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杉村 啓さんの「だし醤油ランキング」

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更新日: 2021/02/17
杉村 啓

醤油・日本酒研究家/グルメ漫画研究家

杉村 啓

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まえがき

「だし醤油」は、醤油に「だし」を加えたものです。ただそれだけのようでいて、それだけではありません。「旨味」を巧みに利用している、万能調味料と言えるものなのです。

すごく簡単に言うと(詳細は後書きで書きます)、醤油の持つ「旨味」と、だしの持つ「旨味」を掛け合わせることで旨味を増幅させています。旨味があるとまず何よりもおいしいですし、少量でも満足感が高まるため減塩にもつながります。まさにいいことずくめ。

加えるだしは、昆布だしやかつおだしが一般的ですが、近年はそれだけにとどまらなかったりもします。さまざまなタイプのだし醤油が登場してきていて、いま最も面白いジャンルのひとつといえるでしょう。

今回は「だし醤油」と製品名に直接書かれていなくても、醤油とだしを組み合わせた調味料なら「だし醤油」という扱いにして紹介していきます。

ランキング結果

だし醤油ブームを巻き起こした逸品!

日本でもっとも有名なだし醤油のひとつが、この鎌田醤油(かまだしょうゆ)の『だし醤油』です。

この『だし醤油』は昭和40年(1965年)に誕生して以来売れ続け、常にだし醤油のトップをひた走っていると言っても過言ではありません。三越デパートの通販ランキングで1位を取るなど、だし醤油ブームを巻き起こし、そして牽引してきた醤油なのです。

鰹節だけでなくさば節も使っていてとても豊かな味わいです。だしの風味がしっかりとしていて、甘みが少なめなのでさまざまな料理にも使いやすいのも、支持され続けているポイントでしょう。

風味がしっかりとしていることは、減塩にもつながります。もともとだし醤油は醤油にだしを加えているのですから、醤油が(塩分的に)薄まって減塩になるのですが、そこでだしの風味が弱いと物足りなく、結果的にいつもより多い量を使って減塩にはなりません。ですがこの『だし醤油』は風味が豊かなので少量でも満足でき、結果として減塩につながるのです。

デパートなどでも必ずといっていいほど見かける『だし醤油』。まだ味わったことがない方はぜひ一度試してみることをおすすめします。

大相撲の優勝にも貢献?! 色合いも鮮やかでさまざまな料理に合う万能だし醤油

この醤油は2021年1月に、もっとも多くマスコミに取り上げられただし醤油かもしれません。というのも、2021年の大相撲初場所で初優勝した大栄翔が愛用している醤油だからです。

大栄翔はたまごかけご飯が大好物で、毎朝のように食べているそう。そこで使っているのがこのヒガシマル醤油の『牡蠣だし醤油』でした。白米の中央にくぼみを作り、たまごは2個。たまごと混ざらないように『牡蠣だし醤油』をかけるというのがお気に入りの食べ方だそうです。

牡蠣だし醤油は播磨灘産真牡蠣エキスに鰹と昆布のだしを合わせているという、「牡蠣」「鰹」「昆布」の旨味を重ねているのが特徴です。さらに珍しいのは、ベースになる醤油に淡口醤油をブレンドしていることでしょう。そのため、通常のだし醤油よりも色合いがさらに淡く、さまざまな料理に使っても色合い鮮やかに調理できます。

旨味が強いため、塩味がやわらぎ、口当たりはまろやか。たまごかけご飯はもちろん、だし巻きたまごや炊き込みご飯にもぴったりです。少し変わったところでは、お茶を煎れた後の茶葉にこの牡蠣だし醤油をかけて味わうというのも好きだったりします。スーパーなどでも気軽に買える醤油なので、ぜひお試しを。

