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Twitterでシェアまえがき
チャップリンのペーソスと情緒あふれる作品。日本映画では、原爆の悲劇で引き裂かれた恋人の物語。そして本来、ハッピーであるミュージカル映画の手法で、これも戦争によって引き裂かれた恋人たちの切ない別れと再会の物語です。
映画は、ほんのわずかですが、登場人物たちが生きてきた時間や、その胸の内に触れることで、ぼくたちに「感動」「感激」「感涙」をもたらしてくれます。
ランキング結果
1位キッド(1921年)
引用元: Amazon
制作年 | 1921年 |
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上映時間 | 68分 |
監督 | チャーリー・チャップリン |
メインキャスト | チャールズ・チャップリン(放浪者)、ジャッキー・クーガン(捨て子の少年)、エドナ・パーヴァイアンス(捨て子の母親)、カール・ミラー(芸術家の男)、アルバート・オースチン(木賃宿の男)ほか |
主題歌・挿入歌 | - |
公式サイト | - |
2位愛と死の記録
吉永小百合と渡哲也による純愛映画
昭和41(1966)年、戦後21年目の夏に、日活が製作した「愛と死の記録」は、昭和20(1945)年8月6日、広島に投下された原爆により、4才で被曝をしてしまった渡哲也さんの主人公と、その恋人・吉永小百合さんの、美しくも切ない愛を描いた作品です。
大江健三郎さんの「ヒロシマ・ノート」を原作に、蔵原惟繕監督がドキュメンタリータッチで、戦後21年目の若い恋人たちを生き生きと描いています。当初は浜田光夫さんが演じる予定でしたが、怪我をして休養したため、渡哲也さんが代役を演じて、これが映画における渡さんの代表作となりました。
印刷工場で働く、健康そのものの青年・三原幸雄(渡哲也)は、ある日、レコード店につとめる松井和江(吉永小百合)と恋に落ちるが、原爆症を発症してしまう。永遠の愛を信じる和江と、10年先の自分をイメージすることができない幸雄の悲恋は、戦争がもたらした悲劇を、ぼくたちに突きつけてきます。
この作品がきっかけで、吉永さんは平和活動を始めることになりました。渡哲也さんにインタビューをしたときに「自分の代表作の一つ」とこの作品について語ってくれました。
3位シェルブールの雨傘
引用元: Amazon
制作年 | 1964年 |
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上映時間 | 91分 |
監督 | ジャック・ドゥミ |
メインキャスト | カトリーヌ・ドヌーヴ(ジュヌヴィエーヴ・エムリ)、ニーノ・カステルヌオーヴォ(ギイ・フーシェ)、アンヌ・ヴェルノン(エムリ夫人)、ミレーヌ・ペレー(エリーズおばさん)ほか |
主題歌・挿入歌 | - |
公式サイト | - |
切なくも美しい別れ
ジャック・ドゥミ監督のフレンチ・ミュージカル映画『シェルブールの雨傘』(1964年)は、全編に渡ってセリフが「歌」で綴られる名作です。フランスの港町、シェルブールで母と雨傘店を営む、ジュヌヴィエーヴ(カトリーヌ・ドヌーヴ)が自動車整備工・ギイ(ニーノ・カステルヌオーヴォ)と恋人同士。やがてギイに召集令状が届き、アルジェリア戦争に向かうことに・・・
愛し合いながらの別れ。ジュヌヴィエーヴはギイの子供を身篭っていたが、戦場からの手紙が届かない・・・
三部構成で六年間に及ぶ、二人の愛のすれ違いと、別れ、そして再会が描かれる。6年後の二人の再会。雪のクリスマス。ギイのガソリンスタンドにやってきたジュヌヴィエーヴの現在。ミシェル・ルグランの美しい音楽が、感情を高めてくれる。ディミアン・チャゼル監督『ラ・ラ・ランド』にも大きな影響を与えた感涙のクライマックスを体感するために、ぼくは、この映画を繰り返し観ています。
あとがき
また「原爆詩」の朗読を精力的に続けている女優・吉永小百合さんの平和活動の原点も、『愛を死の記録』を通して、ぼくたちは知ることができます。
映画が素晴らしいのは、観る前と、観た後、ほんの2時間で、必ず「何か」をもたらしてくれることです。だから映画ファンはやめられないのです)(笑)
放浪紳士チャーリーの真髄
世界映画史に燦然と輝く「泣ける映画」はなんだろう? と考えると、やはりチャールズ・チャップリンの映画にたどりつきます。この「キッド」は、1921年、日本では大正10年に作られた傑作。監督・脚本・主演はチャーリー・チャップリン。1971年に公開されたサウンド版では、音楽もチャップリンが手掛けています。
貧しい女性が、産んだばかりの赤ちゃんを慈善病院の前に置いて去ってゆく。放浪紳士・チャーリーが、その赤ちゃんを自分で育てる決意をする。それから五年後、チャーリーはキッド(ジャッキー・クーガン)に、投石させてガラスを割らせて、ガラス屋として修理を請け負う。ひどい商売ですが、チャップリンの絶妙の動きで、子役のジャッキー・クーガンの抜群の動きとともに、爆笑を誘います。
この映画の冒頭で「笑いと たぶん涙の物語」と字幕が出るが、この<たぶん涙の物語>が後半、ぼくたちの感涙を誘います。捨て子の少年と、チャップリンの心の交流。この後、世界中で作られる喜劇映画に大きな影響を与えました。このキッドの境遇は、チャップリン自身のロンドンでの少年時代が投影されている言われています。
のちに作られたサウンド版で、チャップリンがつけた音楽も、とても素晴らしいです。おかしくて、楽しい、そして切なくも心温まる名作です。