恋愛寫眞 もうひとつの物語がランクインしているランキング
感想・レビュー
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繊細なファンタジーと無邪気な嘘を写した
その本は私の心に残っている。最初に読んだ8年ぐらい前から。出だしはヒロインの静流による些細な嘘から始まる。その嘘に翻弄される主人公の誠人は、終始彼女の嘘に翻弄されてばかりだ。少し物語を進めると、2人の出会いや2人の仲を深めた立ち入り禁止の森が出てくる。そこの描写はとても幻想的で美しい。そこで静流と誠人がカメラで撮ったのは、繊細なファンタジーを感じるような1枚の小さな写真だった。
2人の関係が繊細なファンタジーであるのと無邪気な嘘をつく静流の2つが、今も私のアルバムの中に写真として収めている。
似非文学評論家 多田 語さん(男性)
2位(90点)の評価
不器用すぎる恋愛の結末に胸が締め付けられそうになる
ずっと他人に気を遣いながらも片思いばかりを繰り返してきた大学生の誠と誠の同級生で大学生とは思えないほど幼い見た目のちょっとオリジナルな女の子である静流の片想いの物語です。
誠は大学の同級生のみゆきに恋をしつつも静流のことも気になってしまうし静流はそんな誠が好きだと公言しながら誠の片想いの邪魔をするつもりはないと言って少し奇妙な関係が続きます。
お互いを思いやる気持ちの強さが伝わってきて前に進まないもどかしさを感じつつ、台詞回しがとても心に刺さってきてずっと見ていたいと思わせる関係でもあります。
胸が苦しくなるようなラストまで、独特の世界の中で育まれる誠と静流との恋愛を応援しつつ羨ましく感じる作品です。
読後はしばらく放心してしまいます。
最高にきゅんとする作品です
私が、市川拓司さんという名前を意識したきっかけの作品です。
宮崎あおいさんと玉木宏さん主演で映画化され、小学生当時一度テレビで宣伝を観て「絶対観たい!」と思っていましたが、結局上映期間中に観に行くことはありませんでした。
公開から年以上経っても当時の宣伝が忘れられず、やっとDVDを観る機会がありました。最初から最後まであっという間にみることができ、原作もすぐに読みました。
純愛ストーリーというととっつきにくい感じがありますが、市川拓司さんの作品はどれも素直に読めて、きゅんとします。市川拓司さんの小説のなかでも、一番おすすめします。
自分をただ好きでいてくれるなんて何て羨ましいんだと思いました。
恋をすると死んでしまう病気(正確には成長するとある程度の年齢で病が発症する)の女性が自分の人生をかけて自分に強いコンプレックスのある少年を愛する話です。キスだけのプラトニックな二人ですが、こんなにも愛し合い好きになってもらえるなんてなんて羨ましいんだと若かったころは思いました。大人になりそれがどんなに切なくて苦しいのかを理解できるようになったいまもう一度読み直すのもまた違う目線で読むことができるかもしれません。市川先生の作品は切なくて暖かい作品が大好きです
みささん(女性・40代)
2位(95点)の評価