1分でわかる「京極夏彦」
ホラー小説の大家「京極夏彦」
1963年生まれ、北海道出身の作家「京極夏彦」。1994年に『姑獲鳥の夏』でデビューします。この作品がきっかけで『メフィスト賞』が創設されるなど小説業界に大きな影響を与えました。また『姑獲鳥の夏』を第1作として、アニメ化もされた名作『魍魎の匣』や『狂骨の夢』、『鉄鼠の檻』などが百鬼夜行シリーズと呼ばれ、人気を博します。このシリーズは、妖怪と推理を掛け合わせた、新しい推理小説のスタイルとして確立されました。その他にも最初にアニメ化された作品『巷説百物語』や唐沢寿明主演で映画化された『嗤う伊右衛門』や衝撃なタイトル『死ねばいいのに』などを世に送り出します。近年では2018年に『ヒトごろし』、2019年に『ヒトでなし: 金剛界の章』を発表。多くのファンが新刊を心待ちにしています。
始まりは暇つぶし
京極夏彦は元々、アートディレクターとして働いていました。しかしバブルの崩壊により仕事が減ります。必然的に仕事がすぐ終わってしまい暇になってしまいますが、早く帰るのは同僚に悪いと思い、終業時までの暇潰しにと小説の執筆を始めました。身内に見せるだけにするつもりが「お金がない」「子供が産まれる」などの理由から、講談社に自分の書いた小説を送ります。これが代表作『姑獲鳥の夏』でした。
期待の京極堂シリーズ2作目
なんと言っても本が分厚い。
読み終えるまでに何時間かかったか数えられない。
しかし、読み終えたときの快感と「今回も一件落着で終わった……。」という感情が津波のように押し寄せてくる。
冒頭から気味の悪い京極ワールド全開の内容となっているが、姑獲鳥の夏を読み終えてからがおすすめ。
ゆっきーさん
3位(90点)の評価
絡みあう感情と人間関係、美と醜、正気と狂気が対照的に描かれている点です。
京極堂を初めとしたメインメンバーの大半が、本作品の中に登場する事件に関わっています。
命とは、美とは、正気とは、幸福とは、愛とは、という問いかけに対して、対照的な事象や主張が出てきて、それらが一つの結末に向かって収斂していく様子は圧巻の一言。
それらの収斂を経たラストシーンが、それまでのプロセスゆえにとても美しいのです。
傍から見れば、ただの狂気。ですがそれは、それまでのプロセスを読んできた読者にとって、確かに幸福の一形態なのだろうと感じ、哀しさも同時に感じるという読後感は、この作品独特のものではないでしょうか。
Das Paradiesさん
1位(100点)の評価
覗いてはいけない世界を覗いてしまった
とある偏愛をする登場人物の描写が凄すぎて、その登場人物の深淵を覗きこんだような感覚に陥った作品。さらに恐ろしかったのは自分まで彼の偏愛に対しておぞましいと思わずそれもまた一つの愛の形だったのだろうか、などと思わされてしまうくらいにその登場人物が魅力的だったこと。
よっぺいさん
4位(85点)の評価