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Twitterでシェアまえがき
インディーズからメジャーまで非常に幅広く、無数のバンドが存在します。
しかし私はパンクスです。
今回は「パンクスの視点から見たロックとして感動した邦楽ロックバンド」という形に絞らせていただきました。
ご存知だとは思いますが、1976年から1977年頃にイギリスやアメリカで「パンク」というものがカテゴライズされ発生しましたが、当然「ロック」というジャンルは、それより古くからあります。
日本でも、パンククムーヴメントよりも先に「ロック」の世界が存在しています。パンクと同様、ロックにおいても基本は「反体制」だと個人的に思っています。
「反逆の魂」がないと、どうにも「ロック」という精神を感じられない自分がいるので、ご理解の上でランキングをご覧ください。
知らないバンドもあると思いますが、「これぞ日本のロック魂」と言えるバンドばかりですので、興味が湧いた方は調べてみて、ぜひ歌詞を読みながら曲を聴いてみてください。人生が変わる人が必ず出てくると思います。
それほど日本には素晴らしいロックバンドがいるということを知って欲しいと思い、このランキングを作成しました。
ランキング結果
2位JAZZY UPPER CUT
引用元: Amazon
言葉の重要さを聴く者の心に深く刻み込む日本最初期のヒップホップバンド
JAZZY UPPER CUTは1990年代前半に活動していたバンド。その音楽形態はまさに「ロック」としか表現できない、様々な要素が絡み合ったグルーヴを生み出していた。
個人的には、日本最初のリアルヒップホップバンドと捉えていて、その歌詞の内容に感銘を受けるパンクスが多くいることでもわかるように、反逆と愛の魂を当時出てきた「ラップ」という表現で、新たな世界観をインディーズシーンに投石したのである。
ボーカルのNOBUこと桑原延享は、JAZZY UPPER CUT以前の1981年に制作された山本政志監督の映画「闇のカーニバル」で主演しており、「表現」についてそれまでのバンドとは一線を画しており、初めてJAZZY UPPER CUTを聴いたときにはかなりの衝撃を受け、一気に虜になってしまった。
ギターには第1位に挙げたTHE FOOLSの川田良も参加しており、ベース、ドラムにツインギターが中心となるサウンドで、ほかにもパーカッションやシンセサイザー、アルトサックス、DJターンテーブルのほかに2人のコーラス担当が参加するなどの大所帯のバンドでもある。
サウンドの方向性は多岐にわたりながらも、一貫した「核」が桑原延享の言葉によって紡ぎ出され、その歌詞は深く静かな悲しみと怒りを持った愛に溢れており、聴く者全てがナイフを突き立てられたような、心をえぐられる感覚になるだろう。
2枚のアルバムを発売しているJAZZY UPPER CUTだが、現在はどちらも入手困難であるために、YOUTUBEなどで聴くしかないだろう。
しかし、ボーカルの桑原延享が新たに結成したバンド「DEEP COUNT」に、その魂が受け継がれている。
DEEP COUNTは現在でもコンスタントにライブを行なっているので、JAZZY UPPER CUTを聴いて興味を持ったのであれば、すぐさまDEEP COUNTの音源を入手し、ライブを調べて体感するしかない。
DEEP COUNTのライブの終わった夜は、確実に人生に深く刻み込まれるものとなるだろう。
3位TURTLE ISLAND
引用元: Amazon
ハードコアやパンクをルーツとする、極東民族音楽バンド
1999年に愛知県豊田市で結成された、言葉で表現することが難しいジャンルレスバンド。
メンバーは、ボーカルでテビョンソという韓国のラッパのような楽器担当でもある永山愛樹を中心に、和太鼓、チャンゴ、ドラムなどの打楽器に、篠笛といった日本の笛やギター、ウッドベースなどで構成される総勢17人のバンドだったが、現在は10人となっている。
しかしながら、4人で演奏することもあれば17人で演奏したこともあり、そのときの都合によってステージで演奏するメンバーが変わることも多い。
ボーカル・テビョンソの愛樹は、元々ORDERというハードコアパンクバンドのボーカルであったが、自らのルーツである韓国や日本というものに特化した形態のバンドとしてTURTLE ISLANDを結成する。
パンクにルーツを持つバンドであるために、本人たちはパンクスだと思っているし、実際にパンクスであるのだが、サウンドに関して言うのであれば、パンクというカテゴライズどころかロックにすら収まりきれない、新しい民族オーケストラサウンドとも言えるだろう。
和太鼓のリズムによる躍動感あるサウンドは、日本に根付く「祭り」のリズムを彷彿させ、この国で生きている人間であれば自然と体が反応してしまうことは間違いない。
