2020/09/25
米・麹(こうじ)・水を主な原料とする日本酒は、日本特有の製法でつくられるお酒。"SAKE"として世界的にも人気を集めています。
みんなのランキングでは、日本酒選びに欠かせない知識を、専門家の言葉を交えて丁寧に解説。専門家もおすすめの一本を選んでいる各種日本酒ランキングも掲載しているので、ぜひお気に入りを見つけてください!
目次
島田 律子(タレント・日本酒スタイリスト)
2000年に「唎酒師」の資格取得後、2001年に日本酒造組合中央会より「日本酒スタイリスト」に任命。テレビや雑誌への出演、コラムの執筆などを通じて、日本酒の魅力を広く発信する。神奈川 建一(日本酒ブログ「お酒ミライ」運営)
毎年100種類以上の日本酒を飲んでおり、運営するブログでこれまでに300本以上のレビューを掲載。「日本酒をもっと身近に」をテーマに、酒屋紹介やレア酒から大衆酒まで幅広く情報を届けている。クリーミー大久保(日本酒ライター・エディター)
日本酒アドバイザー資格を保有する編集・ライター。日本酒の楽しさ・奥深さを伝えることをモットーにウェブでの執筆を中心に活動を続けている。取材を通して日本酒にさらに魅了される日々。みちゅ(「可愛い日本酒パーティー」主催)
日本酒のイメージを変えるべく、「可愛い日本酒パーティー」などさまざまなイベントを主催している。Twitter・Instagramでも「日本酒を可愛く」発信中。甘くておしゃれな日本酒が好み。日本酒とは、原料をアルコール発酵させてつくる「醸造酒」の一種。麦を原料とするビールやブドウを原料に使うワインも、日本酒と同じ醸造酒に該当します。
日本酒の主な原料は、「米」「米麹」そして「水」。特に水は日本酒の成分のおよそ80%を占める重要な要素で、名水がある土地に酒蔵が位置していることが多いです。
なお、酒税法では日本酒は「清酒」と呼ばれており、「米、米麹、水を原料として発酵させてこしたもので、アルコール度数が22度未満」などの定義が定められています。
上の図のように、日本酒はいくつかの工程を経てつくられます。
搾りのタイミングや貯蔵期間によって日本酒の味や呼び方が変わることもあるので、製造工程を知ることは日本酒選びにも役立ちます。
日本酒を知るうえで欠かすことのできない言葉が「精米歩合(せいまいぶあい)」。日本酒の原料である米(酒米)を玄米の状態から精米して磨いていき、残った部分の割合を数値で示したもののことです。
精米歩合が60%の場合は、米の4割を削っていることを意味していて、米の中心に近い部分まで削るほど、ミネラルやたんぱく質などがそぎ落とされます。それにより雑味が減り、香りのよい日本酒になるため、精米歩合の値が小さい日本酒は価格が高くなる傾向にあります。
精米歩合はこのあと解説する「日本酒の種類」にも関係してくるので、しっかり覚えておきましょう。
日本酒には大きくわけて「特定名称酒」と「普通酒」があります。酒税法でルールが決められており、原料や製造方法、精米歩合などによって分類されます。
特定名称酒は手間をかけてつくられたより上質な日本酒。特定名称酒のなかでも8種類に分類され、そのうち「純米大吟醸酒」が最も高価なものとなります。
特定名称酒に該当しないのが普通酒。多くが大容量パックで売られており、日本酒をリーズナブルに楽しめます。
各種類の詳細は以下で詳しく解説します。
米・米麹・水のみを原料としている日本酒を「純米酒」と呼びます。米本来が持つ旨味とふくよかな香りを楽しめることから、特に人気があります。
純米酒のなかでも、精米歩合によって「純米酒」「純米吟醸酒」「純米大吟醸酒」にわけられます。
精米歩合が60%以下または特別な製造方法を用いる純米酒のことは「特別純米酒」と呼びますが、"特別な製造方法"に明確な基準はなく、蔵元の判断によります。
米・米麹・水に加えて、醸造アルコールを米の重量の10%以下の割合で添加した日本酒を「本醸造酒」と呼びます。
醸造アルコールは、サトウキビを原料とした純度の高いアルコールのことで、日本酒に入れることで、軽やかでクリアな味わいになります。
醸造アルコールを使用する本醸造酒は、味のバランスが整っているうえに、純米酒に比べて価格が比較的安いのも特徴です。
純米酒と同様に、精米歩合や特別な製造方法を用いるかによって、「本醸造酒」「特別本醸造酒」「吟醸酒」「大吟醸酒」にわけられます。
特定名称酒の8種類に分類されない日本酒を「普通酒(一般酒)」と呼びます。
米・米麹・水に加えて、醸造アルコールと糖類を原材料に使用し、淡い味わいになっているのが特徴。精米歩合に規定はありません。
普通酒は日本酒のおよそ70%を占めるとされ、価格も安いことから、多くの人に馴染みのある種類といえます。
いいとこどりの「純米吟醸酒」!
