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どこか不安げで美しい、独特の空気感
短編映画をひとつに集めた、いわゆるオムニバス映画です。タイトルの通り、黒澤監督が見た夢がモチーフになっている、とのことです。
そのためか、どこか現実感の稀薄な、不安げな空気感が全体に漂っていますが、それがとってもアンニュイで魅力的です。ストーリーがとびきり面白い、というよりは、ひとつひとつのシーンもがとても「画になる」作品です。
しんみりと心に響く「ゴンドラの唄」
シンプルなタイトルで、ずばりそのまま生きるとはどういうことなのか、を問いかける映画です。
静かに雪の降る公園の中で、志村喬(主演)がぶらんこを漕ぎながら「ゴンドラの唄」を歌うシーンがとても有名です。かすれた声とやさしい旋律、白黒フィルムに映える雪の白さが非常に印象的で、おもわず涙が浮かびます。
「医者」にできることとは? 職業倫理を超えて人と人の愛情に触れる物語
患者さんのために一生懸命向き合い、治療をしてくれる、ひとりのお医者さんのお話です。
若いときに医者を志していた経験があるため、自分の夢や理想を思い出して非常に胸に響きました。夢や理想や愛情だけでは人を助けることができないかもしれないけれど、そんな現実を知って猶、人を助けたいと思うことの尊さや大切さを学びました。
白黒なのに、カラー映画に決して負けない大迫力の演出!
はじめて見た黒澤作品で、非常に思い入れがあります。
原作は芥川龍之介の『羅生門』と『藪の中』で、ストーリーのほとんどはタイトルになっている羅生門よりむしろ藪の中をメインに据えています。原作を先に読んでいたため、このふたつを合わせるとこういう演出になるんだ!という新鮮な驚きがありました。
羅生門に降る豪雨のシーンは大迫力で、引き込まれます。白黒映画で、雨をはっきりと映すために、水に墨汁を混ぜて降らせたという噂もあります。
他にも見上げた太陽の日差しの強さや、京マチ子の高笑いの演技など、カラー映画に慣れきった現代人でもはっと息を呑むほどの大迫力のシーンが盛りだくさんです。