ランキングの前に…1分でわかる「谷崎潤一郎」
独特な美意識をもち、耽美的な世界を描く「谷崎潤一郎」
1886年、東京都出身の「谷崎潤一郎」。1965年にこの世を旅立つまで多数の作品を手がけ、近代日本文学を代表する小説家の一人として、現在も高い評価を得ています。大学在学中に文芸雑誌第2次『新思潮』(1910‐1911年)を創刊し、同誌に発表した『象』や『刺青』(1910年)などの作品が文壇に認められ、作家としての地位を獲得。マゾヒズムや過剰なほどの女性愛が描かれた作品は文学世界に大きな衝撃を与えました。1923年に発生した関東大震災後に関西に移住。それまで西欧的な文章を好んでいましたがこの頃から古典的な日本美に関心を持ち、独自の世界を築いていきました。その後、『細雪』(1936年)や『痴人の愛』(1947年)、『鍵』(1956年)など、数々の代表作を生み出しています。
本ランキングにおける「谷崎潤一郎の書籍」の投票範囲
本ランキングにおける谷崎潤一郎の書籍の投票範囲は、彼が手がける作品です。戯曲や評論・随筆、対談集などの作品にも投票が可能です。ただし、海外の作品を翻訳した文学作品はランキング対象外です。
明治の源氏物語
タイトルが気になって購入した作品です。
冴えない男性が、若い女の子を自分好みに教育させようとする話。源氏物語のようで、しかしながら主人公はありふれた会社員で、それが少しの背徳感を感じさせドキドキしました。
最初はお互い親子か兄妹のような関係だったのが、だんだん男女の仲に発展していきます。このまま二人で幸せに暮らすのかと思いきや、どんどん男友達も増え、更にはその中の数人と肉体関係も持ち、現代でいう「ビッチ」に成長してしまうヒロインの姿に驚きました。それでもお互いを必要とする二人の姿を見て、恋愛が理屈じゃないのは今も昔も変わらないなと思います。
英語やダンスの教室など、当時の時代背景も新鮮で、想像するだけで楽しくなります。
実写化するなら、主人公は風間俊介さん、ヒロインは菜々緒さん、主題歌はシドか椎名林檎さんのイメージです。[続きを読む]
翔子さん
1位(100点)の評価
フェチズム、マゾヒズム、など谷崎潤一郎作品の根底に流れるものが全てここに
自分の理想そのものの少女を手元に引き取り育て上げ、将来は妻にするという多くの男性が描いているであろう願望を美しくもエロティックで、そして残酷に描いたのがこの作品です。西洋人女性へのあこがれ、女性の足への偏愛、愛する女性に振り回されたいというマゾヒズム、など谷崎潤一郎の作品で良く見られるエッセンスが全てと言っていいほどふんだんに散りばめられています。
すずさん
1位(100点)の評価
ゾクゾクします
初めて読んだとき、主人公に自分を投影してみると、ゾクゾクしてしまいました。真面目な男が小悪魔的な少女に翻弄されて破滅していくという内容は、特異と思いきや意外と普遍的な設定かもしれません。谷崎潤一郎が敬愛し、参考にもした「源氏物語」にも、幼い少女を自分の理想通りに育てるという設定がありますが、谷崎潤一郎においては少女のファム・ファタール的性質が強まっていると思います。
shutoさん
1位(100点)の評価