おすすめは米の旨みが味わえる純米酒系のなかでも「純米吟醸酒」。日本酒は製造過程や状態などの違いで、名前が変化します。それぞれの特徴を見ていきましょう。
にごり酒とは、白く濁った日本酒のこと。日本酒は、醪と呼ばれるアルコール発酵させた米を酒袋などで搾ります。その際に目の粗いものを使って濾されたのが、にごり酒です。
にごり酒の白濁した色は、濾されずに残った澱(おり)によるもの。この澱による、強い米の香りとなめらかで濃厚な飲み口がにごり酒の特徴です。
ちなみに、白濁したお酒としては「どぶろく」もありますが、にごり酒との違いは製造方法です。にごり酒は目の粗い袋で濾すのに対し、どぶろくは1度も濾さずにつくられます。酒税法での分類も異なり、にごり酒は「清酒」で日本酒の一種ですが、どぶろくは「雑酒」なので日本酒ではないことになっています。
発泡性のある日本酒が「スパークリング日本酒」。炭酸によるシュワシュワと爽やかな口当たりが魅力で、ラベルのデザインもおしゃれなものが多いです。全体的にアルコール度数が低めなので、日本酒に慣れていない人でも飲みやすいです。
スパークリング日本酒のタイプとしては、瓶の中で発酵を促すものと、人工的に炭酸ガスを注入するものがあります。
日本酒は「搾り」の工程のあとで、殺菌や発酵止めなどのために火入れ(加熱処理)を行います。火入れは通常2回行いますが、回数を減らすことで味わいが変化し日本酒としての呼び名も変わります。
袋や機械で搾り、酒と酒粕にわける「搾り」の工程。この工程の段階によっても味わいと名称が変わります。
日本酒づくりは7月1日からカウントされ、翌年の6月30日までが1年とされています。1年の間に製造・出荷されたものを「新酒」、それより長く貯蔵して出荷するものを「古酒」と呼びます。
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ここまで紹介した以外にも日本酒にはいろいろな呼び方があるので、店頭などで気になるものがあったらチェックしてみましょう。
日本酒の味わいは、大きく「甘口」と「辛口」にわけることができます。甘口はまろやかで、辛口はすっきりとした味わいが楽しめます。
日本酒の甘口・辛口は、「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」と呼ばれる要素から把握することが可能です。
日本酒度は、酒に含まれる糖分の量を算出したもの。プラス(+)とマイナス(-)で示され、数値がマイナスになるほど甘口で、プラスになるほど辛口になります。
日本酒度だけで必ずしも甘口・辛口を見分けられるわけではありませんが、一つの目安として覚えておきましょう。
日本酒に含まれる酸(乳酸、コハク酸、リンゴ酸など)の量を示したもの。酸は日本酒のキレ(後味のすっきり感)に関係します。中間の値となる1.4~1.6よりも値酸度が高いほど辛口で、低いほど甘口になる傾向にあります。
しかし、酸度もあくまで目安。以下の図のように、日本酒度と酸度の両方を参照することで、日本酒の大まかな味わいをイメージできます。
旨味やコクに関係するアミノ酸の量を示す値。平均値は1.3~1.5程度で、アミノ酸度が高いと甘口(芳醇)、低いと辛口(淡麗)になるといわれています。
日本酒の瓶に貼られているラベルには、原材料や精米歩合、アルコール度数などが記載されています。
日本酒度、酸度、アミノ酸度は表示義務がなく、ラベルに記載されていない製品も多いですが、店舗のポップやウェブサイトに書かれていることがあります。
味わいや香りの傾向によって、日本酒は「薫酒(くんしゅ)」、「爽酒(そうしゅ)」、「醇酒(じゅんしゅ)」、「熟酒(じゅくしゅ)」の4タイプに分類されます。
