所有せざる人々の詳細情報
参考価格 | 1,320円(税込) |
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『所有せざる人々(英語: The Dispossessed)』は1974年に発表されたアーシュラ・K・ル=グウィンによるユートピア小説、SF小説。1975年のヒューゴー賞 長編小説部門、ネビュラ賞 長編小説部門、ローカス賞 長編部門、ジュピター賞を受賞しており、『闇の左手』と共にル=グウィンの代表作の1つに挙げられる。(引用元: Wikipedia)
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感想・レビュー
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SF小説ランキングでの感想・レビュー
持たざるものが実は最も多くを有するとの“逆説的な”幸福論
姉妹惑星ウラスの地を踏んだアナレスの物理学者シェヴェックは、百七十年振りの「月よりの最初の使者」として歓迎を受ける。
オドー主義者たちによる植民惑星たる無政府社会の惑星アナレスは、「ダスト」(砂漠)に侵食され、「埃」(ダスト)が労働の難敵と化す不毛の土地だ。一方の惑星ウラスは資産階級が無産階級を支配する所有主義社会、不当利得国家と指弾され、アナレス人からは軽蔑されている。シェヴェックは理論物理学を究めるために、中年になって「監獄」社会ウラスに亡命したのだ。
本小説は、故郷アナレスでの少年期、青年期、壮年期それぞれのシェヴェックとウラスで暮らす現在のシェヴェックを追いつつ、時間と場所を交錯しながら展開するので、読者を大いに戸惑わせる。
しかし、ようやく個人の思想や業績のみならず、シェヴェック自身をも「所有」するウラス国家の危険性に気付いたことで、異星に在って異性に惑う仮初めの姿から、本来の己に目覚めて「自由」への逃走(闘争)を試みる。
持たざる者が実は最も多く、最も大切な物(人間らしい尊厳や真の自由など)を所有しているとの“逆説的な”幸福論が得られる、多才かつ多彩な作家アーシュラ・クーパー・ル=グウィンが遺した傑作である。
田舎老人ただやんさん
1位(95点)の評価