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佐藤 利明さんの「韓国映画ランキング」

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更新日: 2020/09/01
佐藤 利明

娯楽映画研究家

佐藤 利明

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まえがき

2020年のアメリカのアカデミー賞では、韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が大きな話題となりました。恋愛映画、ホラー、サスペンス、アクション、ヒューマンドラマと、韓国映画は実に多彩。幾多の才能も排出しています。

そんな韓国映画の新旧の作品から三本をセレクトしました。ゾンビ映画の新境地をひらいた『新感染』、傑作『サニー 永遠の仲間たち』、『猟奇的な彼女』など、この20年の韓国映画は、次々とヒット作品が生まれています。

今回選んだのは、押さえておきたい定番と、あまり知られていない「怪獣映画」です。いずれも映像ソフトや配信で観るチャンスもあるので、未体験の方はぜひ!

ランキング結果

1パラサイト 半地下の家族

パラサイト 半地下の家族

引用元: Amazon

制作年2019年
上映時間132分
監督ポン・ジュノ
メインキャストソン・ガンホ(キム・ギテク)、イ・ソンギュン(パク・ドンイク)、チョ・ヨジョン(ヨンギョ)、チェ・ウシク(キム・ギウ)、パク・ソダム(キム・ギジョン)ほか
主題歌・挿入歌-
公式サイトhttp://www.parasite-mv.jp/
動画配信サービスU-NEXT:配信中
Amazon Prime Video:配信中
Netflix:配信中
Hulu:配信中

世界が認めたポン・ジュノ監督の快作!

第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画初のパルム・ドールを受賞し、第92回アカデミー賞では作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞の四冠に輝いた『パラサイト 半地下の家族』は、いろんな意味で世界中の映画人を驚かせました。

貧困層と富裕層が生み出す犯罪映画といえば、黒澤明監督の『天国と地獄』(1963年)という傑作があるが、ポン・ジュノ監督はこの普遍のテーマを、現代の韓国の「よくある一家」の物語としてスタートさせていきます。前半の詐欺師映画のようなテンポの良さ、思わず一家に共感してしまうような作劇で、あれよあれよと展開。そして、一度狂った歯車で、一家の運命やいかに・・・ という構成に、世界中が抱えている「貧困」という問題をするどく抉っていきます。

ブラックユーモアと、サスペンス、そして意外や意外の後半の展開まで、ポン・ジュノ監督の巧みな演出が堪能できます。作品のテーマの重さ、演出の軽快さ、主演のソン・ガンホのとぼけた味わい。さまざまなミスマッチが融合して、忘れられない映画体験となります。

2タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜

引用元: Amazon

制作年2016年
上映時間137分
監督チャン・フン
メインキャストソン・ガンホ(キム・マンソプ)、トーマス・クレッチマン(ピーター)、ユ・ヘジン(ファン・テスル)、リュ・ジュンヨル(ク・ジェシク)、パク・ヒョックォン(チェ記者)、ダニエル・ジョーイ・オルブライト(デイビッド・ジョン)
主題歌・挿入歌-
公式サイトhttp://klockworx-asia.com/taxi-driver/
動画配信サービスU-NEXT:配信中
Amazon Prime Video:配信中
Netflix:配信中
Hulu:なし

事実はフィクションを超越する

1980年5月、韓国の全羅南道光州市での、民主化を求める民衆蜂起「光州事件」を描いたチャン・フン監督のヒューマン・ドラマの傑作です。ソン・ガンホ演じるタクシー運転手が、高額な運賃を期待して、ドイツ人記者をのせて、光州へと向かう。観客であるわれわれは、メディアで報道されることのない、軍による民衆への暴虐を、主人公たちと一緒に目の当たりすることになります。

極限状況下のジャーナリストとタクシー運転手が、真実を世界に伝えるために、ともに、命がけの行動をしていくクライマックスは、サスペンスとしても秀逸。ソン・ガンホのユーモラスな演技が、次第にリアルになっていく展開も含めて、映画でなければ描けない「歴史の転換点」をぼくたちは、体感することができます。

3大怪獣ヨンガリ

大怪獣ヨンガリ

引用元: Amazon

制作年1967年
上映時間74分
監督シム・ヒョンレ
メインキャストハリソン・ヤング(ウェンデル・ヒューズ博士)、ドナ・フィリップソン(ホリー・デイヴィス)、リチャード・B・リヴィングストン(キャンベル教授)、ダン・キャッシュマン(ジョージ・マードック)、デニス・ハワード(ジャック・トーマス)ほか
主題歌・挿入歌-
公式サイト-

韓国製怪獣映画の快作!

韓国の「ゴジラ」と呼ばれている大怪獣ヤンガリーは、1967年にオリジナル『大怪獣ヨンガリ』が作られ、1999年には韓国とアメリカの合作で『怪獣大決戦ヤンガリー』としてリメイクされました。

オリジナル版は、日本の『ゴジラ』や『ガメラ』シリーズ同様、アメリカでは70年代にテレビ放映されアジアの怪獣映画としてポピュラーな存在となりました。この『大怪獣ヨンガリ』は、当時『ガメラ』シリーズを手掛けていた、大映の特撮チームが韓国に招かれて撮影されました。ガメラを手掛けたエキスプロダクションの三上陸男さんが特殊美術として参加して、ヨンガリのスーツや特撮シーンが作られました。

そういう意味では、日本の怪獣映画を観ているような楽しさに溢れ、少年とヨンガリの関わり方は、『ガメラ』シリーズを彷彿とさせます。ベスト・オブ・韓国映画ではあありませんが、韓国のファンタジー映画のルーツの一つとしてご紹介しました。

あとがき

第3位の『大怪獣ヨンガリ』は、意外に思われるかもしれませんが、怪獣映画というジャンルが国境を超えて作られていたこと、それが現在に繋がっていることを、知って頂ければと思いました。アン・ハサウェイ主演のハリウッド映画『シンクロナイズド・モンスター』の怪獣が、なぜ韓国で暴れるのか? そこに『大怪獣ヨンガリ』の伝統があるからでもあります。

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