1分でわかる「スタンリー・キューブリック」
完璧主義者として知られるキューブリック
スタンリー・キューブリック(1928~1999年)は、アメリカ出身の映画監督。1953年、人間がもたらす狂気を描いた『恐怖と欲望』で劇場映画デビューを果たします。この作品は低予算でキューブリック自身がデキに納得がいっていないことから、「幻の作品」と呼ばれています(広く知られているデビュー作は1955年公開の『非情の罠』)。また、キューブリックは完璧主義者として知られており、2秒ほどのシーンに2週間を費やしたといった逸話も。問題作を多く生み出したことでも有名で、1971年に製作された『時計じかけのオレンジ』では少年犯罪を助長したと批判され、社会問題にまで発展しました。
キューブリックが取り入れた独特な映像表現
キューブリックが手掛ける映画作品は、ブラックユーモアを盛り込んだ、シニカルな作風を特徴としています。撮影手法としては、セリフよりも「映像」で魅せるスタイルを採用。レンズの向きは変えずにズームインとズームアウトを行うことで閉塞感を伝えたり、左右対称の構図で人工的な恐怖を演出したりと、独特な技法を作品に盛り込んでいました。こういったことから、スタンリー・キューブリックは「天才」と称されることも多いです。
後世に名を残したキューブリックの名作たち
良作揃いのキューブリック監督作品のなかでも、とくに名作との呼び声が高いのが『シャイニング』(1980年)。一家の大黒柱が自分の妻と息子を殺そうとするという内容で、上述した「左右対称の構図」に加え、カメラにアームをつけてブレのない映像も取り入れるなど、ホラー映画の枠を超えた圧倒的に美しいビジュアルが魅力です。ほかにも、人工知能の反乱を描いた『2001年宇宙の旅』(1968年)や、人間性を失っていく兵士の姿を追った『フルメタル・ジャケット』(1987年)など、評価の高い映画作品は多いです。