるまでは、その傾向が強いです。学生時代、野球をやっていた人なら、間違いなく感情移入できるはず。自分自身、10代の頃に貪り読み、今の仕事に至るひとつのきっかけになった作品だと感じます。

2ラストイニング

ラストイニング

引用元: Amazon

作者原作:神尾龍 / 作画:中原裕
ジャンル青年漫画
出版社小学館
連載ビッグコミックスピリッツ(2004年6・7合併号~2014年19号)
巻数全44巻

リアル野球漫画の最高峰

存続の危機に立たされた母校の野球部を立ち直らせるべく、アウトローな監督が型破りな改革に挑みます。読みどころは大きく2つ。
まずは繊細な野球描写。選手のフォームや躍動感、ボールの動き方やスピード感など、とにかくリアルに描かれており、現実の高校野球を見ているような感覚に陥ります。

もう1つは、監督同士の駆け引き。お互いのベンチで、監督たちは何を考え、いかに決断しているのか。各々の個性や価値観が火花を散らす展開は、野球の玄人ほど唸らされるでしょう。今後、ますます評価を高めていくだろう傑作です。

3ナイン(漫画)

ナイン(漫画)

引用元: Amazon

作者あだち充
ジャンル少年漫画
出版社小学館
連載週刊少年サンデー増刊号(1978年~1980年)
巻数全5巻

濃縮されたあだち充ワールド

『タッチ』『H2』『クロスゲーム』『MIX』など、あだち充による野球漫画はどれも文句なしで面白いわけですが、それらの事実上の出発点である『ナイン』をここでは挙げました。
漂う独特の空気感、切なさを募らせる「間」、すれ違う淡い恋心……。あだち充ワールドのひな型がすでに完成しているだけでなく、そのエッセンスがギュッと凝縮された一作です。

スタート地点であり、傑作選でもある。ここから、もっと恋愛要素が欲しい人は『タッチ』へ、野球要素を求める人は『H2』へと派生していくのが、正しい「あだち充読み」といえるでしょう。

4ジャストミート

ジャストミート

引用元: Amazon

作者原秀則
ジャンル少年漫画
出版社小学館
連載週刊少年サンデー(1984年30号~1987年30号)
巻数全19巻

野球は自由で楽しく、そしてカッコいい

フォークボールしか投げないエースや、韋駄天なのにホームランしか狙わない四番など、主人公チームの面々が個性派揃いで楽しい作品です。
序盤から中盤にかけては、彼ら特有の「目立てれば何でもいい!」精神が、既存の高校野球(あるいは高校野球漫画)におけるセオリーを破壊。痛快な気分を味わえます。

後半にかけてはシリアスな展開も多くなり、絵柄の画力も一気に上昇。クライマックスは野球漫画史に残る感動を与えてくれるので、序盤のコミカルなテンションが肌に合わないという人も、ぜひ最後まで読破することをオススメします。

5球場ラヴァーズ 私が野球に行く理由

球場ラヴァーズ 私が野球に行く理由

引用元: Amazon

作者石田敦子
ジャンル青年漫画
出版社少年画報社
連載ヤングキング(2010年10号~2011年)
ヤングキングアワーズ(2011年7月号~2012年11月号)
巻数全6巻

ジャンルの可能性を広げた、熱いスタンド漫画

広島東洋カープを応援する女性たちを描いたスタンド(観客席)漫画。
カープ女子の出現にひと役買った作品だといわれています。選手もプレイもほぼ描かれず、ひたすらファンたちの日常にスポットを当て続けるスタイルは、野球漫画というジャンルに新たな可能性を提示しました。

しかも、単なるミーハー心理ではなく、「人はなぜ野球を応援するのか?」「自分たちはプロ野球に何を求めているのか?」といった、根源的な問いかけを常に作中で描写。
絵柄は華やかで可愛らしいですが、語られるファン心理は硬派で熱いものがあります。カープファンのみならず、すべてのプロ野球ファンに読んでもらいたい一作です。

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