この分類は香味特性別4タイプ分類と呼ばれ、日本酒版のソムリエといえる「唎酒師(ききさけし)」の資格認定を行っている日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が提唱するものです。
飲食店や販売店で日本酒を注文・購入する際にスタッフに伝えると、イメージに近い商品を手に入れやすくなります。
北は北海道から南は沖縄まで、日本酒は全国各地でつくられています。土地ごとの水と米でつくられるため、日本酒の味わいは地域ごとで異なり、それぞれの傾向を知ることで自分に合った銘柄を選びやすくなります。
下の図は47都道府県の味わいを大まかに示したものです。
また、日本酒づくりを行う酒蔵は全国に1,500以上あるといわれており、酒蔵や酒づくりの責任者である「杜氏(とうじ)」によっても味わいが変化するのも特徴です。
なお、日本酒で有名な地域として、兵庫県・灘、京都府・伏見、広島県・西条があり、これらは「日本三大酒処」と呼ばれています。
ほかに、「久保田」や「八海山」といった有名銘柄で知られる新潟県、地元の米を使った逸品が揃う秋田県、良質な水でつくられる日本酒に定評がある山形県なども広く知られています。
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日本酒に使われる米は、酒米(さかまい)と呼ばれ、正式には酒造好適米といいます。
酒米は米の表面を削る精米作業が必要なため、一般的なお米と比べて粒が大きく、でんぷん質を含んだ中心部の不透明な部分である「心白」も大きいのが特徴です。
100種類ほどがあるとされる酒米によっても、日本酒の味わいは変わってきます。今回はそのなかでも代表的な酒米を紹介します。
日本酒は、冷たい状態から温かい状態まで、幅広い温度帯で楽しめるお酒。温度による香りや味わいの変化を感じとることも、日本酒の醍醐味の一つです。
ここでは、温度ごとの呼び方や味わいの違いについて解説します。
「燗酒(かんざけ)」は熱燗とも呼ばれ、普段日本酒を飲まない人からも広く知られている飲み方。湯せんや電子レンジなどで温め、30~55℃程度にして味わいます。
燗酒では、味わいの細かなニュアンスや深いコクを楽しめ、お酒が持つ実力を把握することが可能。味わいがしっかりとしている純米酒や本醸造酒などが燗酒に向いています。
また、「ぬる燗」(40℃前後)や「飛びきり燗」(55℃前後)など、温度によって呼び方が異なります。
字面から温度が低い印象を受けますが、「冷や」は常温を意味しています。冷蔵庫がなく、常温か温めるかでしか日本酒を飲む方法がなかった時代は、燗酒よりも常温のほうが低温であったことが呼び名の由来です。
冷やの温度の目安は20~25℃。このくらいの温度では、口当たりがよく、日本酒本来の風味がしっかりと感じられます。
冷やで飲むのに適している日本酒の種類としては、吟醸酒・純米酒・本醸造酒があります。
5~15℃前後の冷たい状態を「冷酒」と呼びます。冷えた日本酒は香りが落ち着いて飲みやすくなるため、日本酒独特の香りが苦手な人にもとっつきやすいです。
冷酒に適しているのは、吟醸酒、純米酒、本醸造酒ですが、特に合うのはフルーティな香りが特徴の吟醸酒。香りを抑えたすっきりとした味わいを楽しめます。
冷酒のなかでも、氷を入れたものは「オン・ザ・ロック」、かき氷やクラッシュアイスに注いだものは「みぞれ酒」と呼ばれます。
また、15℃の場合は「涼冷え」、5℃の場合は「雪冷え」など、熱燗と同様に温度によって呼び方が変わることも覚えておきましょう。
ここまでで日本酒選びの基礎知識を解説してきましたが、わからないことがまだまだあると思います。
そこで、店舗やインターネットでの日本酒の選び方や、狙い目の価格帯など、ビギナーが気になる質問を専門家にぶつけてみました!
