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ただ、原作や実際の事件の背景にある膨大な内容を2時間でまとめ切るために、かなりの省略や、ある程度の前提知識が必要だったりする部分もあるので注意が必要です。
私のお勧めとしては、気になった映画については、まず映画のチラシに載っている大雑把なあらすじだけを頭に入れ、真っ白な状態にして映画を見る。そして、興味を持った映画についてはホームページやパンフレット、場合によっては原作などを読んだ上で、 DVD が発売になった段階で購入やレンタルをすることをお勧めします。
また同じ原作の作品や、同じ事件を題材にした映画が何十年か前にも映画化されているという場合もあるので、それらを見比べていくというのも楽しいです。
好きな歴史映画というと日本史だけでも何十本、中国史・朝鮮史だけでも何十本、西洋史までを含めると本当に数えきれないぐらいあるので、今回は太平洋戦争(当時日本で大東亜戦争と呼ばれていた)を題材とした映画に限定してランキングを作成しました。
ランキング結果
2位この世界の片隅に(アニメ)
引用元: Amazon
あらすじ・スト-リー | 18歳のすずさんに、突然縁談がもちあがる。良いも悪いも決められないまま話は進み、1944(昭和19)年2月、すずさんは呉へとお嫁にやって来る。呉はそのころ日本海軍の一大拠点で、軍港の街として栄え、世界最大の戦艦と謳われた『大和』も呉を母港としていた。見知らぬ土地で、海軍勤務の文官・北條周作の妻となったすずさんの日々が始まった。 |
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制作年 | 2016年 |
上映時間 | 129分 |
原作 | こうの史代『この世界の片隅に』 |
キャラクターデザイン | 松原秀典 |
監督 | 片渕須直 |
プロデューサー | 真木太郎 |
メインキャスト | のん(北條すず)、細谷佳正(北條周作)、尾身美詞(黒村径子)、小野大輔(水原哲)、岩井七世(白木リン)ほか |
主題歌・挿入歌 | みぎてのうた / コトリンゴ |
制作会社 | MAPPA |
公式サイト | https://konosekai.jp/ |
動画配信サービス | U-NEXT:配信中 Amazon Prime Video:配信中 Netflix:なし Hulu:なし |
穏やかな性格の主人公と、彼女に突き付けられる厳しい現実とのギャップ
この映画には大きな衝撃を受けました。私は最初にANAの飛行機で成田からジャカルタに向かう路線で見ていたのですが、ボロボロ泣いてしまい、7時間のフライトの中で3回も見てしまい、3回とも泣いてしまったため、目を赤く腫らした私を見て、ジャカルタで迎えに来てくれた人から「どうしたんだい?」と心配されたほどでした。それほど泣ける作品です。
太平洋戦争(日本では大東亜戦争と呼ばれていました)末期の広島を舞台に、海軍の街である呉に嫁いだ18歳の普通の少女が戦争に否応なく巻き込まれていくというストーリーに涙なくては見ることのできない作品でした。
とりわけ前半部分が非常に牧歌的で、また主人公であるすずの性格も非常にまったりと穏やかな性格であるがゆえに、そのすずに突きつけられる厳しい現実とのギャップに戦争というものの存在を考えさせられるうえに非常に泣ける作品でした。
また、私が生まれた時にはすでに亡くなっていた私の祖母が、呉の近くの生まれで、呉で海軍関連の仕事をしていた関係で、朝鮮の京城(現在のソウル)に赴いた際に、召集でソウルに来ていた祖父と恋に落ち、私の母が生まれたという経緯があり、個人的にも非常に思い入れのある作品です。
原作者である漫画家のこうの史代先生は、他の作品から伺うところによると、どうやら昭和初期オタクらしく、私自身も昭和初期の歌謡曲や文化について非常に好きで、ディテールの部分に昭和初期オタクらしい要素がたくさん盛り込まれており、昭和初期オタクである私には非常に楽しかったです。
もちろん昭和初期オタクでない人にも楽しめますが、 大正ロマンや古い時代に対する憧れがある人の場合、非常に凝ったディテールであるため、何度も楽しめる面白い映画に仕上がっています。
日本兵たちの心情を丁寧に描いた作品。
クリント・ イーストウッド監督による作品です。この作品の意欲的な部分は、硫黄島の戦いについて、日本の視点から描いた『硫黄島の手紙』と、アメリカ側の視点に立って描いた『父親たちの星条旗』の二部作で成り立っているというところです。
私自身、日本の戦争を題材とした洋画はあまり好きではありません。その理由は、日本の戦争を題材とした外国の映画では、日本人兵士が単なる悪者といった形で、ステレオタイプで描かれている作品が多いからです。
しかしこの作品は、日本人兵士についても、そのようなステレオタイプな描きかたではなく、ある程度きちんと描かれているのが良いです。
硫黄島でアメリカ軍と死闘を繰り広げた栗林忠道陸軍大将を軸に、彼の手紙をまとめた「「玉砕総指揮官」の絵手紙」や、実際に硫黄島の戦場跡に残された数百通の手紙をもとに、硫黄島で戦った名もなき日本兵たちの心情を丁寧に描き出した名作であるといえます。
『ラストサムライ』で世界的な映画俳優になった渡辺謙さんの圧倒的な存在感と演技力はもちろんのこと、二宮和也さんが演じた守備隊の兵士である西郷昇がとても素晴らしい演技をしています。中村獅童さんの鬼気迫る悪役ぶりも素晴らしいです。
従来の学校教育で学んだ歴史とは違った角度の切り込み方
半藤一利さんのノンフィクション『日本のいちばん長い日 決定版』を映画化した作品です。
監督は今、歴史映画を撮らせたら第一人者といえる原田眞人監督です。原田眞人監督の特徴と言うと、素晴らしい小説だが、「これ映画化するのは難しいだろうな~」と思われる作品を見事に映画化するところです。
司馬遼太郎先生原作の『関ヶ原』は、私自身、映画化は不可能だと思っていましたが、原田監督の映画を見たとき「お見事」とうなりました。こちらも同様に素晴らしい作品になっています。
この映画のすごいところは、同じ年に宮内庁から公表出版された『昭和天皇実録』など最新の資料も元にしているというところです。その結果、今までの学校教育で学んだ歴史とは違った角度の切り込み方が鋭くされています。
阿南惟幾陸軍大臣に役所広司さん、鈴木貫太郎内閣総理大臣に山崎努さん、そして舞台の鍵を握る内閣書記官長の 迫水久常に堤真一さんと実力派を揃え、昭和天皇の聖断から玉音放送に至るまでの経緯を、派手さはないものの丁寧にしっかりと描いており、一気に最後まで見せる映画です。
また小説では大きくクローズアップされていない畑中健二陸軍少佐にスポットを当てて、 そこに2015年当時もっとも旬であった松坂桃李さんを起用し、見事に成功しているところもすごいです。
さらに本木雅弘さんの昭和天皇については、本当に難しい役を見事に演じきっており、 これによって日本を代表する役者と誰もが認める存在になったのではないかと思わせるぐらいの演技ぶりでした。
この作品ですが、50年ほど前の1967年に岡本喜八監督が映画化しています。岡本監督版の『日本のいちばん長い日』と見比べてみるのも面白いです。こちらでは鈴木貫太郎首相を笠智衆さんが、阿南惟幾陸軍大臣を三船敏郎さんが演じており、色々と見比べてみるのも非常に楽しいと思います。
そして最後に半藤一利先生の『日本のいちばん長い日 決定版』 を一読してみることをお勧めします。