和太鼓や女性ボーカルなどが入るので「和」の要素が目立つところではあるが、韓国楽器のテビョンソのほかにも、極東民族であることを感じさせる大陸的な人間の本能を刺激するようなサウンドであると言える。
激しい曲もあれば、落ち着いた曲調の楽曲もあり、ウッドベースやエレキギター、ドラムによってロック的なハードさも充分過ぎるほどに堪能できる。
特筆すべきは自らが主催する「橋の下世界音楽祭」。愛知県豊田市の豊田大橋の下で毎年行われているフェスである。
このフェスの特徴は、普段何もない街を流れる川にある橋の下の河川敷に、突然巨大な手作りの街ができあがることだ。
そこにはステージがあり、櫓があり、飲食店や洋服屋、鍛冶屋や寄席など、江戸時代かと錯覚するような店まで出現する。
入場料は投げ銭式で、祭りの楽しさに応じて対価を観客が決めて寄付するというもの。前夜祭や後夜祭を含めて約1週間から10日間にわたって開催されるが、そんなフェスは日本では希少だ。
2020年は、コロナ禍で開催できなかった橋の下世界音楽祭だが、毎年のように海外から知名度はあまりなくとも面白いバンドがやってきて、日本からも素晴らしいバンドが多数出演する。
ここまで分け隔てなく平等なフェスというのは非常に珍しい。この「祭り」に参加することは、自らの生き方や営みを根本から考え直せる素晴らしい機会になるだろう。
まずはTURTLE ISLANDの音源を手に入れて、その音と唄を感じて欲しい。
そうすれば、人種も性別も年齢も関係なく、みんなで橋の下に集まり酒を酌み交わし、笑い合い愛し合える。そんな日がそう遠くないと信じられるようになるだろう。
あとがき
いわゆるメジャーな有名どころにも素晴らしいバンドはたくさんいます。今回はそこまで掲載しきれませんでしたが、自分自身がパンクスということもあり、やはり今回はアンダーグラウンドシーンで活動しているバンドになりました。
3バンドともに素晴らし過ぎるので、是非曲を聴いてみたりライブに行ったりすることをおすすめします。
THE FOOLSに関しては、伊藤耕さんも川田良さんも亡くなってしまいましたが、同時期に活動していたブルーズビンボーズで、その魂を感じることができると思います。
JAZZY UPPER CUTについては、DEEP COUNTを見ることで、進化したJAZZY UPPER CUTに触れたような感覚になるでしょう。
TURTLE ISLANDは現行のバンドなので、是非体験することをおすすめします。
コロナで大変な日々ですが、このランキングのバンドを感じることで、またライブハウスに行きたくなると思います。
そこはグッと我慢して、みんなでまた楽しくライブで踊れる日を待ちましょう。
その日のためにも、是非ランキングのバンドを調べてみてください。あなたの中の何かが変わるかもしれません。
ロックの素晴らしさは、そんな部分にもあると思っています。
規格外の愛と反逆の魂を持つ男「伊藤耕」が在籍したバンド
THE FOOLSは、日本のロックムーブメントである東京ロッカーズ後期頃に存在した、SEXやSIZEのボーカル伊藤耕と、ギターの川田良を中心に作られたバンドである。
SEXやSIZEでは、アメリカのThe Stoogesから影響を受けたようなサウンドをやっていたが、THE FOOLSになってからはファンクの要素も多く取り入れられ、様々なアプローチを見せたバンドだ。
特筆すべきはボーカル伊藤耕の存在。何度も刑務所を行ったり来たりしながらバンド活動を続けた人間でありながら、その歌詞は飛び抜けた反逆と愛の魂が込められ、日本語で歌われるロック史上の中でも突出したわかりやすさとバイブレーションが伝わってくる、必聴のボーカルである。
常にアンダーグラウンドシーンでは目立った存在でありながら「気さく」という人間性を表す言葉は伊藤耕のためにあるかのようなフレンドリーさで、初めて会った人間でもその魅力に引き込まれてしまう、愛に溢れた人間だった。
刑務所を何度も行ったり来たりしている破天荒な人間ではあるが、伊藤耕の愛に触れれば、誰もがその虜になってしまっていた。
しかし2017年、出所を40日後に控えていたにも関わらず、服役中の刑務所で体調不良を訴えるが、刑務官の放置に近い対応によって永眠してしまう。
後期THE FOOLSと同時期に活動していた「ブルースビンボーズ」と共に、その歌は歌い継がれ、語り継がれている。「解散」という形態のないブルースビンボーズは、現在でも活動を停止せずに続いている。
伊藤耕は空に還ってしまったが、その魂はブルースビンボーズに受け継がれているのではないだろうか。
THE FOOLSは、ギターの川田良も2014年に他界、ドラムのマーチンこと高安正文も他界してしまい、中心人物3人がいなくなってしまったことで、後期メンバーによる今後の活動については謎である。
THE FOOLSなくして日本のロックは語ることができないと断言できる、邦楽ロック史上最高のバンドであることを覚えておいて欲しい。