櫻の園の詳細情報
制作年 | 1990年 |
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上映時間 | 96分 |
原作 | 吉田秋生『櫻の園』 |
監督 | 中原俊 |
脚本 | じんのひろあき |
メインキャスト | 中島ひろ子(志水由布子)、つみきみほ(杉山紀子)、白島靖代(倉田知世子)、宮澤美保(城丸香織)、梶原阿貴(久保田麻紀)ほか |
制作 | 岡田裕 |
主題歌・挿入歌 | - |
公式サイト | - |
参考価格 | 2,444円(税込) |
櫻の園がランクインしているランキング
感想・評価
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面白い邦画ランキングでの感想・評価
面白い邦画ランキングでの感想・評価
火災報知器が鳴り響く少女たちの園
アルゴ・プロジェクトの遺産ともいうべき一作。吉田秋生の漫画原作をベースにしながら、じんのひろあき脚本+中原俊監督は学園祭当日の演劇部の少女たちの溢れかえる会話と猥雑さ、一転した静謐さを画面に詰め込み、少女たちの一瞬の輝きを見せつける。現在は脇役で活躍する中島ひろ子、りりしく美しい白島靖代、ボーイッシュさに目を見張るつみきみほ。リアルタイム映画のある種の完成形。
Raita Iwaoさん(男性・50代)
2位(85点)の評価
日本人の琴線に触れる
邦画の強みとは何かというと、「日本人の琴線に触れる」何かがある、という点だろう。つまり、日本人が好む風景とか人情とか、なにか原風景的な心地よさ、あるいはほろ苦い味わいがあるということだ。いかに海外の作品が優れていたとしても、これこそは日本人が日本人のために作った邦画だけが持つ、アドバンテージの一つである。
『櫻の園』はそうした、説明が難しい「日本人の琴線に触れる」ノスタルジックな青春映画の白眉で、見る年齢、タイミングによっては「一生の大切な一本」になりうる作品といってもよい。
事実、私の周囲のオッサンたちの中には、いまだこの作品の魅力から離れられず、機会あればやたらと熱く魅力を語る者もいる。気持ちはわかるものの、少々迷惑である。
舞台はとある女子高の演劇部。待ちに待った晴れ舞台「戯曲 桜の園」開演までの数時間の彼女たちの様子を、瑞々しく描いた青春群像劇だ。起承転結の筋書きはなく、通常の劇映画では省略されてしまうような少女たちの雑談、とりとめのない行動をただひたすら丁寧に描写してゆくだけ。なのに幾度も涙がこぼれてしまう、魔法のような演出がみどころだ。
主人公の女の子が、憧れていた女友達と最後に二人きりで記念写真を撮るシーンは名場面中の名場面で、シンプルなセリフがいつまでも観客の心に切なさを残してゆく。
桜の季節にはふと見たくなる、そんな佳作といえるだろう。
映画批評家
前田 有一さん (男性)
3位(70点)の評価