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SYOさんの「面白い邦画ランキング」

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更新日: 2020/08/25
SYO

映画ライター/編集者

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まえがき

おすすめの邦画、面白い邦画といっても無限にあるので、今回は「忘れられない邦画」を3本、思い出とともに紹介したいと思います。

映画のすばらしさというのは、やっぱり思い出と結びついて自分の中で一緒に育っていくところだと思います。感性を育ててくれたり、時には心を救ってくれたり……。

僕にとって、この先も抱きしめていきたい作品たちです(個人の思い出が多めで恐縮です……)。

ランキング結果

1月とキャベツ

月とキャベツ

引用元: Amazon

制作年1996年
上映時間99分
監督篠原哲雄
メインキャスト山崎まさよし(花火)、真田麻垂美(ヒバナ)、鶴見辰吾(理人)、ダンカン(木村)、中村久美(森崎)ほか
主題歌・挿入歌One more time,One more chance / 山崎まさよし
公式サイト-

自分の真ん中にある映画の1つ

個人的に今までいろんなものにハマってきましたが、これまで生きてきた人生の3分2をささげたのが山崎まさよしさん。小学生の時に彼の音楽に出会ってから、ずっとファンなのです。

本作は、山崎まさよしさんが主演した音楽映画。群馬の田舎の廃校に引きこもって暮らす元人気ミュージシャンを訪ねてきた、不思議な少女。2人はひょんなことから共同生活を送ることになるのですが……。

最初はファンとして「わー」という気持ちで観始めたのですが、いつしか美しい風景と純愛、切ないドラマに泣いていました。ファンとかそういうバイアスを抜きにして、この先も大切にしていきたい作品です。

名曲「One more time,One more chance」のピアノ弾き語りシーン、そして演奏を終えた際の山さんの表情とまあるい月。今観ても、屈指の名シーンだと思います。

2スクラップ・ヘブン

スクラップ・ヘブン

引用元: Amazon

制作年2005年
上映時間117分
監督李相日
メインキャスト加瀬亮(粕谷シンゴ)、オダギリジョー(葛井テツ)、栗山千明(藤村サキ)、光石研(嶋田係長)、森下能幸(佐藤)ほか
主題歌・挿入歌蜃気楼 / フジファブリック
公式サイト-

世界の見え方が変わった作品

本作は、たまたまバスジャックに居合わせた気弱な警察官(加瀬亮さん)と謎の男(オダギリジョーさん)が意気投合し、復讐代行を行うハードボイルドなバディムービーです。ピカレスクロマンといいますか、どのシーンもカッコよく、いわゆる「男のあこがれ」的な要素が満載。監督は『悪人』『怒り』の李相日さんなので、画に非常に力があります。
「世界を一瞬で消す方法がわかりました」というキャッチコピーも秀逸です。

よく『ファイト・クラブ』に例えられていますが、非常によくわかります。どちらも、エモーショナルなラストシーンが強烈に刺さる。観終えた後も、ずっと残るものかと思います。

よく映画の感想やなんかで「世界の見え方が変わった」と言いますが、それは比喩的なもので、つまりそれくらい衝撃的なんだよ、という意味合いだと思っていました。この映画に出会うまでは。

本作を観たのは大学生のとき。映画館に行く金がなくて、狭いアパートでDVDを借りてきて観るのがひそかな楽しみでした。パソコンのモニターより小さなテレビデオにプレステ2をつないで(当然HDMIじゃなく赤白黄色の線で)、膝を抱えて一人で観ました。

あの頃はたいてい孤独で、Twitterなんてなくて、1人で黙ってるのが普通でした。映画を観終えて、家を出たらちょうど日没だった。そのとき「あれ?」と思ったのです。映画を観終える前と、見なれた景色がまるで違って見える。これはもう、理屈じゃない。本作の中にある何かが自分とシンクロして、一部になって、構造から変えてしまったのだと思います。

映画に深くハマるきっかけは、その多くが俳優から始まるかと思います。僕はこの『スクラップ・ヘブン』だけでなくオダギリジョーさんが出演する映画を観まくって、『ゆれる』とか『アカルイミライ』(初めてのバイトでもらった給料でDVD買った)とか『BIG RIVER』『悲夢』……いろんな作品を観せてもらいました。そういった意味でも、とても思い出深い。

3トニー滝谷

トニー滝谷

引用元: Amazon

制作年2005年
上映時間75分
監督市川準
メインキャストイッセー尾形(トニー滝谷/滝谷省三郎)、宮沢りえ(A子/B子)、篠原孝文(トニー少年)、四方堂亘(絵画教室の先生)、西島秀俊(語り)ほか
主題歌・挿入歌-
公式サイト-

創作における原点的な作品

村上春樹の小説を市川準監督が映画化したこの作品は、非常に独特なつくりをしています。小説をそのまま抜き出したようなモノローグ、部屋のセットの左右の壁をぶち抜き、部屋にいるのに風が流れるという演出、坂本龍一さんの美しい旋律……。とにかく美しくて、ずっと観ていたいと思いました。

物語は、トニー滝谷という男性の反生を淡々と描くものです。常に孤独と共に生きてきた彼は、美しい妻と結婚。しかし彼女は交通事故で他界してしまい、妻にそっくりな女性を雇い入れるのですが……。イッセー尾形さんの抑えた演技と、宮沢りえさんの1人2役が素晴らしい。

この作品との出会いはちょっと変わっていて、大学の授業で初めて観たのです。確か小説を書く的なやつでした。僕は物書きになりたかったので、めっちゃやる気満々で臨んでいたのですが、先生が同級生の女の子をたいそう気に入ってしまい、非常に悔しい想いをしたのを覚えています(僕の人生はほとんど嫉妬にまみれている気がします……)。

そんなこんなで授業にも、先生にもいい思い出はまるでないのですが(えこひいきがすごかった)、この映画に出会わせてくれたので水に流します。

授業で一部しか観られなかったのですぐDVDを借りてきて、家で1人で観て、こういう世界が自分にとって一番息がしやすくて、寂しいけれど安心すると感じました。今はなかなか創作をできないけど、この作品に流れる空気は、自分が本当に好きな文体や空気感にすごく近いのです。それもあって、大切な作品です。

余談ですが、授業で「ナレーションは誰だと思いますか?」と先生が質問して、誰も答えられなかったけど俺は一発で西島秀俊さんだってわかったからな!(手を挙げなかったけど)と今でもちょっと思っています。水に流せてない……?

あとがき

個人の思い出語りに付き合っていただき、ありがとうございました。お目汚し、失礼いたしました……。

なかなか個人と映画の出会いを語る機会はないので、書いていて非常に楽しかったです。映画の楽しみ方の本質を思い出せました。

皆さんの中にも、きっと思い出と強く結びついた映画があることと思います。そこには、他人の意見なんて関係ない、唯一無二の「絶対的評価」があるはず。そしてそれは、本当の意味での「自分」を映したものだとも思うのです。

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