初めて観る人にとっては、意味不明でわかりづらい映画だったと思います。しかし、よ～く見極めてみると、内容が明らかになってゆきます。まずこの2人は、同一人物であり、彼の精神状態の異常からくる幻惑であるということです。本当の彼は女たらしの三流役者であると思われます。彼の妻が妊娠したことにより、彼はそれまでのフシダラな生活から足を洗ったわけです。しかし、彼の本能はそんな彼の精神状態をおかしくしてしまったのでしょう。彼女の妊娠期間と、芸能事務所に顔を出さなくなった期間が6ヶ月と一致しています。彼女に子供が出来て、すぐに女と縁を切った。女のほうは彼が結婚していたことをセックス時まで気付かず、セックスの途中で気が付いてます。そんなことが2度繰り返されているところからみても不自然です。そして事故を起こし、胸に傷跡が残っていたのかも知れません。あの事故で、もしかすると女は亡くなっているのかも知れません。それがまた彼の精神に異常をきたした一因にもなっているのかも知れません。奥さんは彼の精神が病んでいることを知っているような素振りも示しており、彼が大学に通っているのも、講師としてではなく、患者として大学病院の精神科に通うためなのでしょう。彼はそれが受け入れられず、講師という感覚で通っているのでしょう。あの講義風景は幻覚だと思います。また、彼にビデオでも見てみたらと声をかけた男性は、大学の同僚ではなく、彼の主治医なのでしょう。彼に本来の自分を取り戻してもらうために、自分が役者であることを認識させるための言葉だったんだと思います。しかし、それが逆に、もう一人の瓜二つの男の存在を生み出してしまった。実際は存在しない大学講師としての彼に、あの事故死をしたであろう女を妻に設定をして作り上げられたものだったんだと思います。最後に妊娠をしている妻が大きな蜘蛛に変貌しているところを目の当たりにしますが、あれも幻惑であり、妻の妊娠で、過去の自分を封印したことを、蜘蛛に囚われた虫が自分なんだという心理からのものだと思います。

どんでん返しマニア

爆太郎さん(男性・60代以上)

11位(90点)の評価