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佐藤 利明さんの「面白い邦画ランキング」

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更新日: 2020/09/01
佐藤 利明

娯楽映画研究家

佐藤 利明

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ランキング結果

1続・男はつらいよ

続・男はつらいよ

引用元: Amazon

制作年1969年
上映時間93分
監督山田洋次
メインキャスト渥美清(車寅次郎)、倍賞千恵子(諏訪さくら)、佐藤オリエ(坪内夏子)、山崎努(藤村薫)、前田吟(諏訪博)ほか
主題歌・挿入歌男はつらいよ / 渥美清
公式サイトhttps://www.cinemaclassics.jp/tora-san/movie/2/

初期のパワフルな寅さんを堪能!

山田洋次原作・監督「男はつらいよ」シリーズは、1969年から1995年まで27年間、48本作られ「国民的映画」と呼ばれました。主演の渥美清さん没後に作られた特別編、そして2019年末に公開された「お帰り 寅さん」でちょうど50作。現在もBSで毎週放映され、Blu-ray、DVD、配信で、いつでも、どの作品からでも味わうことができます。

でも、遅れてきたファンに、叶わないのが、映画シリーズの原点となったフジテレビ「男はつらいよ」(1968〜69年)です。寅さんの原点はテレビドラマだったのです。ところがVTR収録の番組だったため、第1話と最終回の第26話しか現存しておりません(DVD化されています)。

テレビ版の寅さんは、残されたシナリオや、二本の作品でしか知ることができません。ところが第2作『続男はつらいよ』は、第1作から二ヶ月後の1969年11月15日に公開されることになった、いわゆる急遽の作品。クランクインまでにオリジナルシナリオを書いている時間がなく、テレビ版の第11話のシナリオをもとに、山田監督たちがリライトしたものです。

寅さんが、夢にまで見た「瞼の母」に会いに、京都の花街に行くと、ミヤコ蝶々さん演じる、実母はまったくイメージとは正反対だった・・・という展開は、おかしくて、やがて悲しき喜劇です。マドンナはテレビ版の佐藤オリエさん、寅さんの柴又商業時代の恩師・散歩先生も、テレビ版の東野英治郎さんが演じています。

つまり『続・男はつらいよ』は、「幻のテレビ版」の映画による再現でもあります。その視点で観るといろんな発見があります。

2ニッポン無責任時代

ニッポン無責任時代

引用元: Amazon

制作年1962年
上映時間86分
監督古澤憲吾
メインキャスト植木等(平均)、ハナ肇(氏家勇作)、重山規子(佐野愛子)、谷啓(谷田総務部長)、中島そのみ(麻田京子)ほか
主題歌・挿入歌無責任一代男 /
公式サイト-

スーダラ男から無責任男へ!植木等が駆け抜けた60年代!

1961年8月、ハナ肇とクレイジーキャッツとしては初めてのシングル「スーダラ節」がリリースされたました。テレビバラエティ「シャボン玉ホリデー」がスタートしてほどなく、クレイジーキャッツの人気者・植木等が歌った「スーダラ節」は時代を創るヒット曲となった。作詞・青島幸男の「わかっちゃいるけどやめられない」のフレーズは、植木さんのお父さんで僧籍にある植木徹誠さんが「親鸞の教えに通じる」と関心したほど。

その「スーダラ節」人気を受けて、映画各社がクレイジー出演作品を造るも、歌のインパクトには及びませんでした。ところが1962年7月、東宝で作られた『ニッポン無責任時代』(古澤憲吾)のインパクトは、植木等さんの調子の良い「C調サラリーマン」のキャラクターも相待って、日本のコメディ映画史上に残る傑作となりました。

他人の思惑など関係なく、ひたすら私利私欲のために邁進する主人公・平均(たいらひとし)の無責任ぶりは、実に爽快で、何度見ても圧倒される。タイトルの「無責任」という言葉に感心した青島幸男さんが書き下ろしした主題歌「無責任一代男」は、名曲中の名曲です。

1960年代前半、日本中の老若男女が夢中になったことを想像しながら観ると、そのインパクトの凄さを体感できるかもしれません。

「人生に大事なこと」を教えてくれる逆説的な名作です!

3エレキの若大将

エレキの若大将

引用元: Amazon

制作年1965年
上映時間94分
監督岩内克己
メインキャスト加山雄三(田沼雄一)、星由里子(星山澄子)、田中邦衛(石山新次郎)、有島一郎(田沼久太郎)、飯田蝶子(田沼りき)ほか
主題歌・挿入歌夜空の星 / 加山雄三
君といつまでも / 加山雄三
公式サイト-

エレキブームを巻き起こした1960年代の青春映画!

今年、芸能生活六十周年を迎えた加山雄三さん。そのニックネーム「若大将」は、1961年〜1980年にかけて18本作られた、東宝映画「若大将シリーズ」で生まれました。高度経済成長真っ只中のニッポンで、加山さん演じる「大学の若大将・田沼雄一」と、田中邦衛さん演じる「青大将」、そして星由里子さんのマドンナ「澄子」が織りなす、青春コメディシリーズです。

第6作『エレキの若大将』は、ザ・ビートルズ前夜、ザ・ベンチャーズが巻き起こしたエレキ・ブームを反映させたシリーズの代表作。ベンチャーズのテケテケサウンドを、ラジオでいち早く紹介したのが加山さん。「じゃあ、こんどはエレキバンドの話にしよう」と企画されたこの作品は、1965年の若者の憧れが詰まっています。

なかでも、加山さんが12歳のときに初めて作曲した「夜空の星」や、350万枚を越す大ヒット曲となった「君といつまでも」が劇中で歌われ、観ているだけでゴキゲン!な一本です。

同時上映は、ゴジラ、ラドン、キングギドラが宇宙で戦う特撮映画『怪獣大戦争』(本多猪四郎監督)。当時の映画館の二本立てを再現してDVDで連続して観るのも楽しいかもしれません!

あとがき

ここに挙げた三本の作品は、渥美清さん、植木等さん、加山雄三さん、ぼくが子供の頃から憧れてきたスターの「コメディ作品」です。演技力や演出力だけでなく、スター力が、時代を創ってきたことがよくわかる作品です。

寅さん、無責任男、若大将。いずれも、この閉塞した現代に必要な「ヒーロー」なのかもしれません。

日本映画史には、たくさんの面白い映画があります。皆さんも、時空をこえて、好きなヒーロー、スターをみつけてください。きっと人生が豊かになると思います!

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