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住倉 カオスさんの「邦画ホラーランキング」

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更新日: 2020/11/16
住倉 カオス

ホラーコンテンツプロデューサー

住倉 カオス

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まえがき

世界に衝撃を与えた「Jホラー」
その原点となる作品を意識的に選びました。
Jホラーとは、怪談をはじめとした日本の「幽霊がいるかいないか?」を楽しむ独特の怪奇趣味に、海外発のショッキングな表現がミックスされた新しいホラーの形だと思います。

その作品は海外のホラーに輸出され、さらに逆輸入という面白い恐怖のバトンを紡いでいます。

そんな海外ホラーに大きな影響を与えたであろう作品3作です。

ランキング結果

1犬神家の一族(1976年)

犬神家の一族(1976年)

引用元: Amazon

制作年1976年
上映時間146分
監督市川崑
メインキャスト石坂浩二(金田一耕助)、島田陽子(野々宮珠世)、あおい輝彦(犬神佐清/青沼静馬)、高峰三枝子(犬神松子)、三条美紀(犬神竹子)ほか
主題歌・挿入歌愛のバラード / 大野雄二
公式サイト-

燦然と輝く日本娯楽映画の金字塔

ホラーというよりはサスペンスもしくはミステリーなのですが、公開の1976年頃はまだその辺は曖昧としていました。
海外からのオカルト作品「ローズマリーの赤ちゃん」「エクソシスト」「オーメン」などが爆発的なヒットを飛ばす中で制作された本格ミステリー。湖面から足が突き出すビジュアルのインパクトは強烈で、プールや海水浴に行くと必ず真似する輩がいたことから『犬神家禁止』という張り紙まで出たというから当時のブームはすごかったんですね。

そこからブームを起こす、角川映画第一作でもあるし、天才・市川崑監督、石坂浩二さん主演の金田一耕助シリーズとしも第一作。

後の「エヴァンゲリヲン」などに影響を与える、スタイリッシュなタイポグラフィ。
巨匠・大野雄二さんによる美しいテーマ曲。
高峰三枝子、三条美紀、草笛光子の強烈な三姉妹など、とにかく魅力を語っていたら一晩ではとても足りません。

いまだにスケキヨのマネをします。と言いながら「俺は犬神家に勝ったんだ」と真似をすると「それは佐清ではなく青沼静馬だ」と糾弾する【犬神家警察】まで出動する始末。

とにかく、その影響は計り知れません。
もしかして、古い映画だからと敬遠している人いませんか?
日本のホラー、いや日本の娯楽作を代表する「犬神家の一族」
今なお、全く色褪せていませんから、ぜひ見てみてください。

2邪願霊

邪願霊

引用元: Amazon

制作年1988年
上映時間49分
監督石井てるよし
メインキャスト竹中直人、石山一枝、佐藤恵美、梅原正樹、吉田照美ほか
主題歌・挿入歌-
公式サイト-

現代Jホラーの原点にして到達点

一位の「犬神家の一族」が日本の王道ホラーの原点だとしたら、「邪願霊」は日本モダーンホラー(モダンではなく)の原点かも?

現在の日本のフェイク・ドキュメントスタイルのホラー(いわゆるモキュメンタリー)は1999年に大ヒットしたアメリカ作品「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」からの流れと、1998年の「リング」からインスパイアされたと思われる「ほんとにあった! 呪いのビデオ」シリーズのヒットからの流れにあると思うんですが、その10年以上も前に「邪願霊」という作品があったことを忘れてはいけないと思います。

当時の「トゥナイト」や「11PM」などであろうと思われるテレビレポートのVTR画面。そのザラザラとした粗さが、現実と虚構の境目をなくすノイズとして大きく作用しています。

女性レポーターの稚拙と思われる演技、簡素なテロップ、そして現れる女の霊…。
その全てがザラザラとした80年代のノイズの中に輪郭を失い、「これはもしかして本当の霊が映っているのかも?」と思わせる不気味なリアリティになっています。

夜中に一人で見ると、後ろが気になってしまう強さを持っています。
劇中歌「ラブ・クラフト」も必聴!

3霊的ボリシェヴィキ

霊的ボリシェヴィキ

引用元: Amazon

制作年2017年
上映時間72分
監督高橋洋
メインキャスト韓英恵(橘由紀子)、巴山祐樹(安藤/由紀子の婚約者)、長宗我部陽子(宮路澄江/霊媒師)、高木公佑(浅野/実験の主宰者)、近藤笑菜(片岡/浅野の助手)ほか
主題歌・挿入歌-
公式サイトhttps://spiritualbolshevik.wixsite.com/bolsheviki

そのシチュエーションに恐怖する

この映画の監督高橋洋さんが脚本で参加された「女優霊」と3位は迷ったのですが、より先鋭的な「霊的ボリシェヴィキ」を選んでみました。

タイトルになっている「霊的ボリシェヴィキ」とは日本のオカルティストとして70年代から大きな影響力を持つ、武田崇元さんによるオカルト概念。
元のボリシェビキとは、暴力革命を主張したレーニンが率いたロシアの左派の一派。
これだけ聞くと「なんのことやら?」となってしまいますが、映画の内容はけっこうシンプル。

廃墟のような施設に集められた男女が7人。
その全員が「人の死に立ち会ったことがある」という共通点をもち、みながそれぞれの恐怖体験を語り始めます。
そしてその目的とは、「あの世を呼び出すための実験」

実はこれ、僕も同じコンセプトのイベントを行ったことがあるのです。
よく「怪談を語ると霊が集まってくる」と言います。
その逆手をとって、「霊を集めるために怪談をする」というコンセプトで、数人の被験者に「自分が一番やばいと思う怪談、体験談」を語ってもらったのです。
そのイベントの名前は「オカルトロニカ」
各語り手には、鬼門から入ってもらい語り終わったら裏鬼門から出てもらう。
人間の脳を、幽霊を見やすくなる状態にもっていくという19ヘルツの低周波を会場にながし、何かが来たら分かるように、怪談をしている横では「こっくりさん」をやっていました。

映画「霊的ボリシェビキ」でも霊がきたときの判断として「確率変動」を使っていまいした。

映画はもちろんフィクションで衝撃のラストが待っているのですが、その不穏な空気感はイベントとかなり近く、緊張感があるシーンが続きます。

主演の韓英恵さんも強い存在感を放ち、観終わった後に放心状態になるような、とにかく「変わった」ホラーが見たい方におすすめです。

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