狙い目は2000円前後
四合瓶で1000円くらいかそれ以下の価格帯でも、安い値段とは思えないほど美味しいお酒は多くあります。しかし、初心者がそれを見抜くのは至難の技でしょう。実店舗なら「シーン」も大切
実店舗での場合は、お酒を買う目的をしっかり店員さんに伝えることです。プレゼントなら、お世話になった上司宛なのか、恋人への贈り物なのかなど。自宅で飲むにしても、パーティなのか、特別な日に開けるのか……といったことでも変わってきます。ネットの場合は「ジャケ買い」も有効
ネット通販の場合も商品性を意識したいですが、店員さんに相談できない分難しいです。おすすめは、「定番」や「フルーティー」「プレゼントに」など、ショップの特集コーナーから選ぶこと。これならば何十本ものお酒から選ぶ必要がないので、グッと楽に買うことができますよ。魚料理なら海のある県のお酒を選択
日本酒は、長い歴史のなかで、その土地の風土や食文化に合う酒づくりが研究され、その土地ならではの特徴を持った地酒を生んできました。四合瓶がおすすめ
基本的に、720mlの四合瓶を選ぶのが正解です。冷蔵庫に入るサイズで、早めに飲みきれるからです。旅のお供にぴったりなカップ酒も
地酒の大半は瓶入りですが、日本酒にはパック入りもあります。一升パックなら一般的な冷蔵庫に楽に入りますが、やはり早く飲みきるために小さめの900mlを選びたいですね。酒屋さんと通販がおすすめ
実店舗なら酒屋さんがおすすめです。ここからは、ユーザー投票で決定したさまざまな日本酒ランキングを紹介します。
4人の専門家もそれぞれのランキングでお気に入りの銘柄を選んでくれています。
推薦コメントと一緒にチェックして気になる一本を見つけましょう!
専門家イチオシの日本酒はこちら!
専門家イチオシの日本酒はこちら!
日本酒の銘柄ランキングの島田 律子さんのコメントより
専門家イチオシの日本酒はこちら!
甘口の日本酒ランキングのクリーミー大久保さんのコメントより
専門家イチオシの日本酒はこちら!
辛口の日本酒ランキングの島田 律子さんのコメントより
専門家イチオシの日本酒はこちら!
純米酒ランキングのクリーミー大久保さんのコメントより
専門家イチオシの日本酒はこちら!
専門家イチオシの日本酒はこちら!
お気に入りの日本酒が見つかったら、次は料理。美味しい日本酒には、美味しい料理が欠かせません。
日本酒の味わいや香りに合わせて、おつまみを選んでみましょう。
あっさりなお酒には淡白な味付けの料理、逆に濃厚な味のお酒にはこってり系の料理という具合に、酒と料理の味の系統を揃えると基本的に間違いはありません。
重めの日本酒ならサバ缶、すっきり系ならチーズ
コンビニで売られている「日本酒」は、比較的しっとり重めの味わいが多いです。そういった傾向のお酒と一体になってくれるのは「サバの水煮」や「鮭の缶詰」。個性が立ちすぎず、口の中でじわじわと美味しさを感じられます。スイーツと日本酒の意外な組み合わせ
日本酒と合わなそうで意外に合うのが「スイーツ」です!みんなのランキングでは、日本酒以外にも、食品・飲料に関するさまざまなランキングを公開中です。投票はいつでも受け付けているので、ぜひチェックしてください!
美味しいワインの選び方&タイプ別おすすめランキング | みんなのランキング
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「これは本当に日本酒なの?」と逆に疑ってしまうほど(笑)弾けるようにとても甘くておいしい味わい!日本酒のイメージが一瞬で変わりました。
飲みやすい日本酒ランキングのみちゅさんのコメントより