ソナチネ(1993年)の詳細情報
制作年 | 1993年 |
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上映時間 | 93分 |
監督 | 北野武 |
脚本 | 北野武 |
メインキャスト | ビートたけし(村川)、国舞亜矢(幸)、渡辺哲(上地)、勝村政信(良二)、寺島進(ケン)ほか |
制作 | 奥山和由 |
主題歌・挿入歌 | - |
公式サイト | - |
参考価格 | 2,869円(税込) |
『ソナチネ(Sonatine) 』は、ビートたけしが「北野武」名義で監督した4作目の日本映画である。1993年6月5日全国松竹系ほかで公開。 キャッチコピーは「凶暴な男、ここに眠る。」 日本の国際映画祭「第10回東京フィルメックス」で北野自身は一番思い入れの深い作品に『ソナチネ』を挙げ、「自分の最後の作品にしようと思って、好きなもん撮ってやろうって作った作品と製作時は思っていた」と語っている。 (引用元: Wikipedia)
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感想・評価
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沖縄の映像美
初期北野武のギャング映画の傑作。個人的にはマーティン・スコセッシ監督と並ぶ名監督だが、その彼が手がけた初期の傑作。話の流れは鈴木清純監督の「東京流れ者」に酷似しており、義理深い親玉が部下を救助するためにどんどん追い詰められ、かえって自身の立場を不味くしていき、最期に追い詰められるのだが、面白いのは沖縄という地が齎す映像美と北野武独特の「笑い」の感覚が齎すシュールさ、ドライさが微塵もその悲壮感を覚えさせないというところだ。その代り、最期の頭を打ち抜くシーンに全てが凝縮されており、芸術映画としてもエンタメ映画としても個人的には最高傑作である。
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映画監督・北野武が到達した究極の映画
今では、『アウトレイジ』シリーズや『座頭市』などのエンターテインメントの印象が強い北野武監督ですが、デビュー作の『その男、凶暴につき』こそヒットしたものの、以降は作家性が強まり、興行成績は下降線をたどります。しかし、その時期は、本当に自分が撮りたい映画を、誰にも媚びずに作る先鋭的な時代でもありました。そのなかでも監督4作目の『ソナチネ』は北野映画の極北ともいうべき傑作です。
暴力団幹部の村川(ビートたけし)たちは組長から指示を受け、沖縄の抗争に助っ人として向かいます。しかし、彼らが東京からやって来たことで抗争は激化してしまいます。村川たちは人気のない海辺の民家に隠れることになり、時間を持て余しながら事態の沈静化を待つことに。
ヤクザ映画を観たことがあれば、こうした物語では派手な抗争が見せ場になることが多いことは想像がつくと思いますが、北野監督はヤクザたちが暇を持て余し、ひたすら暇つぶしをする時間を中心に描いています。
そんな何もない時間が面白くなるのだろうかと思うかもしれませんが、中年の男たちが紙相撲をしたり、花火をして、子どもに返ったかのように無邪気に過ごす姿が、どういうわけか異様に魅力があるのです。沖縄の抜けるような青空と、澄んだ海、砂浜を前にすると時間の感覚が観ている者も薄れていきます。気づいてみれば、この時間がいつまでも続いて欲しいと思えてくるから不思議です。
しかし、この永遠に続くような退屈な時間が終わるときは、再び抗争に巻き込まれるときです。死がひたひたと間近に迫ってくることを感じる彼らは、舞台となる海辺にひと気がないこともあって、生者なのか死者なのか確信が持てなくなっていくほどです。
北野映画では、沖縄は特別な空間です。監督第2作『3-4x10月』でも、沖縄パートは異様に面白くなっていましたが、沖縄の時間の流れ、空気感が北野映画とマッチするのです。
しかし、こうした作り方が災いして、製作費5億円に対し、配給収入は6千万円に終わったと言われており、興行は惨敗に終わりました。北野監督は次回作の『みんな〜やってるか!』という大暴発のお笑い映画を経て、『キッズ・リターン』『HANA-BI』という一般の観客にも受け入れられやすい普遍的な要素を持つ映画へと路線変更し、その質の高さがヒットにつながるようになり、やがて『座頭市』や『アウトレイジ』シリーズのような大衆的な作品も手掛けてヒット作を生むようになっていきます。
おそらく、『ソナチネ』のようなお金をかけた〈プライヴェート・フィルム〉を作ることは、今後も不可能でしょう。北野映画が到達した唯一無二の作品といえるのではないでしょうか。
映画評論家
吉田 伊知郎さん (男性・40代)
3位(75点)の評価