「普通の醤油」として地元で愛されている「山形の味」

だし醤油の中には地域の文化と密接に関わり、県内で非常に高いシェアを持つ「地元の味」の象徴になっているものがあります。丸十大屋の『味マルジュウ』もそのひとつです。

昭和39年に発売されたこの醤油は、口コミを中心に徐々に人気を獲得。現在ではいわゆる普通の醤油(濃口醤油)ではなく、山形で「醤油」といったらこれ、というぐらい地元の味として親しまれています。だし醤油は法律的には「しょうゆ風調味料」という醤油をベースにした調味料という扱いなのですが、完全に濃口醤油にとって変わって使われているぐらい、生活に欠かせない醤油になっているのです。

だしがしっかりと利いていて、味わいはやや甘め。これが「芋煮」にぴったりなのですね。そのまま希釈してめんつゆにも使えます。このやや甘めの味わいが、新鮮な刺身にもぴったり。とにかく山形では何にでも使われている、まさに「山形の味」を作っているだし醤油です。

山形県内のスーパーなどでは、たくさん使われるため1.8Lの大きなボトルが立ち並んでいます。いきなりこんなに大量に使うのは難しいという方には、小容量の空気に触れないボトルタイプや、スプレータイプなどもあります。「山形の味」を味わいましょう。

ガツンとにんにくが利いた、フライドガーリックたっぷりのだし醤油

だし醤油に使われるのは「鰹だし」「昆布だし」「椎茸だし」「牡蠣だし」など、いわゆる「だし」で連想するものが多いのですが、それだけではありません。極端な話、醤油に何でも漬け込み、旨味や香りが醤油に出れば、それはだし醤油になるのです。そのため、香草など香りが強いものを漬けたものがいくつも出てきています。

川中醤油さんの『男が使うにんにく醤油』もそのひとつ。鰹や昆布のだしだけでなく、フライドガーリックをたっぷりと漬け込み、醤油にパンチの効いたにんにくの風味を溶け込ませています。

かけるだけで何でもにんにく風味の料理に仕立て上げられるお手軽さが魅力。ベースのだし醤油の旨味がしっかりとしている分、にんにくの風味がより生きています。ガツンとにんにく風味を味わいたいけど、料理の手間を少しでも減らしたいずぼら料理にはぴったりの醤油でしょう。

名前に「男の」とついていますが、もちろん女性が使ってもかまいません。ただし、にんにくの香りがついてしまうので、人と会う前には使用量を考えた方がいいかも……?

岡山名産の甘く柔らかな「黄ニラ」をたっぷり使っただし醤油

黄ニラとは、通常のニラとは異なり、最初に日光を遮断して育成したものです。そうすることで葉緑素が成長せず美しい黄色になり、柔らかく甘みを持ったニラになるのです。

岡山県名産のこの黄ニラをたっぷりと使ったのが、とら醤油さんの『黄ニラしょうゆ』です。鯛や昆布、椎茸のエキスを使っただし醤油に、刻んだ黄ニラが加わっています。旨味がしっかりとしたやや甘めの醤油で、ニラ独特の強い香りはかなり控えめ。ほんの少しアクセントになっている塩梅です。人に会う前に使えない、ということはありません。

調理に使うよりは、たまごかけご飯や冷や奴にかけるのがおすすめです。うどんにかけてもおいしいですよ。

あとがき

「旨味」にはいくつかの種類があります。

昆布に多く含まれる「グルタミン酸」
カツオや肉類などの「イノシン酸」
キノコ類に入っている「グアニル酸」

これらは組み合わせることによって、旨味が何倍にも膨らむことが知られています。単に足し算で旨味が増えるのではなく、かけ算で爆発的に増えるとイメージするといいでしょう。

醤油に含まれている旨味は主に「グルタミン酸」です。そのため、「イノシン酸」が豊富な鰹だしを加えると、より一層旨味が膨らむのですね。これが「だし醤油」が旨味を巧みに使っている万能調味料と呼ばれている理由です。

だし醤油は使えば使うだけ、時短料理にもつながります。そのまま使うだけでばっちりと味が決まるので、手間が省けるのですね。もちろんかけ醤油などにしてもおいしいですし、減塩にもつながるといいことだらけ。上手に使っていきましょう。

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