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瀧津 孝さんの「時代劇映画ランキング」

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更新日: 2020/10/14
瀧津 孝

作家・日本史激動期研究家

瀧津 孝

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まえがき

戦国武将や戦国時代の合戦を題材にした映画は国内で数多く作られてきましたが、その中で史実をある程度踏まえた歴史映画になると、私の個人的感想ながら「すごい!」「何度でも観たい!」と思えるような作品はまだ一つもありません。

しかし、フィクションではあっても、日本の歴史を感じさせる時代劇には傑作、名作がいくつもあります。戦国時代、もしくは戦国時代直後を舞台にした特筆すべき三つの時代劇映画をセレクトしてみました。

ランキング結果

1七人の侍

七人の侍

引用元: Amazon

制作年1954年
上映時間207分
監督黒澤明
メインキャスト島田勘兵衛(志村喬)、菊千代(三船敏郎)、岡本勝四郎(木村功)、片山五郎兵衛(稲葉義男)、七郎次(加東大介)ほか
主題歌・挿入歌-
公式サイト-

世界映画史に燦然と輝く日本時代劇の金字塔

敗戦による連合国占領下にあった日本がようやく独立を取り戻したばかりの昭和29年、世界の映画史に燦然と輝くこれほどの名作が作られたことに日本人として嬉しく、感銘を受けます。当時の娯楽映画として圧倒的人気を得ていた外国の西部劇に決してひけを取らず、日本らしさを前面に出し、老若男女が理屈抜きで楽しめる徹底したエンターテインメント作品を撮る、という監督・黒澤明の強い信念が大きな実を結ばせたのでしょう。

戦国時代を舞台に、入念な時代考証によってそれまでの時代劇と一線を画すリアルな演出が試みられ、生まれる以前のクラシック作でありながら大きな衝撃を受け、私の執筆作品に多大な影響を及ぼしました。クライマックスとなる雨の決戦シーンは、マルチカメラシステムを導入した絶妙な編集によってモノクロ映画なのに凄まじい迫力。単純なメロディーを力強く繰り返す早坂文雄の音楽は、この娯楽大作にぴったりとマッチしています。

七人の侍の中では、やっぱり宮口精二演じるクールな剣豪・久蔵がイチオシ。HDリマスターか4Kデジタル修復で映像だけでなく、少し聴き取りにくい音声をもっとクリアにしてくれれば言うことないんだけどなぁ〜。

2宮本武蔵 一乗寺の決斗

宮本武蔵 一乗寺の決斗

引用元: Amazon

制作年1964年
上映時間128分
監督内田吐夢
メインキャスト中村錦之助 (宮本武蔵)、丘さとみ(朱美)、入江若葉(お通)、岩崎加根子(吉野太夫)、木村功(本位田又八)ほか
主題歌・挿入歌-
公式サイト-

吉川英治原作の映像化作品の中ではナンバーワン

リアリズムとダイナミズムの巨匠・内田吐夢が一年に一作、計五年の歳月をかけて完成させた「宮本武蔵」五部作は、吉川英治の原作を映像化した多くの作品群の中でもダントツに面白いと思っています。戦国末期から江戸初期を生きた剣豪・宮本武蔵を萬屋錦之助が好演し、次々と立ちはだかる強敵たちとの決闘シーンの殺陣がまた素晴らしい!

五作品の中で一番好きなのは、ライバル・佐々木小次郎との一騎打ちへと突入する第五作「宮本武蔵 巌流島の決斗」も捨てがたいけれど、京都で隆盛を誇る剣術道場・吉岡拳法一門との死闘を描く第四作「宮本武蔵 一乗寺の決斗」!

当主、さらに後継者の当主実弟を果たし合いで倒された一門が、武蔵一人をなりふり構わず数十人でなぶり殺そうとするクライマックスは、それまでのカラー映像が突如モノクロに転換し、本来血みどろとなるはずの画面が一種ドキュメンタリー風に、さらには独特の迫力と緊張感をもって展開します。泥田とあぜ道を這い回り、死に物狂いで剣を振るう武蔵の殺陣は時代劇史に残る名シーン。血に染まったかのように紅葉するシダの中で、疲労困憊の武蔵が大の字になる場面から再びカラーに戻す演出は、芸術映画かと思えるほど。

3切腹

切腹

引用元: Amazon

制作年1962年
上映時間133分
監督小林正樹
メインキャスト仲代達矢(津雲半四郎)、石濱朗(千々岩求女)、岩下志麻(美保)、丹波哲郎(沢潟彦九郎)、三國連太郎(斎藤勘解由)ほか
主題歌・挿入歌-
公式サイト-

武士社会の暗黒面に初めてスポットを当てた秀作

戦国期の遺風が消えつつある江戸時代初期、悲愴な運命に身を投じる戦国生き残り浪人の反骨と死に様を描いた傑作時代劇で、同時期に製作され、同じく一人の浪人を主人公とする黒澤明監督の「用心棒」や「椿三十郎」のようなスカッとした爽快な娯楽作とはまるっきり正反対に、武士社会が内包するダークサイドを浮き彫りにしました。

全編を通じて緊迫感がみなぎり、ミステリアスな主人公の行動意図が明確になっていくにつれ、終いには〝爆発的な〟破局が訪れることを予感させ、物語の中へとグイグイ引き込まれていきます。2011年には「一命」のタイトルでリメイクもされましたが、「切腹」の重厚で隙のないストーリーテリングには及びません。

ただし、武門の誉れ高い徳川譜代大名・井伊家の江戸藩邸で大乱闘が繰り広げられる終盤の直前、主人公(仲代達也)と敵役の一人である井伊家最強の藩士(丹波哲郎)の決闘場面だけが妙に物足りないと言うか、迫力に欠ける印象を受け、その後何度観てもずっとこの感想は変わりませんでした。しかし、最近になってこのシーンだけ演技用の竹光ではなく真剣が使われていたと知り、やっと納得。演出上の判断だったのでしょうが、さすがに真剣を使うことの恐怖心が役者の殺陣に影響を及ぼしたのだと思います。

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