1分でわかる「出崎統」
国民的人気作を手がけた出崎統のアニメ作品
出崎統は、1943年11月18日生まれの東京都出身のアニメ監督。応募約500人中採用3人という難関を突破し、1963年虫プロダクションへ入社しました。以後『鉄腕アトム』や『ビッグX』、『悟空の大冒険』などの制作に携わります。そして1970年には初監督アニメ作品『あしたのジョー』が放送されました。以後は1971年放送のルパン3世の絵コンテを手がけたり、1973年放送の『エースをねらえ』、『空手バカ一代』や1978年放送『宝島』、1979年放送『ベルサイユのばら』といった人気作の監督を務めます。さらに2001年から2004年にかけて幼児向け作品『とっとこハム太郎』の劇場版作品を手がけ、恋愛ゲーム原作の劇場版『AIR』や同じく恋愛ゲーム原作の劇場版『CLANNAD -クラナド-』の監督を務めるなど、すでにアニメ監督としての地位を確立しているにもかかわらず、新しいフィールドへ挑戦し続けました。惜しむらくも20011年に亡くなられてしまいましたが、今なお出崎統監督の影響を受けるアニメーターは数多く、正に伝説のアニメ監督と言えるでしょう。
































美学が燃え尽きる傑作ドラマ
『あしたのジョー2』は、力石徹との激闘を経てリングを離れた矢吹丈が、宿命のライバルを失ったトラウマを抱えながらも、再びボクシングの世界へと戻っていくスポーツアニメです。
本作では、出崎統監督の代名詞である「出崎演出」が最大限に発揮されています。感情の極点を描く「止め絵」、絵画的な「ハーモニー」、ドラマティックな「透過光」、そして動作の重みを伝える「3回パン」といった独自の技法が、矢吹丈が力石徹の死というトラウマに苦しみながらも、カーロス・リベラやホセ・メンドーサといった強敵との死闘を通じて「真っ白に燃え尽きる」まで生き抜くその姿を、鮮烈かつ叙情的に映し出します。これらの演出は、丈の内面的な葛藤やボクシングの激しさを丹念に描き出し、物語の感動を一層高めるものです。
その映像表現はアニメ史に残る傑作として高く評価される一方で、出崎演出の強い個性に対し、時に「絵が綺麗すぎる」「演出が過剰」といった意見もあり、好みが分かれるかもしれません。それでも、矢吹丈の壮絶な生き様は、今なお多くの人々に感動と勇気を与え続けています。
▼こんな人におすすめ
・トラウマを乗り越え再起するドラマが見たい人
・叙情的でドラマティックな、唯一無二の演出表現を味わいたい人
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