国宝（映画）に関するランキングと感想・評価

“血”に飢えた仮初の悪魔

一口に言えば「真っ直ぐに、唯一無二の国宝へと駆けあがる人間ドラマ」といった感じだが、それでは済まされずもう一回り二回り三回りくらいしてしまうのが本作。
主人公の喜久雄にいつも纏わりつくのは「血統」と「経歴」。どれほどの才能があっても親亡き彼に守ってくれる場所はなく、親がおり血の繋がりがある俊介にはある。そんな壁を“芸”で乗り越え、抗い、経歴に泥を塗ってまでして栄光へと駆けあがろうとする姿は醜くて汚いのに、美しい。歌舞伎という舞台装置が余計に醜さ汚さを誤魔化そうとしてくる。上品なものと下品なものという対極にあるものを同時に見せつけられるというのは、下手に血が出るよりもグロテスクなものなのだなぁと感じた。
だが、悔しいが、最後のあの舞は血統も経歴も全て忘れさせるくらい、本当に奇麗なものだった。

アニメ好きなスライムアイコンの人

Kekeさん(男性・10代以下)

3位(80点)の評価

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