美は乱調にありの詳細情報
参考価格 | 1,188円(税込) |
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「美はただ乱調にある。諧調は偽りである。」(大杉栄) 瀬戸内寂聴の代表作にして、伊藤野枝を世に知らしめた伝記小説の傑作が、文庫版で蘇る。婚家を出奔しての師・辻潤との生活、『青鞜』の挑戦、大杉栄との出会い、そして日蔭茶屋事件――。野枝、平塚らいてう、神近市子。恋に燃え、闘った、新しい女たちの人生。(引用元: Amazon)
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感想・レビュー
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瀬戸内寂聴の本ランキングでの感想・レビュー
美は乱れに宿る
「美は乱調にあり」は、大正に実際に起きた虐殺事件で殺された、伊藤野枝の半生を綴った伝記小説です。ダダイストの辻潤と結婚するも、後に無政府主義者(アナーキスト)の大杉栄の元へと去り、泥沼の不倫に溺れた挙げ句、最終には憲兵に殺害されてしまうという伊藤野枝の人生はタイトルにもある通り、波乱に満ちています。この小説では、大杉栄の無政府主義思想や伊藤野枝の女性解放思想といった政治的な信条や正義というものは省かれ、情欲にまみれたメロドラマが淡々と描かれます。憲兵たちに惨殺され、畳表にくるまれて井戸に遺棄されてしまう最期ではありますが、性に奔放で生を謳歌した、野性的でエネルギッシュな伊藤野枝の人生は、欲望を抑圧された現代人には愚かにも美しくも映ることでしょう。
shutoさん(男性・30代)
1位(100点)の評価