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オザワ部長さんの「吹奏楽の曲ランキング」

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更新日: 2020/09/03
オザワ部長

吹奏楽作家

オザワ部長

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まえがき

はっきり言って、順位はあってないようなものです。
すべてが1位と言いたいところですが、ルールに従って「現時点での」「個人的な」ランキングを作ってみました。

他に、真島俊夫作曲の『吹奏楽のための交響詩「波の見える風景」』、埼玉県立伊奈学園総合高校吹奏楽部や大阪桐蔭高校吹奏楽部の名演が忘れられない『ミュージカル「レ・ミゼラブル」』、クロード・トーマス・スミスの『フェスティヴァル・ヴァリエーション』『ルイ・ブルジョアの讃美歌による変奏曲』、フィリップ・スパークの『宇宙の音楽』、ロバート・ジェイガーの『シンフォニア・ノビリッシマ』、ジェイムズ・バーンズの『交響曲第3番』、さらに和泉宏隆『宝島』『オーメンズ・オブ・ラブ』などなど、いくつもの候補が合ったことも付け加えておきます。

要するに、吹奏楽は名曲だらけということです!

なお、他のランキングで取り上げた曲は敢えて外しました。

ランキング結果

愛は万華鏡のように…

創価グロリア吹奏楽団と指揮者・佐川聖二先生の委嘱により作曲され、2003年に初演された吹奏楽オリジナル曲。

まず注目されるのはタイトルの長さ。
天野正道先生の曲には、他に『パラフレーズ・パァ「スタティック・エ・エクスタティック」アヴェック・アン・プロローグ・エ・レピローグ』というさらに長い曲名もあるものの、この曲も充分に長い&言いにくいため、吹奏楽コンクールやコンサートではアナウンサー泣かせです。
オザワ部長もよくラジオ「ブラボーブラス」でこの曲を紹介しますが、毎回「ちゃんと言えるかな」とハラハラドキドキします。

このタイトルはフランス語で、意味は「それぞれの愛のかたちは万華鏡のごとく移り変わる」。英語にすれば、「The form of each loves changes like a kaleidoscope.」といったところでしょうか。
「愛」は佐川聖二先生の追求する音楽のテーマだそうですが、ひと言で「愛」と言っても、恋愛だけでなく、親子愛、友情、隣人愛、人類愛、歪んだ愛情……など様々な形があります。
また、それぞれの愛の形も変化していくものです。

そういった「愛の形」の「変化」を主題として作られたのが、『ラ・フォルム・ドゥ・シャク・アムール・ションジュ・コム・ル・カレイドスコープ』です。

冒頭から非常にロマンティックな旋律が響きますが、それはまるでゆったりとした「心に広がる海の波立ち」のようです。
途中に激しい箇所を挟みながら、愛はたゆたい、高まっていきます。
フルートやオーボエ、ソプラノサックスのソロも、美しく切ない曲の雰囲気をさらに叙情的なものにし、最後は情熱的なクライマックスを迎えます。

2015年に行われた全日本吹奏楽コンクールでの玉名女子高校吹奏楽部(熊本)の演奏は、ロマンティシズム、繊細さ、統一感、透明感、いずれを取っても文句のつけようのない名演でした!

2華麗なる舞曲 / C.T.スミス

華麗なる舞曲 / C.T.スミス

引用元: Amazon

作曲・編曲C.T.スミス / -
演奏時間約9:00

超絶ハイテンションなダンスミュージック

アメリカの作曲家、クロード・トーマス・スミスが作曲した高難度な曲。

テンポが速く、金管楽器にはハイトーン(高音)や音の跳躍があり、拍子が4/4、3/4、2/4、3/8、5/4など細かく変わる部分があり、ソロもオーボエ・フルート・アルトサックス・ファゴット・ピッコロトランペットなどに割り振られています。
中でもピッコロトランペットのソロは強烈に難しいことで知られており、プロ奏者でも相当なプレッシャーを感じる箇所となっています。
また、自身がホルン奏者であったクロード・トーマス・スミスの曲は、ホルンパートもハードモードの演奏を必要とされます。

しかし、それらがすべてバチッと決まると、観客も思わず熱狂せずにはいられない超絶ハイテンション&高熱量な演奏となります。
「舞曲」は、今風に言えば「ダンスミュージック」。
『華麗なる舞曲』は、吹奏楽における「アガるダンスミュージカル」と言ってもいいでしょう。

全日本吹奏楽コンクールでの名演としては、1992年の洛南高校吹奏楽部(京都)、2009年の精華女子高校吹奏楽部(福岡)、2011年の岡山学芸館高校吹奏楽部(岡山)、そして、中学校とは思えない快演だった2016年の北斗市立上磯中学校吹奏楽部(北海道)などがあります。
当時男子校だった洛南高校(超進学校としても知られています)は、この難しい曲を少ない人数で楽器を持ち替えながら演奏しました。驚異です。

3シーガル / 真島俊夫

シーガル / 真島俊夫

引用元: Amazon

作曲・編曲真島俊夫 / -
演奏時間約6:27

アルトサックスソロをフィーチャーした名曲

真島俊夫先生の曲の中で何を選ぶか非常に迷いましたが、今回はこの曲にしました。
『バーズ -アルトサクソフォンと吹奏楽のための協奏曲』という「鳥」をテーマにしたコンチェルトの第2楽章として知られている『シーガル』(カモメ)です。
なお、第1楽章は『スワロー』(つばめ)、第3楽章は『フェニックス』(不死鳥)となっています。すべて演奏すると20分ほどになるコンチェルトです。

『シーガル』は、もともとは日本を代表するサックス奏者・須川展也さんのために真島先生が書いた、アルトサックスと弦のためのバラード曲でした。
これを吹奏楽版にし、三部作にまとめたのが『バーズ -アルトサクソフォンと吹奏楽のための協奏曲』です。

『シーガル』のテーマは、人が生きていく上での悲しみや切なさ。
冒頭のオーボエソロからセンティメンタルな雰囲気が広がっていきます。その後を引き継いで登場するアルトサックスのソロが、ときに青空に大きく羽ばたき、ときに心細く波間に揺られる真っ白なカモメの姿を描き出していきます。
その姿は人生そのものです。

「白鳥は かなしからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ」
若山牧水が残した短歌が思い出されます。

オザワ部長はこれまで須川展也さん、上野耕平さん、田中靖人さん、福本信太郎さんといった名サックスプレイヤーの『シーガル』を聴いてきました。
この曲によって各奏者の「音」「歌」「心」が引き出され、まるで海辺で奏者と一対一で人生について語り合っているかのような感動を覚えました。

あとがき

ぜひ皆さんもランキングに参加してみてくださいね!
多くの方が参加したとき、どんな結果が出てくるのかオザワ部長も興味津々です!

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